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05/22(Tue) 19:18
節制ちゃん

閑話休題。

俺達は本題である花火を探す為に、広い店内をさ迷っていた。

「しかしまぁ…広すぎて中々に見つからないな、すぐに見つかると思ったんだけど」

俺は何となしに呟く。
すると、黄金が閃いたといった表情を浮かべて喋りだした。

「そーだ、ゆーくん!探し物の時にはね…『こういう時は、二手に別れよう』って、この前見た映画で言ってたよ!」
「いや、黄金…どんな映画見たか知らないけど、それは俗に言う『死亡フラグ』を立てる行為だからなー?良くないぞ、多分」

その言葉に、黄金は『脂肪、フラグ?…あぶら?はた?』と首を傾げている。
どうやら、死亡フラグの意味を知らないらしい。
無知な彼女に説明しようか迷っている時、ヨッシーが口を開く。

「脂肪、じゃない、死亡フラグはさておき。ここは信号の言う通り二手に別れて探した方が早いんじゃないか?…ほら、携帯電話もあるんだし、迷子にゃならんだろ」

それに、花火を探すだけで死ぬ訳無いし、と付け加えて言う。
確かに、その通りだ。
ふむ、根子月君にしちゃ真っ当な意見だな。

「おいおい八尾っち。『にしちゃ』が余計だぜ?」
「ん?お前何言ってんの?…俺まだ何も言ってないんだけど」
「いやぁ、言われる様な気がしたからさー、先に言っといた!にゃっはっはっ」
「…ふーん、そう、なら言ってやるよ。ヨッシーにしちゃ真っ当な意見だよ、ヨッシーにしちゃ!」
「強調すんなよ!?」

ヨッシーの無駄な鋭さなんてのは、最早定例事項なのでどうでも良い。
ツッコミなどは不要。
俺は意見に賛成の意を示し、メンバーを割り振る事に。

「えーと、じゃあメンバー割りは…」
「俺は八尾っちと行くぜ!」
「黄金ちゃんはゆーくんと一緒!」

がしかし、俺の言葉を全く同時に遮るアホが二匹。
しかも、二匹共々狙いは俺との事らしい。
うわぁい、俺超モッテモテー………全ッ!然ッ!嬉しくないわー。

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05/22(Tue) 19:19
節制ちゃん

そんな俺の思いも知らず、ヨッシーと黄金は不毛な言い争いを始めた。

「ちょっとヨッシー、ゆーくんは黄金ちゃんみたいな超絶美少女と一緒に花火を探したいの。空気読めよバーカ」
「はんっ、馬鹿はお前だぜ信号。八尾っちの気持ちが全然わかってないな…いいか?花火ってのは爆発、男のロマンだ。つまり!八尾っちは大!親!友!の俺と『夢と友情の打ち上げ百連発』を探す旅に出るんだよ。お子様はへび花火でも探してな」
「はぁー!!?誰がお子様だバカ!!!しかも、へび花火って何だよ!」
「はぁー…お前はへび花火を知らんのか、あの有名な…素晴らしい情緒溢れる至高の花火を。危険も少なく、お子様の教育にゃ持ってこいだ」
「こっ、黄金ちゃんそれ位知ってるもん!」
「へぇへぇ、ほぉほぉ、それじゃあどんな花火か言ってみな?」
「そ、それは…その…」
「へっへっへっ、やっぱり知らないんだろぉー…?」
「知ってるもん!ヨッシーのバカ!!!」

黄金が叫び終わると同時に店内へ響き渡る銃声…のようなハリセンの打撃音が二発。

「お静かに願います………と、先程申し上げましたよね?いい加減にしないと、私本気でキレますよ………?」

ニコニコと笑顔を浮かべ、その頭には無数の怒りマークを貼り付いた皐月さんが騒音の元をハリセンで、文字通り叩いたのだ。
そりゃもう思い切り。
粛正された二人は、頭にたんこぶを作り床に倒れている。
小さな二つ分の『すみません』が俺の耳には届いた。
それを一部始終見届けた所で、黙っていた蓮香が口を開く。

「して、縁。結局どうするのじゃ?」
「うーん、そうだね…」

俺は少しだけ迷った素振りを見せてから、最初から決めていた答えを口に出した。

「…うん、俺は蓮香と探したいな」
「「なっ、なにぃー!!?」」

その言葉で、ヨッシーと黄金が起き上がり叫ぶ。
いや、そんなに驚かなくても…理由は知ってるだろうに。

「俺は狐至上主義だ」
「「そうだったぁー!?」」

頭を抱えてまた叫ぶ二人は、再び皐月さんに粛正された。
そりゃあもう、メッタメタに。
可哀想に二人とも…。

え?…どこがって?

そりゃあ、主に頭ですよ。

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05/22(Tue) 19:21
節制ちゃん

「それでは八尾様、また後程お会い致しましょう」
「えぇ、よろしくお願いします。えーと、その…二匹」
「はい、お任せください」

と、一通り騒ぎが収まった所で別行動をする事に。
一言二言会話をして、皐月さんはお辞儀をして去っていく。
二人を引きずって…。
それを見届けてから、俺は唖然とする蓮香に声をかける。

「さ、蓮香。俺達も花火を探そう」
「…え?…あぁ、そうじゃな」

彼女の小さな手を握って、俺は歩みを進めた。
皐月さん達の向かったのとは別方向へ。

周囲を確認しながら、ゆっくりと店内を歩く。

「蓮香ー、あったかー?」
「いや、見当たらんのぉ…」

時々、声を出しあって確認しながら尚歩く。

「花火ー、出てこーい」
「花火やーい、こっちの水は甘いぞよー」
「…それ、違くない?」
「…そうじゃった」

なんてくだらない冗談も交えながら、尚々歩く。



歩く。





歩く、歩く、歩く。









歩く、歩く、歩く、歩く、歩く!!!















「ダメだ…全然見当たらない…」

俺は思わず愚痴を溢してしまう。
広い店内、高い高ーい製品棚…そんなものを見回しながら探すのは中々の苦行であり、当然首も痛くなれば足も重くなる訳で…愚痴の一つも言いたくなる。
それは蓮香も同じみたいで、『首が痛いのぉ…』なんてぼやいていた。
そんな時である、俺の目にオアシスが映ったのは。

「休憩、スペース…!」

そこには、自動販売機と数組の椅子とテーブル。
紛れもない休憩スペースである。
俺は直ぐ様蓮香に声をかけ、目と鼻の先にある休憩スペースを指した。

「ちょっと疲れたし、あそこで休憩しよう」
「おぉぉ!?丁度喉が渇いていた所じゃ!縁、走るぞよー!」
「わっ!?ちょっと、引っ張るなって!」

休憩スペースを見た途端、急に元気になった蓮香に引っ張られ、俺は自動販売機の前まで走る。

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05/22(Tue) 19:23
節制ちゃん

目の前へ着くなり、蓮香はパタパタと子供のように種類の違う自動販売機の前を行ったり来たりしていた。

「うーむ、どれが良いかのぉ?種類が多くて目移りしてしまうわい」

どうやら迷っているようだ。
そんな可愛らしい嫁の姿を微笑みながら眺めていると、品定めを終えたらしい彼女はこちらへ振り返る。

「縁、決めたぞよ!この緑と白の『さいだぁ』を買ってたも!」

満面の笑顔でご注文、ありがとうございます。
いや寧ろ、ごちそうさま…鼻血モノです。
俺は指定されたサイダーを購入して蓮香に手渡した。
因みに、俺は毎度お馴染みオレンジジュース、100%のね。
飲み物を手に入れた俺達は、手近な席に腰をかける。
すると、早速蓮香が手にしたサイダーのリングプルを引いた。
プシュ、という小気味良い音が聴いてて心地好い。
それを一気に傾けて、ゴキュゴキュと喉を鳴らして飲み込み息を吐く。

「ぷっはぁー!美味じゃ!甘くて、喉を通るこのシュワシュワが最高じゃのう!」

大袈裟に喋る蓮香に微笑み返し、俺もオレンジジュースのリングプルを引き開けて、口元に運んだその缶を傾けた。

「しかし、こう広いと花火を見つけるのも一苦労じゃな」

蓮香が話を振ってきたので、飲みかけのオレンジジュースを置いて言葉を返す。

「うん、このままだと花火探しで一日が終わっちゃうかもね」
「それはダメじゃ!?」

俺の返しに声を大にする蓮香。
不思議に思って言葉をかけようとしたら、それより先に彼女が言葉を続けた。

「…黄金が、楽しみにしておったからの!」
「…うん、そうだね」

笑顔で喋る蓮香に頷いて返事をする。
その笑顔が、いつもと少し違って悲しげに見えた様な気がしたが、気のせいだと自分に言い聞かせる。
そして、喉元まで上がってきていた嫌な予感を飲みかけのオレンジジュースと共に全部飲み込んだ。

「そう言えば、皐月さんの方は大丈夫かな?」
「そ、そうじゃなー…ワシらと同じ様に探し疲れているかも知れんな」
「うん、すんなり見付けて電話をくれるかと思ったけど…この様子だと、蓮香の言う通りかも」

俺は、場の雰囲気と自らの気分を変えたくて話題を振ると、蓮香もそれに乗っかった。
恐らく、彼女も同じ思いだったんだろう。

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05/22(Tue) 19:25
節制ちゃん

そんな会話の最中、見計らったように聞き覚えのある声が耳に入ってきた。

「うにー…見付かんねー…」
「くっそー…八尾っちが早々に見付けてくれると思ってたのに…」
「はいはい、お二人共。もうすぐ休憩スペースに着きますからシャキッとしてください………あら?」

通路の一つから先陣を切って現れた皐月さんと目が合う。
軽く会釈すると、彼女はにこりと微笑んで後ろの二人へ声をかけた。

「どうやら、八尾様方も我々と同じ結果のようです」
「「え?」」

遅れて出てきてこちらを見る二人へ手を振り、存在を示す。
すると二人は、手を振り返してきたかと思うとこちらに向かって全力疾走。
俺の目の前まで辿り着くと、二人は同時にこう宣った。

「俺にもジュース買ってくれ!」
「黄金ちゃんにもオレンジ買って!」
「………はぁ?」



と、いう訳で合流したのだが。



「いやー!八尾っちの奢りの缶コーヒーは美味い!」
「うにー…右に同じくオレンジ美味ー…」
「………申し訳ありません、私の分まで………」

何故か二人のジュースを奢る事になってしまった。
まぁ、別に高い買い物でもないし…良いんだけど。
皐月さんには言われてないけど、ついでに彼女の分も買った訳だが…それが原因で、とてつもなく申し訳無さそうに縮こまっている。

「いいんですよ、皐月さんだけ奢らないってのも不公平だし」
「そ、そうですか…?」
「そーだよ、さっちゃん。ゆーくんは優しくてお金いっぱい持ってるから気にしなくていいの」
「そうそう、飲みたいジュースがあればどんどん頼もう。な、八尾っち?」
「な、じゃねぇよ。調子に乗って何本も買いやがって…少しは皐月さんの謙虚さを見習えアホが」
「八尾っちー、つれないこと言うなよー。俺と八尾っちの仲じゃないかー」
「へぇー…どんな仲になれば缶コーヒー全味制覇なんて暴挙を平気で出来るのか聞きたいね、根子月君。是非に」

そう言って、ヨッシーの前にある柄違いの缶コーヒー、総計18本を指す。
締めて2160円也、地味に悪質なマネーディストラクション。

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