ニコラシカ
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夏、といったら海。
私は断然海派。
青い空、海、白い砂浜。
『…さいっこう』
夏休みに入ったので、ここぞとばかりに海に遊びに来た私達。
ツナと獄寺、山本、それから京子とハル。
女の子までいるなんて!
それもこれもライフセーバーをしているという京子のお兄さんのおかげだ。
京子の水着に赤面しているツナを斜め後ろからニヤニヤして眺める。
いいね、甘酸っぱいね。青春だね!
なんて、楽しい空気はすぐに壊されてしまった。
私が京子のお兄さんの了平さんと自己紹介をし終えたあと、彼が私達に元並中のボクシング部のセンパイだと紹介した三人の男たち。
いかにも不良ですっていう空気をまとう彼らは、見た目を裏切らなかった。
私を含めた女子に絡む奴らのあまりのうざさに、砂浜に沈めてやろうかと思ったけど、リボーンに視線で止められた。
何の意図かと眺めていると、なぜか彼らと勝負をすることになってしまったのだ。
リボーンの思惑通りなんだろうな。
なんでもかんでもここぞとばかりに修行にしてしまうのは相変わらずらしい。
昔、ディーノさんが遠い目をしながらリボーンのスパルタ修行について話してくれたのを思い出した。
私も一緒に男たちを蹴散らしたかったけれど、リボーンの無言の要求で傍観を決め込んだ。
多分、この程度の相手なら大丈夫だろう。
てゆうか、大丈夫じゃないと困る。
第1泳者のスタートを見送りながら砂浜に立っていると、スッと奴らのうちの一人が近づいてきた。
「なぁ、君はさっきから黙ってるけど、もしかして乗り気だったりする?」
何をわけのわからないことを言ってるんだと思いながら、無言で顔を向けてやった。
「中学生みたいなガキより俺らみたいなオトナのが、いいんだろ?」
『黙れよロリコン』
ガキで悪かったな。
私だって中学生なんだけど。
「………あ?空耳か?」
『黙れよロリコンって言ったの。中学生相手に盛ってんじゃねぇよ』
私がそんなことを言うとは微塵も考えていなかった男は、しばらくポカンとしていた。
すごい笑顔で言ってやったから、ギャップに戸惑っているようだ。
男が何か言うより早く、もう一人のリーダーポジションぽい男がそいつを呼びに来た。
次の勝負がはじまるらしい。
なんでもこちら側は帰ってきてないらしいけど、なんとなくその理由は見当がつく。
いかにもそういう卑怯なことをしそうだもん。
まぁ、こんなやつらにやられてしまうようなら、所詮それまでだったってことだ。
それこそ、ツナの元でボンゴレとして働くなんて認められない。