main long

□じゅういち
1ページ/1ページ

『というわけで、謙也さんと光くんがボクの味方だと公言してくれちゃったんですよねー』
「酷いわアッキー。そんな迷惑みたいな言い方せんといてや」
「そうやで」
「謙也さんは黙っといてください。うるさくて仕方ないっすわー」
「お前先輩に向かってそれはないやろ!」
「・・・・・・・状況は理解したが、どうしてそれを今話すんだ」

 ううっ。そんなに冷たい目でボクを見なくてもいいじゃないですか。ただボクは、常に最新の情報をゲットしていたいと思っているであろう若に、親切に教えてあげただけ『痛っ!何をするんですか』

「確かに俺は最新の情報を手に入れておきたいとは思っているがな。どうしてそれを今、よりにもよって貴重な、練習の、合間の、休憩時間に、話すんだ、この、阿呆」
『人の頭を叩きながら言うのは止めてください。ボクの脳細胞が死滅します。それと、この時間に言うのは、練習中ではなく休憩中に言ってあげようというボクの親切心です』
「むしろ死滅して一から構築しなおせ。俺を休ませてやろうとかいう親切心や優しさは無かったのか」

 え、充分休めてるじゃないですか。・・・だから叩かないでください。

「まあまあ日吉くん落ちつこうや」
「虫唾が走るので忍足さんは黙ってください」
「俺お前より年上やぞ!?」

 謙也さんったら可哀想に・・・。まあ若の口が悪いのは今に始まったことじゃないので仕方のないことですが。それにしても今日はかなり苛々していますね。カルシウムが足りないのでしょうか。

『若、カリカリしてたらハゲますよ?』
「お前がハゲろ」

 まったくもう。自分が言われて傷つくようなことを人に向かって言ってはいけないと、小さい頃に教えてもらわなかったのですか?嘆かわしいったらありゃしません。

「というか。財前と忍足さんがお前の味方になっても、三人フルボッコにされるだけだと思うけど」
「安心せえ日吉。いざとなったら俺は謙也さんを盾にして逃げる」
「ちょお待ち。被害が俺に集中するやないか」
「謙也さん、頑張ってください。その代わり俺は無傷で逃げ切りますわ(爽笑)」
「見捨てたな!?お前今先輩を完全に見捨てる宣言しよったな!?」
『・・・ていう感じだからまあ大丈夫でしょう。それに、彼らはたぶんボクを集中的に攻撃すると思いますよ。悪いことは全部ボクのせいにしたがるような人ですから。だからボクが攻撃を受ければいいだけです』
「ドМかお前は。あのな、手当してやる身にもなってみろ。あれ結構面倒なんだぞ」

 あれ?てっきり「おおそうしろ。フルボッコにされてしまえ」って言われるかと思ったのに。若、頭でも打ったんですかね。それとも熱でもあるとか・・・・・・っは!苛々しすぎてとうとう頭の血管が切れちゃ――。

「双識さんのケー番はたしか・・・」
『ごめんなさい。ボクが悪かったのでどうか呼ばないでください』

 あ、いつもの若だ。



 現在の時刻、12:30.楽しい楽しいお昼ご飯の時間です。

「はあ?お前のメシ?知るか、自分で用意しろ。・・・何だ、何か文句でもあるのか、アーン?」
 
 楽しい楽しいお昼ご飯の時間です。


『というわけで、ボクは部屋に閉じこもってカップラーメンでも食べてますから、お二人ともごゆっくり』
「え、何言うてんのやアッキー。俺はアッキーと一緒に部屋で食べるで」
「あ、俺も俺も。1人で食うより3人で食うた方がメシもうまいに決まってるっちゅー話や」

 えー、ボクは1人で食べたいのに・・・。ちょうどいいから友ちゃんさんに電話しようとしたのに・・・・。友ちゃんさんは定期的に電話をしないと拗ねちゃいますからね、あの人。むう、どうしましょうか。・・・あ、そうか。後で電話すればいいのか。

『・・・わかりました。ではボクの部屋に集合ということで。じゃ』
「アッキー?どこ行くんや?」
『お湯を貰いに行ってきます。先に部屋に行っててください』
「りょーかい」

 さて、お湯お湯っと・・・厨房に行けばもらえますよね。醤油と味噌とトンコツと塩、うーんどの味にするか悩みます。

「・・・おい、零崎」
『?あなたはたしか、えーと・・・しーどさんでしたっけ?』
「宍戸だ。ししど」

 おしい。

『そうでした。で、し・しーどさんはボクに何か御用ですか?』
「・・・・・・・・あえて突っ込まないが・・・お前、午後はうちの――氷帝の担当だろ」
『・・・・・・・・・・・・はい、ええ、そうだったと思います』

 ぶっちゃけ知りません(笑)だってそんなの誰かに聞けばいいだけのことですし、自分から調べるの面倒ですから。最終的には手塚さんに聞けば教えてくれるでしょう。あの人、良い人ですし。

「今の間は何だ。ったく、せっかく人が警告しに来てやったのに、激ダサ」

 激ダサって言っているあなたが激ダサだかと。ってそうではなく。

『警告、ですか』
「お前、跡部にムリヤリ連れてこられたんだろ?だったら仕事とか投げ出してもいいじゃねえか。このまま午後練になったら、サーブとかスマッシュとか当てられまくるぞ。・・・あいつら、さっきそんなこと話してたし・・・・」

 宍戸さんって良い人ですねー。ボクのことなんかほっとけばいいのに、わざわざ練習に出るなって言ってくれるなんて。
 それにしても沈んだ顔をしていますね。まあ、仲間が暴力をふるおうとしているから仕方ないでしょうけど。

『言われなくても、ドリンクとタオルを用意したらどこかに逃げるつもりでしたからね。大丈夫ですよ。ご忠告ありがとうございます』
「・・・・ああ。それと、財前や忍足、日吉にも気をつけろって言っとけよ」

 そのまま立ち去ろうとする宍戸さんをボクは思わず引きとめていました。

『―――宍戸さん。ラーメンの味は何が好きですか?』
「塩。じゃあな」

 じゃあ今日は塩にしましょうか。


 ・・・・・・・あれ?




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ