HENTAIシリーズ
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『どーしてこうなった…』
やっべ冷や汗かいてきた。
何故かと言われたら、朝起きたら隣に誰か寝てるから。
何言ってるかわかんないと思うけど、ぶっちゃけ私もよくわかってないんで勘弁してほしい。
いやだって、起きたことをありのままに説明してるだけだもん。
うわぁ明らかに男だよね。
男上半身裸なのは見えてるし。
下も確かめれば、そういうことがあったのかわかるけど確かめるのが怖い。
てゆうかやっばい…これはマズイ。
「…ん……」
男がゴロンと寝返りをうった。
一体どちらさんかしらと見てみたら…なんとまぁ。
『骸さん…?』
あらあらあらあらよりによって。
あー…ないわぁ…。
リセットボタン連打もんだな。
「…チサト…?」
寝ぼけ眼の骸さんが私を見た。
それから半身起き上がってスッキリしたいい笑顔。
「おはようございます」
『お、はよう…』
シャワーお借りしますと立ち上がった骸さんは言わずもがな、丸裸だった。
* * *
「…おやおや、それは困りましたね」
シャワーを浴びてきた骸さんと、取り敢えずコーヒーを飲みながら、冷や汗ダラダラで何にも覚えてないと話すと、彼は全然困ってなさそうにそう言った。
『本当…なんて言ったらいいのか…。でもまさか骸さんと、なんて』
「クフ、忘れてしまうくらい昨夜は激しかったんですかね。僕もつい悪のりしてしまったんで」
『あ、どーりで体中痛いわけですね』
骸さんテクニシャンぽいもんね、あはは。
……はぁ。
憂鬱だ。
上司とこんなことになってしまうとは。
私は仕事にそういうはあんま持ち込みたくない性分だったから、遊び人な骸さん相手に今までそういうこともなかったんだけどなぁ。
私も周りの女たちと同じになっちゃったのかな。
骸さんとは中学の頃からの付き合いで、それなりに仲良くしてたからなんか妙に悲しいというか。
それにしてもどうしてこんなことに…。
昨日は酔っ払ってたからなぁ。
酔っ払ってたとこまでしか覚えてないんだよね。
『あのう…骸さん』
「何です?」
骸さんはいつもより幾分か上機嫌に見えるけど思い過ごしか…?
『時に相談なのですが』
「はい?」
『これは…お互い無かったことにしませんか?』
「…………ええ!?」
え、何その反応。
「そ、そこは責任とって彼女にしてください的な…」
『いや、骸さんがいちいち責任とってたら何股ですかって話です』
「え、あ、いや…まぁ、そうですけど…」
『じゃあいいじゃないですか。お互いの利益の為に、ってことで忘れてしまいましょう』
骸さんは俯いて黙り込んだ。
何が不服何だろう。
慰謝料の請求でもしたいのかな?
でも骸さんならお金なんて有り余ってるだろうし。
首を傾げて骸さんを見詰めていると彼は不意に顔を上げた。
「わかりました。直球でいいましょう!」
『え、…はい』
骸さんの青と赤のオッドアイに見詰められて自然と背筋が伸びた。
「僕はあなたと…付き合いたいんです」