全力疾走
□俺+二人=曖昧ナ関係
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「来ちゃいましたって、今HR中だぞ!なんでここに来れんだよぃ!」
「私の心配してくれるんですか?でも大丈夫ですよ、私のクラスの先生お休みですから」
「初日から休みって、どんな先生じゃ…」
思わず突っ込むように口を出せば、待ってましたとばかりに丸井に全力で頷かれた。
正直、俺には丸井の気持ちがよう分からん。
嫌がるような素振りを見せとるが名無しさんのことを名前で呼んどるし。無視すれば済むようなことにも、きっちり応えてやっとる。
2人を見ながら悶々と考えとると、ふと丸井と目が合った。
その目が子犬みたいに俺に助けを求めてて。俺は軽く吹き出しそうになるんを我慢し、代わりにため息をついた。
全く、高くつくぜよ。
「名無しさん、今なブンちゃん具合悪いんじゃ」
「なんと!ブン太くん大丈夫ですか!?」
「ブンちゃんな頭が悪い、やなくて頭が痛いらしくて大きい声出すと頭に響くナリ」
そう言えば名無しさんは自分の口を両手で押さえて。本当に小動物みたいじゃな、コイツは。
俺は丸井の視線を感じながらも頬が緩むんを止められんかった。
「じゃけえ、な?今はそっとしといてくんしゃい」
「…むむ。分かりました。ブン太くんの為に私はクラスに戻ります。ブン太くん後でお見舞いに来ますね!」
「……おお、」
静かにかつ素早く教室に戻っていった名無しさんにヒラヒラと手を振って、朝から名無しさんと話せた喜びを心の中で噛み締めた。
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