VampireKnight
□「いい加減、気づけ」
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※暁一人語り
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「きゃああああ」
「アイドルせんぱーいっ」
「一条先輩今日もかっこいいいい」
俺達夜間部が寮から出てくると、いつもの如く大勢の女子達が待ち構えていた。(たまに男子もいるが)
そして、女子達の前に壁のように立ちはだかっているのは守護係の錐生零。
俺の目は気づけばこいつを追っていた。
まあこれが毎日の話だから、一緒にいる英にはバレてしまったのだが。
自分でもなぜ錐生を好きになったかが甚だ分からない。
別に俺達は頻繁に話す間柄ではなく、おまけに錐生は吸血鬼を嫌っている。
でも、ただ一つ分かるのは彼には彼が気づいていない、俺を惹き付ける何かが存在しているということだけ。
「〜〜〜〜!」
錐生が女子達を威圧する声が聞こえる。
整った顔してんのにいつも無表情でもったいないな、と思う。
それか、好きになった人の前でしか表さない表情があるのだろうか。
もしあるならものすごい可愛いだろうな。
ああ、もう錐生が見えない位置まで歩いてきてしまった。
俺から錐生に話しかけるチャンスは皆無…というかできない。
だから毎日、この入れ替えの時間しか半径数メートルにいれない。
早く明日になってほしい。
早く夜が明けてほしい。
なあ錐生、俺の気持ちに気づいてくれよ……
届かないと知っていてもついつい願ってしまう自分がいる。
奇跡…本当にそれがおこってくれるのを信じて。