青の祓魔師
□あにうえ
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しかし、兄上は僕の顔を見つめたまま、微動だにしません。
というか、少し顔が苦しそうです。
「兄上、どうなさったのですか」
そう尋ねても、兄上は目を閉じて苦しそうなまま、答えてくれません。
ボクはさっきよりももっと兄上に近づきました。
顔の距離は、もはや数ミリほどの近さで、もう鼻と鼻がくっつきそうです。
すると、兄上は、力のない声で「あんまり、私のそばに寄るな」といいました。
何故でしょうか。
いつもの兄上なら、ここでむしろ「さぁ、もっと私に密着なさいアマイモン」とかなんとかいって、ベタベタと甘やかしてくれるのに。
一体、今日の兄上はどうしたというのでしょうか。
兄上の言葉に理解できていないボクは、首を傾げます。
すると、兄上は、はぁ、とため息をついて言いました。
「今私は風邪を引いているんだ。お前にまでうつしたくない」
そういうと、ゴホゴホと苦しそうに咳をして、兄上はソファから立ち上がり、フラフラと危なげな足取りでどこかへ歩いていこうとします。
「どこに行かれるのですか」と聞くと、兄上は咳をしながら「ちゃんとベッドで寝る。早く直さないといけないからな」とだけ言うと、さっさと私室へ入ってしまった。
そして、そのまま残されてしまったボク。
どうしたものかと考えて、ボクはあることを思いついた。
これで、兄上が喜んでくれればいいな。
そんな考えと共に、ボクは急いで静かに理事長室を出た。