銀魂

□作成中
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「何これ?」


あたしは他称眠たそうな目を忙しなく動かしてそうつぶやいた


「どこここ?」


夜空にポッカリと浮いた月を見てつぶやく


「・・・寒いんですけど」


今は確か12月

雪は降ってないけど雲行きは怪しい

そういえばあたし裸足だ、服も冬にしては薄着

だってあたしさっきまで家にいたし、寛いでたし


ここに至るまでの経緯をあたしは思い返した














「あー、疲れた」


仕事から帰って倒れこむように布団にダイブした


あたしは高校を卒業してすぐに就職した

別にやりたいこともなかったしお金がほしかった

普通の接客業で、職場関係もわるくはない

ただ要領があまりよくないのでよくミスをする、だから怒られることも多くってそれで嫌になることもあるけどまあ、もう慣れた


ダルイ体を起こして風呂に入り遅い夕飯を口にする


髪も乾かしてお腹もいっぱいになった

さーて、そろそろ寝ようか・・・と思ったところにピンポーンとチャイムが鳴った


「ああん?」


まさしく布団にもぐりかけた瞬間だったためそれを邪魔されたことに対してイラッとした

居留守でも使おうかと思ったがすぐにまたチャイムが鳴ったため寒さに震えながらジャンバーを羽織りイライラしながら玄関に出た


「はい、どちら様・・・」


ガラッと開けたがそこには誰もおらずイタズラかよ!!と内心ブチギレながら舌打ちをして家に戻ろうとして振り向いた


「は?」


しかし、振り向いた先に我が家はなかった

ていうか全然知らないとこだった



ま、そんなわけで冒頭に至るのだ


「どうすっか」


立ち止まっていてもどうしようもないのでペタペタと裸足で歩き回ることにした

夜中だからか誰もいない、街灯と月明かりのおかげであまり暗さを感じないからそんなに怖くない

にしても・・・全然見覚えのない場所だ


「・・・?」


今、どっかで物音が聞こえた

人がいるならちょうどいい、ここがどこか聞いてみよう


小さな音がする方に歩いていくと音がするのは路地裏だった

その路地をヒョコッと覗いてみた


―ピシャッ


覗いた瞬間、あたしの顔に何かが飛び散った


「んえ?」


顔についた液体を手でぬぐい、その手を見た


「・・・血?」


鉄の臭い、赤黒い色、まだ生暖かい液体


自分の手のひらから前に視線を移す


「あ?一般人か

チッ、面倒な現場を見られた」

「ガキじゃねーか」

「どうする?」

「どうするって・・・」


男たちはお互いに目配せをした


「殺すしか、ねぇだろ?」


男たちはニヤリと笑って手に持ってる刀をこちらに向けた


刀・・・?今時?着物?なんで?

違う、そんなことを考えてる場合じゃない

このままじゃあたしも、あの男たちの足元に転がってる誰かになってしまう


そう自覚した瞬間に急に恐怖が湧いてきた


「っ・・・」

「おい、ガキが逃げるぞ!」

「追え!!」

「絶対ェに逃がすな!!」


あたしは後ろを振り向かずに一心不乱に走った


だけど高校を卒業してから運動という類のものを一切してこなかったあたしだ、体力なんてものは雀の涙


「っしゃ、捕まえたぜ!!」

「ったく、手間取らせんじゃねーよ」

「じゃあな、クソガキ

恨むならテメェの運の悪さを恨むんだな」


男たちのうちの一人が刀を振り上げた

白刃が煌き、あたしになす術はない

涙は流れない、走馬灯も流れない、思考も止まらない


ああ、クソ・・・死にたくねえよ馬鹿野郎



―キィィィィン!!


「そこまでだ」

「なっ!?」

「き、貴様は!!」

「御用改めである、真選組だァ!!」


あたしの目の前に迫った白刃は同じく煌く白刃に止められた


「君、大丈夫?」


座り込んでいるあたしの目の前にタレ目で黒髪のあまり特徴のない青年が顔を覗き込んできた


「あ・・・はい」

「怪我は?」

「して、ないです」

「そっか、よかった」


青年はホッとした顔をして笑った


「副長、どうやら被害者の子は無事のようです」

「そうか


おい、そこのガキ」

「・・・え」


ガキ、と言われてとっさに反応できなかったが恐らくあたしのことだろう


「こんな夜中に何してやがる、家出か?」

「いえ・・・」


煮え切らないあたしの返事に目の前の瞳孔が開いたお兄さんが舌打ちをした

そんなに苛立たなくても


「・・・すみません」


なんて言えばいいかわからなくてヘラッと笑いながら謝った


「・・・」


お兄さんはあたしをジッと見ると眉間の皺を深くした


「山崎、そいつ連行しろ

重要参考人、それと補導対象だからな」

「はい、わかりました」


目の鋭いお兄さんがさっきの男たちの方へ向かっていく中タレ目のお兄さんはあたしに話しかけてきた


「歩ける?ちょっと署まで同行してもらってもいいかな?」

「あ、はい」


あたしはスクっと立ち上がるとタレ目のお兄さんとパトカーへ向かった

パトカー・・・なんか、昔風な部分もあればやたら現代的な部分もあるなぁ
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