SketDanceU

□おあいこ
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「佐介ー」

突然藤崎が僕の下の名前を呼びながら頭を寄っ掛からせてきた。

「……どうした」

嫌だがどうしても離れろの一言が言い出せない。
鎖骨に藤崎の息がかかってくすぐったい。

「俺、佐介のこと好きだからな」

藤崎はそう言って俺を抱きしめた。

「………!?」

僕は体が熱くなった。
藤崎が、僕を好き?あの藤崎が?しかも血の繋がった双子だし、男だぞ?
頭がおかしくなったとしか思えない。

「藤崎、貴様大丈夫か…?」

「ああ、俺は大丈夫」

態度と発する言葉以外は口調も至って普通だし、顔も赤くない。

「佐介も俺のこと好きなんだろ?」

「…………嫌い、だ」

藤崎のストレートすぎる質問に即答できると思っていたら、数秒答えが出せない自分がいた。

「好き、なんだろ?」

「……」

「好きなんだろ?」

それでもはっきりとした答えを言えない自分に苛々だけが募る。

すると、突然藤崎が僕を抱きしめて唇に軽いキスをした。

「…これでもか?」

目が見開かれた僕を見て藤崎はもう一度尋ねた。

ああ、やっぱり僕は…

「……………好き、だ」

「なんだよ、その沈黙」

語尾に大量の(笑)がつくかの如く藤崎は笑った。
そして、僕に寄っ掛かるのをやめた。一瞬にして藤崎の温もりがなくなり少し寂しくなった。

「じゃあ今度はちゃんとキスしていいか?」

「……ああ」


藤崎の唇は柔らかった。


「佐介、可愛い」

「……佑助…」

やっぱり、もう一回。

あの温もりに触れたくて今度は僕が藤崎にキスを求めた。
一瞬藤崎は驚いた顔をしたが、僕の頭を撫でながら、抱きしめながらしてくれた。




やっぱり、君が好き。

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