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□じゅうに
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ドリンクとかはこんなもんですかねえ。あとはまあクーラーボックスに入れて日陰に置いておけば大丈夫でしょう。タオルは畳んで籠の中に入れておいて、使用済みのものを入れる用の空のカゴを用意しておけばあとは向こうが勝手にやってくれますしね。
あと何かすることってありましたかね。洗濯は今洗濯機がやってくれてて、ご飯はシェフの人たちがやってくれてて、球拾いは知るかって感じで、と。
『おや?樺地くんではありませんか』
「・・・・・ウス」
珍しくボクが完璧に名前を覚えている樺地くんがこれまた珍しく青部さんから離れているだなんて。・・・まずいですね、名前のレパートリーが少なすぎます。ではなく、いったい何があったのでしょうか。
「・・・芥川さんを、探してこい、と・・・。・・・・・どこかで、サボって、いるはずだと・・・」
『部長命令ですか。あの人も横暴ですね』
「・・・いえ。いつもの、ことです」
え、芥川さんという人はしょっちゅうサボタージュするんですか。何てうらやまし――ごほん、何て困った方でしょうか。
『そうですか・・・。手伝ってあげたいところですが、ボクもやらなきゃいけないことがありますし・・・見かけたらコートのへ行くよう伝えておきましょうか。その芥川さんはどのような外形的特徴があるのですか?』
「フワフワとした、金髪で・・・よく、木陰で、寝ています・・・」
うおう、サボタージュでお昼寝ですか。ボクのやりたいことを体現している人ですね。
『木陰で、ですか。木陰というとちょうどこんな感じ、の・・・』
ん?
『・・・・・・樺地くん』
「ウス」
『ここって、金色の毛並みの羊を飼っていたんですね。ほら、見てくださいよ。ごろりと丸まって気持ちよさそうに寝ていますよ』
「・・・・・・・・」
樺地くんは無言でその羊に近づくと、腕を掴んで宙づりにしました。って、ええ!?
「うわあああっ!?何だ!?って樺地?」
「ウス。・・・おはよう、ございます。芥川さん」
ええー、芥川さんってその人ですか。人間だったんですね、その羊・・・。
「んー、あれ?君だーれ?」
『零崎朱識です。初めまして、芥川さん』
「よろしくー。俺、芥川慈郎。ジローって呼んでほしいC」
『(C?)よろしくお願いします、ジローさん』
何だかずいぶんとへにゃっとした印象の人ですね。というかすっごく眠そうなんですけど。今にも夢の世界へ旅立ちそうですけど。
「ん〜〜眠いC。樺地ぃー連れてってー・・・」
「ウス」
いや、ウスじゃないでしょう樺地くん。ここは叩き起こしてムリヤリ自分で歩かせるでしょう。・・・行っちゃった。