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05/22(Tue) 19:44
節制ちゃん

圧倒的な火力で逃げるヨッシーを追いかける黄金。
しかし、圧倒的な火力とはいえ…それが止めば攻守交代となるわけだ。
ヨッシーは、何を思ったのか設置型花火を手に持って火をつけた。

「ふはははは!死ね信号!…って熱ッ!?素で熱ッ!?」

意気込みは良かったが、火柱が噴射した瞬間に持つ手がその熱量に耐えきれず花火本体を反射的に空中へ放り投げる。
当然であろう、彼は素手で直持ちしていたのだから…。
投げられた花火は空で弧を描きながら火柱を放ち、やがて黄金の手前に着地して短いその生涯を終えた。
そんな中、涙目で手に息を吹きかけて冷まそうとしているヨッシー、必然的に攻守交代。
黄金は既に戦闘準備を終えていたのだ!

「ふふふ、ヨッシー…これでトドメだぁ!」

得意顔で腕を組み、そんな事を宣う彼女の隣には、いつの間にかロケット花火をセットした空き瓶を持った皐月さんが。
それに気がついたヨッシーは、流石に慌てた様子で声を上げた。

「ちょっと待て!流石にロケット花火はマズイって!?」

しかし、そんな訴えが鬼に届くはずもなく…。

「さっちゃん…」
「はい、黄金様」
「殺れっ!!!」
「承知いたしました」
「承知すんなー!!」

その叫びと共に、無数のロケット花火がヨッシーに向かって行き…夜空に断末魔の声が木霊した…。
良い子は絶対に、絶対にマネしないように。
本当に怪我するから。



そんなわけで、花火戦争も黄金軍の勝利で終結して…再びまったりと花火大会を始める。

「「「「おー」」」」

小さな打ち上げ花火を眺めながら声を上げ。

「「「「ほぉー」」」」

設置花火を並べて、時間差火柱を見て声を上げ。

本当にまったりと花火を楽しんでいた。
いよいよ花火も底をつき、終わりを迎えようとした時。
ヨッシーが声を上げる。

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05/22(Tue) 19:46
節制ちゃん

「よし!締めにへび花火やるぞっ!!!」
「おぉー!!!」

それに元気に応えた黄金を見て、俺と蓮香は顔を見合わせて頷いた。

『黙って見守ろう』

そういう合図だ。
そんな事をしている内に、ヨッシーはへび花火を一つ地面に置いて火をつけようとしていた。

「いいか…?」
「うん!早くやってよ、ヨッシー!」

ワクワク、といった感じで目を輝かせている黄金に促され、遂にヨッシーは真剣な面持ちで火をつける。
すると、黒い塊だったへび花火は、にょきにょきとその姿を現し…一通り伸びきると、コテン、と倒れた。





「「「「………」」」」





一同、沈黙。
ヨッシー一人だけがうんうんと満足そうに頷く中で、黄金が数回の瞬きの後に声を上げる。

「ヨッシー………これだけ?」
「あぁ…素晴らしいだろ?へび花火には風情がある…日本人の心を感じるね」

そう言った瞬間に、ヨッシーの顔面に黄金の鉄拳がめり込んだ。

「何が風情だ!なぁにが日本人の心だ!何も面白くないし、スゴくもないじゃん!散々期待させやがって!ヨッシーのバーカ!」
「はぁああ!?テメェ、へび花火馬鹿にすんなよ!?日本の心だぞ!!?」
「こんな排泄物みたいなのに何の思いも込められとらんわー!!!」

そこから二人は取っ組み合い、殴り合いの激しい喧嘩に発展し、事態が収拾した時には二人ともボロボロになっていて、花火どころでは無くなっていた…。

「では…私はこのアホ二人の治療をして参りますので、申し訳ありませんが」
「えぇ、片付けておきますよ。もう花火の雰囲気じゃないでしょう」
「ありがとうございます、それでは後程………」

会話が終わると、皐月さんはボロボロになった黄金とヨッシーをズルズルと邸の中へ引きずっていく。
ヨッシーは満身創痍で、鼻からはドクドクと赤い液体を垂れ流しているが…、黄金は不貞腐れた顔をしただけでほぼ無傷…喧嘩っていうより、リンチだな、こりゃ…。
そんな光景を見届けてから、俺は声を上げる。

「さ、て、と…片付けでもするか」
「ゆ、縁っ!」

すると、蓮香は声を上げて殆ど空しか入っていない袋から一つの花火を取り出した。
それは、俺と蓮香が一緒に選んで買ったあの花火だ。

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05/22(Tue) 19:48
節制ちゃん

「さ…最後に…」

そう、一度句切ってから…にっこりと笑って続ける。

「最後にこの花火…一緒にやってくれんかの?」

俺の心臓は強く跳ねた。
ドクン、ドクンと、うるさいほど強く。
だが…俺はにっこりと笑い、言葉を返す。

「そうだな、二人きりだし…静かに出来そうだもんな」

俺は、そう言って蓮香から一本貰う。
二人で買った『線香花火』を。



パチパチパチ。



静かな夜に、二つの線香花火の音だけが響いていた。
儚く綺麗なその火花を、黙って眺め続ける。

「綺麗、じゃな…」

不意に蓮香がそう呟いたので、俺は彼女の顔をチラリと見て返事をした。

「………うん」

俺は、線香花火の様な美しさを纏っている今の蓮香を指してそう言った…言葉にするのが何だか嫌で、返事だけ。

「のぉ、縁」

そんな事を考えていると、蓮香がまた呟いた。
その顔は、笑っているのに何処か悲しげだ。

「…なに?」
「………線香花火を、最後までやりきると…願いが叶う…その話は本当なのじゃろうか…?」

そう言うと彼女の線香花火の火種は、ポトリ、と落ちてしまった。
俺は、その話の真偽を知らない…。
何故なら最後までやり切ったことがないからだ。
なので俺は、自らの火種が落ちてから新しいのを二本取り出し、良さそうなのを一本、蓮香に渡して言う。

「試してみよう」
「………え?」
「最後までやり切ったら願いが叶うか…ね?」
「………うむ」

蓮香が受け取ったのを確認し、俺は自分の線香花火に火をつけた。



パチパチパチパチ。



今回のは一段と激しく散って、大きな火花を咲かせている。
もしかしたらいけるかも………。

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05/22(Tue) 19:49
節制ちゃん

そう思ったが、意外とあっさり落ちてしまった…火種が大きすぎたのかもしれない。
俺は何とも言えぬ気分になり、反射的に謝ってしまう。

「………ごめん」

そう言うと俺の肩を、ポン、と叩いてくれた蓮香。
その顔には少しだけ、本当に少しだけ元気が戻っているような気がした。

「まだ…ワシの分が終わっておらんぞよ?」

そう言ってにっこりと微笑む蓮香は、俺にピッタリと身を寄せて線香花火に火をつける。



パチパチパチ。



控えめに咲いたその火花は、どこか蓮の華のようで…儚く、美しく、隣にいる蓮香を想像させた。
俺は、ただただ火花―蓮香に似たそれ―を見守り続ける。
だんだんと華は小さくなっていくが、火種は尚も頑張って上がり続けていた。
そんな火花を、俺は心の中で応援してしまう。

『頑張れ…!』

その思いに応えようと、小さなその花を咲かせながら、上へ、上へと、ゆっくり動き続ける火種。

『あと少しだ!もう一息…』

一際強く、強く俺は祈った。
しかし………。





ポトリ。





祈りも虚しく、後少しという所で華は散り…火種は悲しげに地面へと吸い込まれた。
その、短い生を終えて…。



「…落ちて…しもうたわ」



そう、呟いた彼女の顔を見る。
その目からは、ポロポロと大粒の涙が溢れ落ちていた。

「蓮香、いったいどうした」
「…終わり………終わって、しまったんじゃ………」

理由を問いかける俺の言葉を遮り、また呟く。
尚も、彼女の涙は止まることなく流れ続けている。
そんな蓮香を見ていたら、頭の中がぐちゃぐちゃに掻き乱されて冷静な思考が出来なくなっていた俺は、思うがままに言葉を口にした。

「泣くな!泣くなよ蓮香!…花火はまだある!また一緒にやろうよ!次はきっと」

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05/22(Tue) 19:51
節制ちゃん

「縁…終わってしまった…花火が…もう…」

しかし、俺の言葉が耳に入っていないのだろう…。
顔をくしゃくしゃに歪めて涙している蓮香。
俺は、彼女の涙の理由を考える事もせず…兎に角蓮香を泣き止ませたくて、また笑って欲しくて…彼女の体を包むように抱き締めた。

「蓮香…頼む…もう泣かないでくれよ…」
「!?…縁っ、縁っ!」

胸の中で、俺の名を呼びながら泣き続ける蓮香。
やがて、少し落ち着いたのか…彼女は俺にこう言った。





「もっと…もっと強く…抱き締めてたもっ…」





俺は、黙って彼女の言う通り強く抱き締める。





「………すまぬ、縁………」










ザクリ。










そんな音が、聴こえた気がした。
すると、俺の頬に冷たい何かが当たったので、空を見上げてみる。
あれだけ綺麗だった星空など今はなく、漆黒に染めあげられた空からは、ぱたぱたと雨粒が降ってきた。



あぁ、空が泣いているんだ。



何となく、そんな突拍子もない思いが頭に過る。



ザク、ザク、ザク。


また、聴こえた気がした音が耳に入る………。
どうやら、残念ながら…気のせいでは、ないようだ………。
体から何かが急速に抜けてゆく感覚…それとは対照的なまでにゆっくり、とてもゆっくりと身体が冷たくなっていくのが、分かる…。



ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク!



何となく、分かってた。

こういう事になるんじゃないかって………。

信じたくは、なかった…でも…信じざるを得ないようだ。



俺の腹部は、



愛しい蓮香に、



滅多刺しにされている。



…この、残酷すぎる事実を。



それと同時に、漆黒の空は本格的に泣き出してしまったようだ。
それは無情にも、冷たい俺の体を更に冷やしていく。
俺の抱き締める力が弱くなったのを確認した蓮香は、ゆっくりと俺から逃れて立ち上がる。
支えを無くした俺の身体は、グラリと揺れて前に倒れた。
目の前にある蓮香の足にすがり付くが…難なく彼女に蹴りほどかれた。

「…縁…まだ、耳は聞こえておるか?」

鋭く冷たい、刃のような声で問いかけてくる蓮香。
俺は、言うことを聞かなくなりかけた身体に無理矢理命令を出し顔を上げる。

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