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□真夜中の愛情
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※3巻派生



『ガサッ』

わしの布団に誰か乗ったようだ。
隣で寝ているムッツリーニだろうか。

ちらっ、と掛け布団の隙間から覗いてみた。
そこには、

「雄二!?」

Fクラス代表坂本雄二の姿がそこにはあった。
意外だ。彼は寝相が悪かったのか。

気づけば寝息を立てながら眠る雄二の顔をずっと見ていた。
いつもは悪態ついていたりする分、おとなしい彼がなんだか可愛く見えてしまった。
霧島は、雄二のこういうところが好きなのだろうか。


ごろん

片足がわしのお腹の上に乗った。
流石に少し重い。

「…っ」

右足と左足を器用に操り、やっとのことで体を自由にする。

しかし、雄二はまだわしの布団の上にいる。
起こすのも申し訳ないと思い、しょうがないから今日はこのままにしておこうと考えた。

でも、このままだと雄二は寒いじゃろう…。
その気持ちから、自分の掛けていたものを彼にも半分掛けてやった。


「これで大丈夫かの…」

一息ついて、再び寝ようとしたその時。


「秀吉ー」

雄二がわしの名前を呼んだ。
びっくりして、彼を見る。

しかし、雄二はしっかり寝ている。夢の中にでもわしが出てきたのか。
愉快な奴じゃな…。



「秀吉ー」

またわしを呼ぶ声。
今度も寝言、と思って寝る体勢になった。




その時。







ぎゅっ





わしの腰に手が回る。

「ゆ、雄二…!?」

雄二がわしを後ろから抱きしめていたのだ。

「すーっ」

呼び掛けても、未だに答えは寝息のみ。
あまりにも強い力で、しかも雄二の方がわしより体も大きい。
抜け出せるのは絶望的だった。


しょうがない、と割り切って寝ようとした。
寝ようとしたのに、時々ふきかかる雄二の色気じみた吐息にドキドキしてなかなか眠れない。

それに、今の状況を冷静に考えてみると、男同士が一つの布団で寝、しかも片方は抱きしめられているのだ。
恥ずかしくないわけがない。




でも、段々背中を通して感じる雄二の温もりが気持ちよくて、気づけばわしは眠っていた。











その日の夢はいつにも増して甘かったのは気のせいだろうか…?

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