SketDance
□あっちむいてほい
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ある日の夕方。
生徒会室には俺と椿しかいない。
置物会長の名の通り、何もしないでいる俺に対して椿は今日も懸命に仕事していた。
俺の視線の先にいるのは椿。
日を浴びてキラリと光る長い睫毛。
きめ細かい白い肌。
横顔からでも分かる整った顔立ち。
俺はその光景に見とれてた。
***
じっと見つめる俺の視線に気づいたのか、椿はこちらをチラッと見た。
おいおい顔真っ赤だぜ。
「会長、僕を見て…その…何か面白いです…か?ゴミでもついてますか…?」
真っ赤な顔を元の場所に戻して、少しうつむきながら椿は口を開いた。
「知りたいか?ならこっちにこい」
お前が可愛すぎるからだよと、本音を心の中で呟く。
「いえ、僕は仕事ちゅ「会長命令だ」
「…こういう時だけずるいです」
会長命令という言葉に逆らえない椿は文句を言いながらも席を立つ。
不安そうな足取りでこちらへ来た。
「なあ、俺の隣に来いよ」
机を挟んで目の前に来た椿を更に呼び寄せる。
今度は逆らった後が見えるからか、素直にこちらに来た。
「椿」
「はい」
「あっちむいてほいしようぜ」
「あっちむいてほい…?」
俺がもっと卑猥なことをいうと思ったのだろう、椿は驚いたような安心したような表情を浮かべる。
この時点で俺はむらむらした気持ちを抑えるのに必死になっていた。
「じゃあ始めるぜ」
何も考えていないかのように振る舞う。
「「最初はぐーじゃんけんぽん」」
グーとパー。
勿論、俺が勝った。
「かっかっか。それじゃ…あっちむいて……ほい」
ぷいっ、と椿は顔を右にそむける。
お、この瞬間を待ってたんだぜ。
チュッ
俺は彼の頬にキスをした。