SketDance
□seventeen
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※デージーキャラ崩壊注意
いつものように授業が始まる。
私の視線は黒板を見ていたものの、脳内は全くそれとは程遠いことを考えていた。いつからかは自分では分からない。ただ気づいたら椿君のことで頭が一杯になっていた。
私と椿君は生徒会の一員として共に活動している。
置物会長の名にふさわしく、居眠りばかりしている会長。そんな会長に代わり、椿君はいつも一生懸命に仕事をしている。そして誰よりも仲間想いで、たまに真面目すぎるのが仇になってしまって。
椿佐介という人物の何もかもが私にはいとおしく思えていた。
「じゃあ浅雛!問1の答えは?」
「え……?」
はっ、と現実に引き戻される。
椿君のことを考えていて、先生の話しなど上の空になっていた。近頃こんなことばかりで、私らしくない。
先生に謝りの言葉を言った後、ふとノートに目をやる。そこには相合い傘が描いてあった。
私の記憶には全く記憶にない絵。でも、それに書いてある名前の筆跡から自分が描いたことは分かった。すぐ、恥ずかしさのあまりゴシゴシと勢いよく消す。
無意識で描いたのだろうか。そうだとしたら、無意識の状態でも椿君のことしか考えていないことになる。
椿君…
こんなにも私、君が好きなんだ…
***
「浅雛」
生徒会室へ向かう途中、後ろから呼び止められた。
「椿君…」
「その…一緒に行かないか」
まさかのことに心臓の鼓動がどんどん早くなる。
椿君と並んで歩く。
それだけで顔が火のように熱い。
「なあ浅雛」
「何だ」
「浅雛は…その…僕のことどう思ってる?」
「椿君のこと…?」
私が椿君に対して思うこと。好きという感情、ただそれだけ。
「す…あ」
思わず声に出してしまいそうになる。
「す?」
椿君は怪訝な顔をする。
でも、もしここで正直な気持ちを言ったら相手に引かれるだろう。
「椿君は…私のことどう思っている?」
自分で自分の首を締める結果になった。話を逸らそうとしたが、咄嗟に話題が思い付かなかったせいだ。
「僕?!」
椿君が驚いているのを感じながら、ああやっぱり言わなければ良かったと後悔の念が押し寄せてくる。
「…いや答えなくていい」
私達はもう既に生徒会室の前まで辿り着いていた。中にはミモリン、会長、榛葉さんの誰かしらいるはず。彼らに話を聞かれない為にも、出来るだけ会話を早く終えたかった。
「浅雛…?」
いきなり椿君の返事を拒んだ私を彼はドアを開けながら不思議そうに見た。
「……」
私は恥ずかしさのあまり、生徒会室に急いで入る。このままいけば、生徒会メンバーのお陰でで話が逸れるかもしれない。
そう思った…のに。
生徒会室には
誰もいなかった。
「誰もいない…」
「ああ。丹生は今日用事あって、会長と榛葉さんは校長に呼ばれて少し遅くなるらしい」
「そう…だったのか」
つまりはこれから少しの時間、生徒会室には私と椿君二人きり。
「ところで浅雛…さっきの質問に答えてくれないか」
さっきの質問。私が椿君のことどう思っているか…。
「私…私は」
意を決す。
「椿君が好き…」
こんな言葉柄に合わないな、と心の隅で思った。
でも、今しか私の想いを伝えるチャンスはない。彼に何て言われようと、私は…
「僕も、浅雛が好きだ」
椿君の声が部屋の壁に反響する。
一瞬時が止まったのかとさえ感じた。
改めて今の状況を説明する。
浅雛菊乃、17歳。
初めて恋した相手と結ばれた。
※参考:seventeen/すこっぷfeat初音ミク