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□なな
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『ふむふむ、つまるところ謙也さんはただの変態だと』
「せやねん。女の子見ても考えることはいつもエロいことばっかやし」
「んなワケないやろ財前!零崎、お前も信じんなや!」
『大丈夫です、謙也さん。今すぐブログに流しておきますから』
「あかーん!!」

 ああ楽しい。こんな馬鹿馬鹿しい話をすることが酷く楽しい。まるで白昼夢を見ているよう。
 ちらりと若を見ると、若はボクの視線に気づいて口パクで何か言ってきました。

「(嬉しいだろ、バーカ)」

 ええ嬉しいですとも。こんな風にボクのことを何も知らない人と普通に接することができるなんて感動ですよ。・・・え?何がどうなってるか説明しろって?仕方ないですねえ。

 若の部屋から食料を持って出て行こうとしたのですが、その直前に忍足謙也さんが帰ってきてしまったのですよ。なんでも、「早く食べたモン勝ちやー!」という理由で。まあそれでボクとかち合ってしまいましてね。説明するのが面倒だから回想といきましょう。小説って便利です。




「・・・・・・えーと、零崎やったっけ?」
『はい、零崎朱識。●●歳です(笑)』
「自分、何でここにおったん?」
『それはですね、そこにいる日吉若くんから非常食を恵んでもらうためです。ボクの分の夕食は無くなっちゃったらしくて』
「無くなったって・・・・いらんゆうたんちゃうかったん?跡部は食欲無いらしいゆーてたけど」
『おサルさんのお尻のように真っ赤なウソですね。食欲がないのなら、今こうやってラーメン食べていませんよ』
「そらそやな」
「忍足さん、こいつはただの阿呆ですからお気になさらず」
『若、君酷いね』
「酷いのはお前の頭の中だ」
「失礼しまーす。謙也さんいます・・・・・・謙也さんて年下の男が好きやったんですね」
「何でや!ただ一緒におっただけやないか!」
「・・・・・・・引きますわー」
「人の話を聞けやあああああ!!」
「あー・・・・悪いけど、どちらさん?」
『零崎朱識です』
「じゃあアッキーって呼ばせてもらうわ。俺は財前言います」
『・・・・・!もしかしてハンドルネーム、”ぜんざい”ですか?”ぜんざいのピアスで呟き”っていうブログをやってる?』
「なんや知っとるんか?」
『はい。ボク”レクト”です』
「おおーー!レクトさん?ほんまに!?いっつもコメントくれるレクトさん!?」
『はい!まさかここでぜんざいさんに会えるとは思ってなかったです!』
「俺もや!ここで会えたのも何かの縁。存分に語り明かそうやないか!」
『はい、喜んで!』



 ・・・・・・ということで見事にぜんざいさんこと光くんと意気投合しました。ボクの友達認定です。謙也さんとも仲良くなりました。二人とも面白いです。流石お笑いの本場の大阪人。あ、光君はボクのことをアッキーと呼ぶそうです。

「ところで、なんでアッキーは合宿に来たん?別にテニス部員でもないやろ?」
『そのと―りですが・・・・・何故か強制的にこんな状況に』

 かくかくしかじかと今までの経緯を説明すると、光くんと謙也さんは同情の眼差しをくれました。ありがとうございます。その心が嬉しいです。

「それでさっき侑士が悪口言っとったんか。納得納得」
『まあ、特に気にしてませんが・・・・・・いえ、ボクのナ●トを奪った罪は重いですね』
「暴力・監禁・窃盗及び器物破損をやられておいて出てくる言葉はそれか」
「強いなアッキーは・・・」
『いえ、ボクが強いか弱いかの問題じゃあないんですよ。あの人たちはただお子ちゃまなだけですから、誰かでストレス解消してなかったらやってられないんです。ですから、優しいボクがこうして健気な――――』
「どこが健気だ。阿呆というんだバーカ」

 なんかマジで泣きそうなんですけど。涙がほろりと落ちそうなんですけど。若ちゃん酷い!・・・・・・・・・・自分で言ってて吐き気がしました。




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