青の祓魔師
□寒気がする
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―ピピピ…ピピピ…
「…38.2度か…」
「うー…マジか…」
「あ、ほら喋らない!兄さんは病人なんだから大人しく寝てて」
「ちぇっ…へーい…」
「もう…」
兄さんが、風邪を引いた。
昔から、いつも元気で滅多に風邪を引かない、あの兄さんが。
珍しい事も有るもんだな、と僕は兄さんの額に絞ったタオルを乗せる。
「冷た…」
「どう?気持ちいい?」
「うん…まぁまぁ」
「あ、あと今、氷枕作ってくるから。そしたら今より少しはいいかも」
「あ、ゆき…」
兄さんに背を向けて立ち上がろうとすると、兄さんはいつもなら有り得ない程に弱々しい力で、ギュッと僕の服の袖を掴んだ。
「兄さん?どうしたの」
「あ…いや、その」
「?」
兄さんは慌てて袖を放すと、顔の半分まで布団で覆い、僕の事をチラチラと見ては、目が合うと直ぐに逸すという謎の行動に出るのである。
何だろう?兄さんは、僕に何かして欲しくて引き止めたのか?それとも、何か欲しいものが?
普段、こんなに弱っている兄さんなんて見た事がないから、どうしていいのか分からない。
「…とりあえず氷枕作ってくるから、静かに待っててね」
「!ゆき…お」
―バタン。
出て行く寸前、兄さんに呼ばれたような気がしたが、多分気のせいかな。
でも早く戻らないと、兄さん何をしでかすか分からないし。少しでも早く楽にしてあげないとな。
僕は冷蔵庫のある厨房へと足を早めた。