VampireKnight

□甘い、甘い
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藍堂が目を覚ますとなぜか隣には架院が寝ていた。
しかも、いつものように半裸ではなく、全裸。
藍堂は驚いてベッドの上でびくっ、と動いた。



「英?起きたか?」

そう言って架院はふわあと欠伸をする。
凛々しい牙が見えただけで藍堂はドキッとしてしまう。

「ああ…うん」

平然を装って答える。

「暁」

「何だ」

「どうして僕のベッドにいるのか教えてもらいたい」

「知りたいか?」
架院は少しはにかむ。

「早く教えr…てえ?」

答えるよりも早く、架院が藍堂を抱きしめた。
鍛えあげられた体にすっぽりと入ってしまった藍堂は体の力が抜けてしまう。

2人の皮膚の間にはシルクのパジャマ一枚だけ。
それでも互いの体温を感じるには充分だった。

「暁あったかい」
藍堂は架院に完全に体を預けたような形になる。

「英可愛すぎ」
抱きしめたまま、架院は右手で藍堂の耳を優しくなでる。

「あ…ぁ…っ」

藍堂の口から甘い声が漏れた。

続けて、耳から首筋までをなめる。

藍堂は気持ち良さと恥ずかしさで顔が紅潮してしまう。
その表情が架院を更に興奮させる。

『英、俺、お前の全てを自分のものにしたい』
藍堂の耳元で架院が囁く。

あまりにも色気のある顔に藍堂の心臓がばくばく鳴る。

「す…に…れば…」
思わず本音が漏れそうになる。

「何だ?はっきり言えよ」

「っ…好きにすれば…いいじゃん」

「よくできました」

そう言って柔らかい藍堂の髪をそっと撫でた。



その後、躊躇なく架院はプスリと牙を立てる。

「は…あ…ぁぁ…」

架院の牙は深く深くまで入ってゆく。

藍堂は、従兄の体と自分の体が一体になる快感に浸っていた。
何度されても飽きない感覚。
初めてではないのに、いつも新鮮だよな、と頭の隅で思った。



「ねえ暁」

咬み跡を指でなぞる架院に藍堂は問う。

「僕の血ってどんな味がするんだ?」

「甘い、かな。俺の大好物の味」

「じゃあ…、僕も暁の食べてもいいか?」

返事を聞かずに藍堂は架院の首に腕を絡め、勢いよく首筋に噛みつく。

しかし、架院は決して抵抗しなかった。

くちゅっ…
音を立てて架院の血が藍堂の口に入る。

食べたことないほど甘くて、優しい味。
僕、そういえば暁の食べたことなかったんだ、と藍堂は思う。





「俺のはどんな味だ?」

「甘い。すごい甘い。聖ショコラトルデーにもらうチョコよりずっと」

「そっか」





すると、

「〜〜〜〜〜!!!」

遠くから風紀委員である黒主優姫の声が聞こえた。
つまり、夜間クラスの授業がもうすぐ始まるという合図。

「そろそろ用意すっか」

「暁、僕まだ眠い。起きたくない。」

「……じゃあ俺が起こしてやるよ」

ひょいっ、と架院は藍堂をお姫様抱っこした。

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