拝啓、大嫌いな『仲間』たち
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「蓮二」
『貞治、調子はどうだ?』
「まずまずといったところか」
そう言いながら、じっと俺を見つめてノートに何かを書き込んでいる貞治。
と思ったらおもむろに定規を取り出して俺の前髪にあててきた。
「・・・約0.8cmか。やはり毎日じゃないと記録がつけにくいな」
『待て、お前は何の記録をつけているんだ?』
「蓮二の観さ・・・成長日記だ」
今観察日記と言いかけていたがどちらも同じようなものだ。というか俺の成長日記って何だ。
日曜日。約束通り貞治に会うために東京へと来た俺だが、少し会わなかっただけでおかしな方向に暴走しかけている幼馴染みに少々引いた。
だがまあ元気そうで何よりだ。
『テニス部に入ったのか?』
「ああ。他人のテニスを間近で見て勉強できるし、顧問の先生も経験者だから的確な指導が受けれる。それに、構内の奴らの中にはとんでもなく強い奴もいるしな」
『そうか・・・じゃあダブルスもやるんだな』
「正直蓮二以外とは気が進まないんだが、こればかりは仕方ないよ。それより、そっちはどうなんだ?」
『文芸部に入った。テニスはやらないと決めていたしな』
・・・返答がない。顔を上げると、貞治は嬉しいのか嬉しくないのか決めかねているような顔をしていた。
正直気持ち悪・・・げふん。
『・・・・・・どうした貞治』
「・・・いや、嬉しいんだが嬉しくないんだ」
そのままじゃないかまったく。
つまり俺が文芸部に入ったのは嬉しいけれど、文芸部に入ったのが嬉しくないということか?訳がわからない。
「蓮二とテニスをするのも、蓮二にサポートしてもらうのも俺だけでいいから、テニス部などに入らなくて正解だとは思うからいいんだが・・・公式試合などで会えないのは残念だな、と」
待て、ちょっと待て。前半部分が激しくおかしい。何だ俺だけでいいって。何なんですか俺だけでいいって。
そんなディープな友情は持ちたくないんだがどうしようか。え、酷い?何とでも言うといい。嫌なものは嫌なんだ。
『・・・・・・まあいいじゃないか。ずっと会えないわけではないし』
「そうだな。テニス部の奴らにわざわざ蓮二と知り合うきっかけを作ってやる必要など欠片も無いしな」
・・・違う。激しくズレまくっている気がする。