ニコラシカ

□prologue
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夜中、ふと物音で目を覚ました。
起き上がり部屋を出てリビングに続く階段を覗き見ると、電気の明かりがついているのが見え、話し声も聞こえた。

「―――――から、息子が」
「――――まきこむのは、」
「――――継ぐ為に…」

すべてを理解なんてできなかったけれど、幼いながらになんとなくどんな話をしているかわかってしまって。
いても立ってもいられなくなり、小さく所々真剣な声がもれてくる部屋に入った。
お父さんとお客さんとして今日来ていたおじさんが驚いた目で私を見た。
私にもツナにもお母さんにもきかれたくなかったからこんな夜中に話していたんだろう。
それなのに私があらわれたから、びっくりしているのだ。

「寧々、起きたのか」
『お父さん…』
「どうした眠れないのか?」

何も聞いてないと思ったのか、聞いていたとしても理解できてないと思ったのか、父さんがいつものように声を掛けてきたけれど、空気が違う気がする。
それが、私の勘があっていると裏付けていた。

『………して』
「なんだ?」
『私にして!私が行く!』

お父さんが息をのんだ。
じっとお父さんを見上げて自分の意志が揺るがないことを主張する。

「…聞いてたのか」
『うん』

お父さんの話してる様子から、何か危ないことなんだとは思ってた。
私には知らない単語ばかりだったけど、なんとなくわかるよ。
私がツナをまもらないと。

ぐっと両手に力を込めて、先程聞いた単語をお父さんに言った。


『私が――――になる!』







それがたとえ、

一分でも

一秒でも。


先にうまれた私がお姉ちゃんだから、

だから私がツナをまもるよ。






ニコラシカ


2012/04/13


 

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