拝啓、大嫌いな『仲間』たち

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最近の俺の趣味:人間観察                                                             「は、初めましてっ。中原美貴です!よろしくお願いします!」

最近の口癖(たぶん):「ふむ」                                                                   「マネージャー?うん、やってみたい!いいの!?」

マイブーム:飲むヨーグルト(うまい)                                                       「もうブン太ったらあ。こーら、ニオちゃんも!練習しなさいっ」

              
                                   馬    鹿    馬    鹿    し    い






午後5:00。俺は図書準備室から見える、遠く離れたテニスコートを見る。今日の観察開始。

ふむ、今日もお姫様ちやほやされているのか、ご苦労様だな。王子様たちは何とかして姫に気に入られようと必死だ。哀れなことだ。お姫様は皆が好きなのであって、誰か個人が好きというわけではないのに。

ん、俺は誰か?モブキャラの1人でいいだろう。知ったところで大して役に立つということもあるまい。というわけでほっといてほしい。

ふむ、お姫様が笑顔でも見せたのだろうか、王子様たちの周りのオーラがピンク色だ。きゃっきゃうふふあははな光景を見ていて吐き気がした。遠くからでもこの威力とは実に恐ろしい。このまま今日の観察はやめてしまおうかと思ったがやめた。まだはじめてから10分しか経っていない。

もう少し続けよう。そう気を取り直して双眼鏡を構える。

レギュラーたちが全員お姫様のところに集まっている。あのデレデレと鼻の下を伸ばした姿。あれのどこが“王者”なのだろうか。いやしかし、彼らの年齢を考えればあの反応は至極当然か。思春期の男の子が女の子に弱いのは真理だ。

お、幸村精市に頭を撫でられてお姫様が赤くなった。他のレギュラーたちは殺気立った。練習はいいのだろうか。

そのまま15分経過。彼らがお姫様から離れる気配はない。今日はもうこれまでか。

双眼鏡をしまって今日の観察日記をつける。今日の今日とて実にくだらない観察だった。実にくだらない時間だったと思う。では何故観察していたのか?それはそうせざるを得ない事情があるからだ。深くは問わないでほしい。

ふむ、今日の観察はこんなものだろう。さて、そろそろ図書室に戻らなければ。どうせ誰もこないだろうけれど。

図書室に入る。予想通り誰もいない。今日も俺の貸し切りとなるだろう。

飲むヨーグルトを買いに行く前にカウンターに『すぐ戻るので少々お待ちください』という紙を置いていく。まあ無いとは思うが、万が一の時のためだ。俺が仕事を放棄していると思われたくない。

準備を終えてヨーグルトを買いに行く。早く戻って来よう。

図書室から飲むヨーグルトを売っている自販機まで5分はかかる。




ん、着信か。

もしもし。

ああ、お前か。どうしたんだ?明日そっちに行くといっていたはずだが。

ふむ、そうか。まあ上手くなだめておいてくれ。いざとなったらいつものアレを使えばすむだろう?はは、そうは行ってない。アレは見ていて楽しいからな。

ああ、うん。わかった。観察日記は明日見せよう。じゃあな。




話しているうちに自販機まで着けた。うん、やはり飲むヨーグルトはうまい。

飲みながら図書室まで戻る。そのまま図書室内へ。(普通、図書室内に飲食物を持ち込んではならない。常識だ)

遠目にテニスコートを見ると、もうお姫様とその取り巻きの王子様たちはどこにも見当たらなかった。真面目に練習している者がちらほらと見えるだけだ。なんて嘆かわしい。

まあそんなことを言ってもどうにもならないが。

以上、本日の観察。

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