青の祓魔師

□かくれんぼ
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「あれ、兄さん?」

 朝。

 いつもより少し寝坊しておきると、そこにいつもいるはずの兄の姿が無かった。
 朝ごはんの支度でもしているのかとキッチンをのぞくも、そこには兄の姿はなく、ただラップのかかった料理だけが、机に雪男の分だけ残されていた。

 ついでに風呂場やら他の部屋やらも軽く覗いて「兄さん?」などと呼んでみても、やはりそこに兄の姿は無い。

 
 今日は土曜日で学校は休み。だから先に学校にいった、というのはまずありえない。
 もしかしたら、勝呂くんや志摩くんたちと遊びに行ったのかもしれない。


 と、そこまで気にもとめていなかった。

 兄のことは心配だし、できれば自分以外の男と一緒に居て欲しくは無いのが本音だが、いくら好きだからといって、兄弟だから、といってそこまで兄を縛り付ける資格なんて、弟の自分には無い。

 それに、中学までは友達などほとんどおらず一人だった兄にとって、勝呂くんたちとの日常は、今までに無い新鮮な、楽しい日々のはず。
  
 兄が笑顔なら、それでいい。


 

 雪男はそんなことを考えつつ、燐が作っておいてくれたご飯にくちをつけた。




「・・・・・美味しかった、ごちそうさま」

 誰も聞いていないのは知っているが、雪男は目の前にあった料理に敬意を払ってちゃんと挨拶することが習慣である。

 雪男は、食べ終わった皿を器用に洗うと、部屋に戻って着替えをし、ちょうど切れていた日用品でも買いに行こうかと思った、そのときだった。



『ピリリリリ・・・』


 ふいに、携帯の着信音がなった。

 着信もとの名前は、志摩廉造、と書いていある。


 雪男は、何故かこのとき嫌な予感がした。
 その不安をふりはらうように頭を振り、冷静を装って電話に出る。

「・・・はい、奥村です。どうかしましたか」

『ああ、先生ですか?あのー、其処に奥村くん、居て張りませんか?』

「え?兄・・ですか??」

『今日は杜山さんと僕らで、ちょっとした用事がありまして・・・そんで、奥村くんも来る予定やったんですけど。約束の時間なっても全然きぃへんし、まだそっちにおるんかなぁて』

 

 雪男の携帯をもつ手が震える。


「いえ、兄は今日朝から、いなくて・・・・てっきり、志摩くんたちといるものだと・・・・」


『あれ、そうなんですかぁ?・・・何処いきはったんやろ・・・』

「・・・兄は見つけ次第、そちらに向かうようにいいますので」

『すんません、お願いしますわ。ほな、また』





―ピ。


 今日はもう、買い物どころの話ではない。

 雪男は急いで身支度を整えると、、部屋を飛び出し、どこにいるのかも分からない兄を探しに飛び出した。




(兄さん・・!一体、どこにいったんだ・・・・!!!!!)
















―ピ。


「で、奥村くん。これでよかったん?」

「ああ!今日は雪男に俺を探させる、名づけて『兄さんどこにいっちゃったんだろかくれんぼ大作戦!』だからな!」

「名前が何かまんま・・・あいや、なんでもないわ。でも、そないなことしてどうするん?ふざけてるのバレたら怒られるの目に見えてますやん」

「あ」

「・・・・・・・もしかして、今まで何もそういうのかんがえてなかったん?」

「・・・・・志摩、殺されても友達だよな」

「命までかかってはるん!?」

 それはもう自首したらええんちゃうかなー、とか、はよ若せんせのとこいって謝ってきたほうがええんちゃうかな、とか思う志摩だった。




おそらく続く。

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