SketDance
□貴方依存症
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「デージーちゃん!」
ミモリンが私に向かって嬉しそうに小走りしてくる。
「おはよう」
ミモリンには迎えの人が来るため、共に登下校できない。
寄り道なんて、もっての他。
だから私達がこうして一緒にいれるのは学校にいる時間だけ。
学校にいる時間、といってもクラスが違うため、実質今のような朝早くと昼休みと放課後しかない。
一分一秒も私達にとっては惜しいこと。
いつものように私が左手を差し出し、ミモリンの右手がそれに応じる。
ぎゅっ、と固く手を繋ぐ。
ミモリンの手は相変わらず優しい温もりがして、もう慣れたはずのこの感触に私の心臓の鼓動はどんどん早まるばかり。
「デージーちゃん、顔が真っ赤ですけど…、」
ミモリンが私の顔を覗き、お決まりのようになったその台詞を言う。
一方の私は、心臓が爆発寸前になる。
「いや、気のせいだ」
無理に冷静を装う。
「熱でもあるのかしら…」
それ昨日も…!
ミモリンが私の額に手を乗せる。
ミモリンの顔までの距離、数十センチ。
ああ、もう、
『チュッ』
私は我慢ができなかった。
「まあ、デージーちゃんったら大胆なんだから」
やってしまった
やってしまった
やってしまった
顔から火が出そうな私とは対照的に、純粋に嬉しい、といった表情を浮かべるミモリン。
自分にこんな至近距離で自制できる人なんていない、と必死に言い聞かせる。
でも何も変わらなかった。
『あ、デージーちゃん、』、と後ろからミモリンの声がする。
しかし、今彼女の顔が見れる訳がない。
もし振り返ったりしたら、羞恥のあまり恥ずかしさで死んでしまいそうだ。
それでも、私には確信できることがある。
どうせ昼くらいにはまた会いたくなってしまうこと。
その笑顔が見たくなること。
話したくなること。
抱きしめたくなること。
やっぱり私は貴方に依存している。