銀と紅
□七
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一人の男が山の上から忍術学園を見下ろしている。
「ふーん、ここが噂に聞く忍術学園ね・・・・」
ぎらり、と光る眼は血に飢えた獣の輝きを放ち、だらりと下がっている手がぴくぴくと動いた。
「・・・・あ、ひゃ・・・・押さえろよまだ。もう少し、もう少しでみんなみんなみ〜んな真っ赤に染められるんだからさあ・・・」
独り言のような呟きと共に肉を切り裂く鈍い音がかすかに響く。
「あっはあ・・・・ひゃはっ」
恍惚とした吐息を漏らし、男はどくどくと血を流す己の腕にむしゃぶりつき、じゅるじゅると音をたてて血を吸い始めた。
片方の腕から流れる血を吸いながらもう片方の腕はというと己を抱きしめるかのように肩を抱いていて、彼は至福の時とでも言うかのような表情を見せている。
やがて気がすんだのか、男は口から腕を離し、長い舌で口端に付いた血を綺麗に舐め取ると、もう一度眼下に広がる忍術学園を一瞥し、その場から姿を消した。