ニコラシカ

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朝食を食べ終わり1時間くらい経ってから、私はツナを連れて家を出た。
7月にもなると日差しも大分強くなっていて、もう夏なんだなぁと実感しながら歩きはじめる。

日本に帰ってきてからまだ1週間もたっていないけど、家の周りや学校周辺、通学路は以前とあまり町並みが変わってないこともあって随分慣れたと思う。

「寧々はどこに行きたいの?」
『うーん…特に決めてないんだけど、商店街の方とかどう?』
「じゃあ行ってみようか」

あの店がつぶれただとか、新しくできたアイスの店がおいしいだとか、ツナから新情報をもらいながら商店街に向かう。
小さいころから何度も来ていたそこは、並盛の中では一番変化しているものの、やっぱり昔ながらの商店街という雰囲気は健在だった。

『暑いしどっかでお茶しない?さっきいってたアイスでもいいし。オススメある?』
「じゃああっちに寧々の好きそうな感じのカフェがあるから、」

行こう、と続くはずだったのだろうツナの声は女の子の叫び声に掻き消された。

「ツナさん何してるんですかー!!?ハルというものがありながらー!」

黒髪を高い位置でポニーテールにした少女が怒りながら私たちの前に立ちはだかった。
多分歳は同じくらいかな。
かわいいこだけど、何なんだろ。

「な、ハル!?なんでこんなところに…」
「商店街にいちゃいけませんかっ!?ハルがいながらこんなキュートなこに浮気だなんて、ツナさんひどいですーっ!」

何となく、状況は理解した。

『えっと……ハルさん…?多分誤解だよ』

ツナに勢いよく詰め寄っていた彼女の視線が向けられる。

『私、沢田寧々。ツナの双子の姉』

彼女はたっぷり10秒ほど固まった後、はっとして慌て出した。

「そうとは知らずごめんなさい!確かによく見たら少し似てます」

あわあわしながら謝りまくる彼女は悪そうなひとには見えなかった。

『もしよかったら、これから一緒にカフェ行かない?』
「えっ、いいんですか?」
『うん。ツナもでしょ?』
「う、うん」

圧され気味だったけどツナも嫌がってるわけじゃなさそうだし。
それに、聞きたいこともできてしまったのだ。






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