ブブブブブ、ブブブブブ
不快な振動音が響いて重い瞼を押し上げる。
変わらず振動を続けるケータイ電話を取って、布団に潜り込んだままペアキーを押す。
『…もしもし』
「寧々!おはよう父さんだぞー!」
『おはようお父さん…朝から大声やめて。頭に響く…』
チラリと時計を見ると朝7時。
今から準備すれば十分間に合いそうだ。
「寧々が一人でホテルに泊まるって言うから父さんは心配で心配で!」
『過保護過ぎ。大体夜中に着いたのに家に行けないって』
ケータイで会話しながら布団から出て服を着替える。
『…あ、もうご飯食べて行くから』
「ああ。気をつけてな」
『うん』
「ツナと奈々を任せたぞ」
『うん。じゃあね』
通話を切って伸びをする。
朝食はホテルを出て外でとろうかなと思い立ち、荷物を手に部屋を後にした。