青の祓魔師
□初雪
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「雪だ・・・!」
俺はさっきまで真面目にやっていた勉強をやめ、つい窓の外の景色に釘付けになった。
そうか、もうこんな季節か。
今日の朝の天気予報でもそんなこと言ってたな、と朝の記憶を少し蘇らせる。
俺はなんだかちょっと嬉しくなり、隣にいる弟・雪男に声をかける。
「なぁ、雪男!雪!雪だぜ!」
「ゆ、雪?」
ふふん、と得意げに鼻を鳴らして窓を指差す。
「ほら見てみろよ外!真っ白な雪、降ってんだぜ!」
そういうと、雪男は「あ」と小さく素の声を漏らすと、俺と同じように、机から身を乗り出すように窓の外を眺めた。
「・・・・ホントだ、さっきまで晴れてたのに、急に振り出してきたね」
「でもあんま強くねぇから、つもりはしねぇかな」
「うーん、粉雪だからねぇ」
「はは、レミオロメン?」
「何で僕が世界の中心で兄さんに愛を叫ばないといけないのさ」
「嫌なのかよ」
「だってアレ、ヒロイン死ぬ話でしょ病気で」
「あれ・・・そうだっけ?俺、再放送ですらちゃんと見てないから詳しくは知らね」
「まぁ、良いお話なんだけど、僕は兄さんとああいう運命は辿りたくないな」
「何で?」
「ハッピーエンドでいちゃつくお話じゃないと認めない主義だから」
「雪男・・・お前なぁ」
嬉しいけど、なんかくすぐったいだなんて、雪男には死んでも言わない。
ネタにされるに決まってっしな。
あらためて外の雪を見る。
まだ粉雪で、ただ風に乗って、触れたらすぐとけてしまうような、そんな程度の儚いものだけど。
俺は、ほんの一時的でも、雪男と初雪が見れたことを、ただ嬉しく感じたい。
さ、早く勉強終わらせて、雪男を誘ってどっか散歩でも行こうかな。
・・・・ちゃんと、しっかり雪男と手ぇ繋いでやる。
勿論、恋人つなぎでな!
end(まだ一応加筆・訂正する予定)