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05/22(Tue) 19:08
節制ちゃん

「えぇと………あれ?」

しかし、教えようと思った夢の内容は、俺の脳から綺麗さっぱり抜け落ちてしまっていた。
思い出そうにも、その片鱗すら見当たらない。
なので、苦笑しつつそれを伝えた。

「あはは…忘れちゃいましたよ」
「そう、ですか…なら大丈夫ですね」
「…どういう事です?」
「いえいえ、深い意味はありませんよ」

俺は、皐月さんの言動に少々引っ掛かりを覚えたものの、先程吹っ飛んだ、いや、ぶっ飛ばしたヨッシーの安否が気になったので車を降りた。

ヨッシーの奴、死んでればいいんだけど。

降りると、ヨッシーの家の前に蓮香、そして地面で横になっているヨッシーを足でつつく黄金が目に入る。
二人は俺に気付いた様で、こちらに目を向けてきたので片手を軽く上げて挨拶とした。
そして俺は、うつ伏せに倒れたヨッシーに近付き声をかける。

「おーい、ヨッシー。ちゃんと死んだかー?死んだなら返事しろー」

すると、ヨッシーは待っていましたと言わんばかりにピクリと反応し、ゴロリと転がってうつ伏せから仰向けへと体勢を変えた。
その口からは、何とも嘘臭い赤い液体を溢している。

「や、八尾っち…生き返ったか…」
「まぁな、お陰様で人生一番の最悪な目覚めだったよ」
「ふ、ふふ…八尾っちが助かった、だけで…俺は、満足…ゴフッ」

何とも臭い台詞を言い切ると、ヨッシーは赤い液体を吐き出して事切れた。

「「ヨッシー!?しっかりしろっ!死ぬなっ!?」」

………なんて、俺と黄金共々そんな台詞を吐く訳もなく。
赤い液体を吐き散らかし、その手にトマトジュースの缶を握る事切れたヨッシーの死体に冷めた目を向ける。
そして、動かぬ事を確認し、俺は黄金へと顔を向けた。

「ところで…良さんは?」

その姿が見えないので問いかける。
すると黄金は、何ともつまらなそうに声を上げた。

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05/22(Tue) 19:11
節制ちゃん

「なんかね、ヨッシーの話だと朝から姿が見えないんだってさー。茨子といい、良姉といい、なんかタイミング悪いなぁ…」
「ふむ…電話もダメか?」
「うん、良姉ったら携帯電話置いたまま出掛けた見たいで…」

ふむ、残念だが良さんは誘えそうに無いみたいだ。
ならば、ここに長居する必要はない…俺はその旨を伝えるべく口を開く。

「仕方無い、良さんが居ないなら行くぞー」
「そだね。うにー…人数の少ない寂しい花火大会になっちゃうねー…」
「あぁ、俺と黄金、蓮香の三人だもんな」
「うん、ヨッシーも死んじゃったしね」

二人してため息をつくと、含み笑いと共に死体が復活した。

「ふっふっふっ…安心しろ二人共!お前らの心の友ッ!!根子月 好男は不死身だぁ!!!」

と、そんな叫びなぞ俺の耳には入らない。
こちらのやり取りを一歩引いた所で見ていた苦笑いの嫁に対して声をかける。

「蓮香、行くぞー」
「あ、あぁ。じゃがしかし…」

呼びかけると、蓮香は苦笑いのまま叫び散らす動く死体に目を向けた。

「にゃーはっはっはっ!皆の熱い友情が俺に不死身のパワーをくれるのだっ!あぁ…もう泣くのはよせよー!」

俺は、一人芝居を打つそれをチラリと一瞥し、蓮香の手を引き抱き寄せて、その目を手で覆い視界を遮る。

「のわっ!?ゆゆ、縁っ、何をするんじゃ!?」
「蓮香ー、変なモノを見ちゃいけません。教育にも悪いし、目にも精神衛生的にも深刻な悪影響を及ぼすから」
「うぅむ…い、いいのかのぉー…?」

不安そうに喋る蓮香に、正面の黄金が正直に答える。

「あはは!いーのいーの。ヨッシーは死んじゃったんだから構う必要なんて無いの!」

流石は鬼、言うことが鬼畜い。
可愛らしい声で喋る黄金と顔を見合わせて頷き、自らの世界に入っている死体を残して車へと戻る。

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05/22(Tue) 19:12
節制ちゃん

三人で車に乗り込むと、皐月さんが声をかけてきた。

「よろしいですか?」
「うん、さっちゃん出しちゃって」
「かしこまりました」

その声と共にエンジン音が響き渡り、俺達を乗せた車はゆっくりと走り出した…。
死体だけをそこに残して。

「さぁ!今こそ熱い抱擁をっ!………って、あれ?皆は?」

我に返ったヨッシーは、自らの言葉だけが虚しく響くその空間を見回す。
そして気付くわけである、自らの置かれた状況を。

「…置いてかれた!?鬼畜か、あいつら!?」

その通り、鬼畜である。
彼は慌てて走り出し、自らの友人達が乗る黒光りする車を追いかけたのであった…。

「待てぇー!!俺を置いてくなぁー!!?」



追いついたヨッシーも車内に乗り込み、車は再び走り出す。
車内での最初の話題は、勿論先程の事である。

「お前らなぁー、親友の俺を置いていくなんて…流石に酷いんじゃないか?」

流石のヨッシーも、少々ご立腹の様子。
しかし、そんな事は気にせず俺と黄金は口を開く。

「いや、楽しそうに一人芝居してたからさ…邪魔しちゃ悪いと思って。それにキモかったし」
「黄金ちゃんはね、面白いから無視したー」
「ちょっ!?そこは空気読んで構えよ八尾っち!?後、さりげなくキモいとか言うな!?それと信号!何だよその理由!?面白いから無視とか悪質極まりねぇぞ!?」

俺たちの言葉に、律儀にもきちんと反応を返すヨッシー。
そこから、こいつの人の良さが良く分かる。
そんなヨッシーだからこそ、俺達はこうして好き放題言えるわけだ、うん。
だから、俺も黄金も最上級の感謝を込めて、同時に言葉を彼へ贈った。



「「ヨッシー、うるさい」」
「あ、ごめん………って!?何で俺が怒られるんだー!!謝れー!!」
「「やだよ」」
「うがー!!?」

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05/22(Tue) 19:14
節制ちゃん

そんなヨッシーのお陰で、車内は笑いに包まれる。
まったくもって愉快な奴だよ、根子月君。
そのやり取りを静かに見守っていた蓮香も、楽しそうに微笑んでいる。
そんな彼女が、一区切りついた所で声を上げた。

「そう言えば、花火はもう仕入れておるのか?」

その言葉に対して、楽しそうに黄金が答える。

「ううん、まだだよー。どーせなら皆で一緒に選んで買った方が楽しいと思って!」
「おー、そりゃいい考えだな信号。俺のナイスセンスで一番スゲー花火選んでやるぜ!」

それに、すっかり機嫌を治したヨッシーが賛同する。
勿論、俺もだ。

「それなら早速おもちゃ屋さんへゴーだな、皐月さん?」
「はい、存じております。郊外にある大型玩具店へ向かっている所でございます」

流石としか言い様がない反応に、俺は感心する。
こんなメイドさんなら是非欲しいよね。
そんな思いに苦笑しつつ、俺は再び皆との会話を始める。
目的地に到着するまで、馬鹿みないな話で盛り上がり続けた。

「皆様、到着致しました」

皐月さんの声で、俺達は到着を知り窓の外を見る。
そこには、カラフルなPOP体の文字が特徴的な看板が屋根の上に付いた、如何にも玩具店!っていう店がその存在を示していた。
俺達は特に合図をする事もなく順序良く車を降りて、皐月さんの駐車を待つ。
それを終えた彼女がこちらと合流すると、黄金が元気良く口を開いた。

「よっしゃー!花火買うぞー!」
「おー!」
「元気だな、お前ら…」
「まったくじゃな」
「右に同じ。黄金様に根子月様、店内で他のお客様へ迷惑等かけないよう…入店後は静かにしてくださいね?」

そんな二人の『お母さんか!?』なんて返しに、さらりと『私からすれば、お二人とも子供みたいなものです』と答える。
それに対して、ぐぅの音も出ない二人を後目に俺は蓮香と二人で先陣を切り、店の入り口へと向かった。

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05/22(Tue) 19:16
節制ちゃん

店内に入ると、こういった店独特な空気が俺達を包む。
妙に高い天井と効きすぎた空調のお陰で、外との温度差が異常にある。
心地好いを通り越して、寧ろ寒いくらいであった。
そんな事を思いながら高い天井を見上げていると、すぐ後ろから聞き慣れた声が聞こえる。

「ちょっとゆーくん!?ヨッシーは良いけど黄金ちゃんを置いてくなっ!」
「そうだぞ!………って信号、なんで俺は良いんだよ!?」
「えー…?…だって、ヨッシーってそういうキャラじゃん。Mだし」
「ふっ…まぁな…。って、違うわ!誰がMか!?俺はNだ!!」

そんな騒ぎも、バチンという音二つ分と共に収まった。
後ろを振り返ると、頭をおさえて蹲る二人とハリセンを持った皐月さんが。

「お二人共、お静かに願います」
「…お前のせいだぞ信号」
「…うっさいなバカー、ヨッシーが悪いんだ」
「お・ふ・た・り・と・も?」

皐月さんが、自らの手にハリセンを打ち付け音を鳴らしながら喋る。
その、怒気を孕んだ笑顔を見て…『すいませんでした』と二人が謝った事で寸劇は幕を降ろした。

それを見計らい、満足そうに頷く皐月さんに質問する。

「あの、どこからそんなハリセンを?」
「え?…あぁ、コレはですね」

俺の言葉に笑顔のまま答えて指を指した。
その先を目で追うとそこには…。



『特価!高級ハリセン!』
―困った人へのツッコミに、ストレス解消に、その他色々…幅広い用途でご使用頂けます!道行くそこのアナタ!この機会に是非一本いかがですか?―



なんてポップ広告が付けられたワゴンに大量のハリセンが入っていた。
成る程、あそこから持ってきた訳だ…。

「これは良い物ですね、手にしっくりきます。なじむ、なじむぞぉ!?…という感じです。値段も手頃ですし、購入する事に致しましょう」

どうやら大変お気に召した様で…先程から何度も素振りを繰り返している。
その姿を見て、俺はもう一度ワゴンに目を向け値段を確認。

980円にバツ印が書かれ、デカデカと498円!という表示が見える。

………うん、安いのか高いのか分からん。
そう思っていたら、後ろで俺達のやり取りを眺めていた淑女が、ハリセンを持ってレジに向かったのは俺だけの秘密にしよう。

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