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□し
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『・・・・どうしたらいいですかねえ』
<どうするも何も、君の家賊に言えばいいんじゃないのかい?>
『・・・・・・・・中学校が血の海になりますよ?』
<ごめん、間違えた>
『やっぱり貴方でも良い案は浮かびませんか』
<うん、ごめんね>
『いいえ。・・・ところで、こんな夜中まで起きていていいんですか?明日も早いのでしょう?』
<うわ、そうだった。じゃあ朱識くん、おやすみ>
『おやすみなさい、いーちゃんさん』
ピッと電源を切り、1つ溜め息。あの戯言遣いさんでも駄目でしたか、残念です。ボクは平和に穏やかに学校生活を送りたいだけだというのに、何故イジメなどというドロドロした展開に巻き込まれなければならないのでしょうか。
別に攻撃はいなせるから大丈夫なのですが、問題はボクの私物ですね。教科書、ノート類はいいとしても、筆記用具や本をバッキバキにされてたり破られたりするのは困ります。本とかはまだ読みかけの場合もありますし。
若は巻き込めないし、どうしましょうかね。
「・・・・だからどうして俺をサボりに巻き込む」
『これぐらいは許して下さいよ。誰も知らないんですから』
ぶちぶち文句を言いながらも、ちゃっかりサボりまくってる若だって人のことは言えないと思います。
『ボクのマンガ〜。今日発売されたばっかりのナ●ト〜・・・・』
「そんなことを言うのなら買ってこなきゃいいだろ」
聞こえません。そんな若の言葉なんて聞こえません。いいえ、聞きません。
「あぁ、そうだ。言うの忘れてたけどな」
『何ですか?』
「聞いて喜べ。お前、今度のテニス部合同合宿に招待されるぞ。しかも合宿は明後日から。泣くほど嬉しいだろ」
『地獄の片道切符をもらった気分ですよ』
合宿、合宿ね。京都にでも逃げましょうか。今日の夜にでも。
「お前を捕獲するのは今日の10:27。あと5分だな」
『アディオス、若』
5分って!いや、ないですよこれは。でも今から急いで学校から逃げればいけます。まともに階段とかを使っていたら絶対に間に合いませんけどね。今は屋上から飛び降りて急降下中です。
途中校舎の壁を軽く蹴って衝撃を和らげながら着地。でないと足の骨がぼろぼろになっちゃいますからね。
あとは校門までダッシュすればいいだけなんですけど、いや、やっぱり遠いですねえ。というか、飛び降りた位置がマズかったです。よりにもよって校門から一番遠いとこに着地してしまうとは。いえ、今はそんなこといいです。ダッシュですよ、ダッシュ。
よし、あと10メート
「今だっ!!」
『最っ低ですよね。待ちぶせしているだなんて』
「アーン?俺様の見事な戦略と言え」
『わー。ナル・・・・・・・えーと、跡部先輩すごーい、かっこいー』
「今てめえ何て言いかけた」
『ナルちゃん先輩』
「てっめえ・・・!!」
人を怒らせるのって楽しいですよね。え、ボクだけですか?
『というか、これ監禁ですよ。犯罪なんですけど』
「俺様だから許されるんだよ」
『流石ジコチュー先輩。世界は俺を中心に回っているっていうお考えですか』
あ、青筋立った。ぴくぴくしていて、生き物のように見えなくもないですね。
「跡部、もうええやろ。相手していても時間のムダや」
「・・・・ふん」
丸メガネの関西弁の人に言われると、跡部ナルちゃん先輩はようやく引き下がりました。わあ、丸メガネの人って良い人な――。
「・・・・・・・・こうやって黙らせとけばええんや」
わけないですよね。マジの目をして蹴り入れやがりましたよこの人。
『・・・キレイな顔が醜く歪んっ』
「黙っとけ言うたやろ。一回で聞け」
うえー、腹にジャストでこいつまた蹴り入れやがった。
見下されるのは慣れてるけど、それで相手を増長させるのは腹立つ。愉悦に輝く目と歪む顔が一番ムカつく。
「・・・・・・・・。跡部さん、忍足さん。立海が到着しました」
「そうか。行くぞ、忍足」
「はいはい」
『・・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・・・」
無言。沈黙。
「・・・・・・・・なあ。朱識」
『あぁっ?』
は?敬語?そんなの知るか。オレ今マジギレ寸前だし。たぶんこーやって拘束されてなかったら今頃暴れまくってるから。
マジで殺す。あいつら殺す。つーか丸メガネ殺す。レンアイなんかしてやんねえし、人間試験もやってやるか。やるまでもなく、生まれた瞬間から不合格だっつーの。ぶち殺すぶち殺すぶち殺すぶち殺す――――――。
「・・・ナ●トの新巻。」
『わあーいっ。ありがとうございます若っ!』
やっぱり若は優しいですね。ボクのほしいものがちゃんとわかているなんて。
『若、縄解いてくださーい。ナ●ト読めませんし』
「・・・・わかったよ(変なところ単純で助かった)」