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□今宵は君に溺れたい
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参考:SPICE!/流星P feat鏡音レン



耳元で着メロ1が鳴り、無理矢理開いた目の隙間から時間を確認する。
『4:00am』
道理で目覚めが悪いわけだ。


「……もしもし」

「レンごめんね、こんな朝から」

本当に迷惑だ。僕は今頗(すこぶ)る機嫌が悪い。まあ、

「リンだから許してやる」

「ふーん。…一つ質問していい?」

「できるだけ短くしてくれよ」

「…昨日誰と、どこにいたの?」

「え?」

聞こえてないふりをしてみた。こういう時寝起きは助かる。
ここだけの話、青髪でツインテールの……名前は忘れたが、その子と遊んでいた。

「だーかーら、「好きなのは君だけだよ」

口角が上がるのを感じた。ベタすぎて自分でも馬鹿らしくなる。
でも、女の子を惑わせるのは楽しくてしょうがない。結局みんな僕に惚れているのに、僕は二股も三股もかけたいる。それなのに僕に彼女を愛しているか確認する様子が滑稽なのだ。

一方的にコールを切ってベッドに潜った。

***

「ふぁ、ふっ」

くちゅくちゆ、と僕とリンの唾液が混ざり合う。
この遊びのキスは甘くないはず。俺は彼女だけを愛しているわけではないのだ。きっと苦くて、でもとびっきりホットなのだろう。
まあ、僕の存在をリンの体内が感じてくれればそれで満足だが。

「ぷはっ、」

酸欠に耐えられなくなったリンが顔を上げた。僕を見つめる目は涙が溜まっていてエロい。

「もっかい」

リンの肌の温もりは僕を誘惑しているようにしか感じられない。

「しょうがないなあ」

吐き捨てるように言ったリンに思いっきり抱きつき、また舌を無理矢理押し込んだ。

舌を絡ませながらぼんやりと思った。数えきれないほどの女と夜を明かしてきたが、激しいことをして満たされるのはリンだけだと。
僕は愛情というものを知らない。だから、リンへのこの感情も分からないし、彼女に自分を押し付けることしかできない。

「リン」

「……何?」

「この気持ちってなんなんだろ」

「いきなり何よ」

「だから、」

またリンを抱きしめて、今度は体のラインに手を這わせた。細いそれがびくびく動く。

「こうしたくなる気持ちってなんなの?」

「……恋、とか独占欲とかそういうのでしょ…」

「聞こえない」

「…恋とか独占欲、でしょ!」

リンの顔が真っ赤に染まった。僕、怒らせるようなこと言ってないよな?

説明されても、分かったことはこの気持ちが『恋』という名前であることだけ。
ふーん、と間抜けな返事をして寝転がった。

無言でリンの頭を撫でてみる。さらさらの黄色い髪を指先で遊ぶ。
ふと、彼女は僕にどんな感情を抱いているのだろう、と思った。鋭い彼女は僕の言葉が基本的に口先だけのことを気づいているはず。それなのに、いくら僕が彼女を弄んでも嫌な顔一つしない。
リンの気持ちは僕と同じ、恋とか独占欲なのだろうか?それとも、愛情?
いずれにせよ、僕には分からない。

でも、一つだけはっきり分かったことがある。リンの中に僕の精液が流れる快感を味わいたくなったこと。
これも恋なのだろうか、と頭の片隅で思いながらリンのシャツのボタンに手をかけた。


窓からは僕達と同じ色の月光が射し、真っ暗になった部屋を照らした。

 

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