全力疾走

□俺+二人=曖昧ナ関係
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新学期、新学年、クラス替え。


正直俺はどうでもよかった。
ちゅうかクラスが変わるたびに女子が騒いでくるけえ正直面倒くさい。




「今年はB組か、」




昇降口に張り出されとる表を見て教室に進んだ。入口まで行けばやっぱり近くにおった女子が騒ぎ始めて。その煩さに眉を寄せて一歩踏み出した時に丸井を見つけた。




「お、ブンちゃん」




仲の良い奴が一緒、ということに少なからず感じてる嬉しさを顔に出さないようにわざと仏頂面にしつつ丸井に声をかける。


コイツと同じクラスやったら、一年暇はしないじゃろう。




「今年は同じクラスなんか」




運よく丸井の隣が俺の席で、荷物を机に置いて座った。




「おお、よろしくな仁王!」

「何かいつにも増してウザ、…楽しそうナリ。どうしたん?」

「…はあ、クラス分けの張り紙見たか?」

「阿呆、見たからここにおるんじゃろう」

「…、今年はなアイツと同じクラスにはならなかったんだよ!」




俺は丸井のいうアイツにすぐにピンときた。一昨年、去年とコイツと同じクラスだった名無しさん名無し。


一年の頃から丸井のことが大好きで猛アタックをし続けとる子や。



丸井しか目に入らんせいか俺への態度も他の子と違って普通やったり、同い年なのに敬語使ってきたり。

ちょっと変わっちょるが、俺の数少ないお気に入り。




「なんじゃ、同じクラスにはならんかったんかあ。残念ぜよ」

「残念!?こんな嬉しいことはないだろぃ!」

「仁王、丸井静かにしろ!」

「…あんな可愛い子に好かれて羨ましい限りナリ」

「そう思うんなら代われよ」

「プリッ」




俺が否定とも肯定とも分からん言葉を呟けば丸井は脱力して机に突っ伏した。




「本当に大変なんだぞ、いつもどっからともなく俺の前に現れて…」

「それは愛の為せる技です、ブン太くん」

「愛、なんて俺ら中学生に分かるわけ……って、うわああああああ!」

「煩いぞ丸井!」




腰が抜けたんか椅子から落ちた丸井の横、ようするに俺と丸井の間の通路にいつの間にやら話の中心やった名無しちゃんがおって。


来ちゃいました!なんて可愛らしく舌を出しとった。



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