HENTAIシリーズ

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換気しないといけない。
倉庫に充満してしまった独特な匂いが鼻についてそう思った。
乱れた服を整えながら窓を開ける。
そして骸さんを睨みつけた。

「用がすんだなら早く出ていってください。私は仕事に戻ります」

何か言っても完璧に無視するとすごすご帰って行った。
骸さんがいなくなってから、盛大に溜息をつく。
…シラフでもやっちゃったよ…。





* * *





最近、六道骸がおかしい、そんな噂がまことしやかに囁かれている。

『本当…頭のネジどっかに無くしてきたんじゃないですか』
「至って正常ですよ」

正常な人が、仕事場でただの部下に抱き着くのか、セクハラするのか。
小一時間問い詰めたい。わりと本気でそう思う。

『取り敢えず離してください。邪魔です』
「クフフ、嫌です」

何でこんなことになったんだろう。
数週間前までは、ただの上司と部下で、それなりに仲良く楽しく過ごしてたのに。
何をどこで間違えた…?
……やっぱりあの日にやっちゃったのがいけなかったなぁ。覚えてないけど。
大体、本当に今更なんだよね。
今まで私になんか見向きもしてなかったのに。
一回抱いたら私も女だって気付いたとか?
いやいや周りに言い寄って来る女はたくさんいるだろうし。
となると…私が、実は、名器だったとか…?
でも今までの彼氏はそんなこと言ってなかったし、つうかありえないか。
ああもう、何でこんなこと考える羽目になってんだろ。
つうか骸さんってこんなに話が通じない人だったかな…?
頭おかしくなったのは日に日に強く感じるんだよね。
勘違いであってほしい。

『…はぁ』
「幸せが逃げますよ」
『誰のせいです』
「…え、誰です?」
『骸さんしかいないでしょうが』
「…溜息は僕のせい!?クッハー!」
『何か溜息の意味が違いませんか』

力を込めて振りほどくと骸さんが頬を染めていた。
何だか日を追うごとに…やっぱりおかしいよ。






 

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