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□廻リユク運命
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参考:太陽と月のロンド/PolyphonicBranch feat初音ミク×巡音ルカ



私達の運命はすれ違い合い、幾度も遠回りをした。まるで朱と蒼の炎が交わるように。

***

「ミク」

「どうしたの?ルカ」

私前に座っている透き通るような青髪をツインテールにしている少女に私は惹かれた。
それはもう、彼女の背中に傷跡をつけたくなるほど。別に見える形でなくていい。ただ、私の者だと他人に知らしめられるもの。

今までのことを考えると、苦い思い出ばかりが頭を巡る。
ミクに惹かれた私を待っていたのは、思い通りにいかない現実。一人で泣いたこともあった。冷静になれば当たり前のことだが。
しかし、そんなこと当時の私に分かるはずもなく、どんな汚い手を使っても彼女を自分のものにしたいと考えてしまった。
その日からかもしれない。私の運命が堕ちていったのは。

***

私とミクが出会って半年ほど経った冬の日だっただろうか。

待ち合わせ場所に、ミクは既に来ていた。じっと空を見つめている。そんな横顔さえも殺したいほど愛しい。
胸に手をおくと、走ったあとのように鼓動が早かった。
ミクの横顔を見ただけでこれなのだ。二人並んで話したらどうなるのか、と考えただけでも恐ろしかった。

「おはよう」

冷静に、冷静になれ、私。

「おはよう……あれ今日調子悪い?」

「そ、そうかな?」


嗚呼、アナタノクチビルガホシイ。



気づけば私とミクの冷たい唇が触れ合っていた。
始め、ミクは何が起きたのか分かっていなかったようだ。しかし、時間が経つにつれて脳の麻痺が治ってきたのだろう、表情が憎しみに変わっていった。終いには無理矢理唇を離そうと私のお腹を叩いた。
そんな彼女の行動を見ても私は合わさったそれを離そうとはしなかった。むしろ心にもっと深い傷をつけてもらいたかったのだ。
そうすれば、ミクの記憶は一生私を忘れない。そして私のも、一生ミクを忘れない。私はそれがあればまた会えると信じていたから。


「ルカ…私、帰るね」

「……」

堕落の味は、知ってしまったら後戻りできない、互いの喉に刃を突きつけ合うような感じだった。

***

そして、今。現在。

私の前にはミクがいる。

どうしてこうなったのか自分でも覚えていない。
人生は不思議なものだ。


「抱きしめていーい?」

「うん」

ミクは絶対にノーとは言わない。
理由は、一度聞いたことある。『ただ、痛むほど抱きしめられる感触が好きだから』とか言ってた。
私はそれを聞いてマゾか、とか笑ったっけ。

「ミク、好きだよ」

抱きしめながらそっと囁く。

「私も」

「ミクの為になら罪だって軽いものよ」

「……罪?」

「なんでもない、」


二人の運命が散っていくのは目に見えている。だって、咲いた花は散り行く定めがあるから。

自分勝手でも、消えた過去なんて今はどうでもいい。

ただ、息ができないほど貴方を抱きしめる。

――そうすれば、太陽と月のように、生まれ変わってもまた巡り会えるから。

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