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05/18(Fri) 17:17
ちょっと待ってよ!お狐様!〜昨日の殺し屋、今日の嫁!?〜[四]
節制ちゃん
さぁさぁ!ようやく本題に突入の四スレ目!今後も殺嫁から目が離せないぞ!?(笑)
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05/22(Tue) 17:55
第七話・前編『終わりを告げる夏花火』続き
節制ちゃん
「ふわぁぁぁ…あ、と。良く寝た…」
夏休み、それは世の学生達が学業から解放される最高の期間!そんな解放感から、ついつい気が緩んでダラダラ過ごしてしまいがちですよね?
そんな学生の一人である俺こと八尾 縁は、その例に漏れず昼前まで寝腐っていました。
いやね、我ながらダラダラしてるなぁ、とか思ってはいるんですが…今は夏休みなんで、大目に見てやって下さいな。
なぁんて、誰になく言い訳を心の中で呟いて、俺はベッドから抜け出て居間に向かう。
「おはよー………って、ありゃ?誰もいない」
寝惚け眼を擦りながら居間へと入り待ってみたものの、いつもなら聞こえてくる声はない。
目を開けて確かめてみると、そこにはいつもの面々は存在しなかった。
「二人共、何処に行ったんだ?」
いつも何気なくしている挨拶が、急に無くなるというのは何とも寂しいものである。
そんな俺を慰めるように、居間のテレビちゃんは元気にニュースを放送してくれていた。
そんなテレビちゃんの気遣いを汲んで、俺はディスプレイに目をやる。
『祈常ドリームパーク、原因不明の爆発!?』
そういう文章と共に、見るも無惨に崩れ果てた光景が映し出されている。
「…祈常ドリームパークっていえば…たしか、市の外れにある閉鎖された遊園地だったよな…何で爆発なんかしたんだ?」
俺が独り言を呟くと同時にそのニュースは終わってしまい、情報が得られなくなった上に、元々大した興味もなかった俺は、早々にその思案を打ち切った。
すると、それとほぼ同時に玄関から音がしたので、そちらに顔を出す。
そこには、扉に寄りかかり俯いた蓮香の姿が…。
「どうした蓮香?」
「のわっ!?ゆっ、縁か…脅かすでない!」
不思議に思って声をかけると、ビクッと身体を跳ねさせて怒る蓮香。
その反応に思わず謝ってしまう俺。
「え?あ…ごめん」
「…いや、すまぬ。少し惚けておったわ…怒鳴ってすまなかったの、縁」
怒った、と思ったら突然謝り返された。
うぅむ、今日の蓮香はいやに歯切れが悪い…何かあったのだろうか。
そう思った俺は、彼女に聞いてみることにした。
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05/22(Tue) 18:54
節制ちゃん
「蓮香、いやに暗いけど…何かあった?」
彼女はその問いに、笑顔ではっきりと答える。
「別に何もないぞよ?」
俺は、そんな彼女から強烈な違和感を感じたが、本人が何もないと言うのでそれ以上の深い追求はしなかった…。
そして俺はシャワーを浴びて服を着替え、遅めの朝食を取る事に。
あまり腹も減っていないので、有り合わせのハムとチーズ、そしてトマトを焼き立てトーストで挟んだ『縁君特製・手抜きサンドイッチ』を作った。
俺は出来たサンドイッチを食べながら、向かいに座りテレビを見ながら緑茶を啜る蓮香に話しかける。
彼女の調子を見るためともう一つ、聞きたい事があったからだ。
「のぉのぉ、蓮香さんや」
「何じゃ?縁じーさん」
「ゴホンッ…そういや茨子の姿が見えないけど…」
「ん?…あぁ、茨子か。あやつなら朝はように出掛けたぞよ?何処に行ったかまでは知らんがの…」
問いの答えが返ってきたので、俺は『ふぅん』と一言、納得の意味を込めて呟いた。
蓮香も話した感じ普通だし、別に気にする所じゃないと思う、思うんだが…うぅむ…。
「あー、やめやめ」
俺は一言呟いて、大きく頭を振って考えを霧散させる。
いつもの事だか、俺は考え過ぎて変な所に思考が行き着く嫌いがあるのだ。
悪い癖だ、気を付けよう。
そう自分に言い聞かせて、食べかけのサンドイッチを無理矢理口の中に押し込んだ。
「縁ー、今日は何処かに行く予定はあるのかのぉ?」
二人でぽけーっとテレビを眺めていると、蓮香が不意に話しかけてきた。
惚けていた俺は少々驚いたが、冷静になって頭の中の予定フォルダを検索する。
『データがありません』
その結果に笑い、吹き出しそうになるが、笑顔でそれを押し込めて返事をした。
「特にないけど…どうしたの?」
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05/22(Tue) 18:56
節制ちゃん
俺の返事に『そうか』とだけ言うと、蓮香は沈黙してしまう。
…やっぱり変だな。
そう思った俺は、思い切ってもう一度蓮香に問おうとしたその時、彼女が先に口を開いた。
「のぉ…縁」
今にも消え入りそうな声。
俺はその声で一気に不安が沸き起こる。
このまま彼女が消えてしまうような…そんな気がして。
だから俺は、彼女が消えてしまわないように、そっと、静かに声を返した。
「どう、した?」
そう言葉をかけると………。
くぅー。
と、腹の虫が鳴くのが聴こえたのだ。
勿論、蓮香から。
「腹が、減ってしもうたわい…えへへ」
恥ずかしそうに笑って、彼女はそう言った。
その様子を見た俺はガックリと項垂れ、二つ返事でサンドイッチを作り蓮香に差し出す。
畜生…心配して損したよ…。
蓮香がサンドイッチを受け取って美味そうに食べだした時。
扉を乱暴に叩く音、それに続いて高い声で一言。
「頼もー!」
と、間違っている気がする台詞が耳に入る。
『ほにょほへは(この声は)…』なんて喋り、サンドイッチで頬をパンパンに膨らませながら眉を潜める蓮香に苦笑しつつ、俺は玄関へと向かった。
「早く開けないと扉ぶっ壊…」
「開けたから壊すな」
「すよ?」
早々に扉を開けて、物騒な客を出迎える。
予想通り、そこにいたのは黄金だった。
こんなに早く出てくるとは思わなかったのか、彼女は握り拳を上げたまま固まっている。
「おはようございます、八尾様。お休みのところ申し訳ありません」
そして勿論、いつも通り黄金の隣にはメイドの皐月さんが控えていた。
丁寧にお辞儀をする彼女につられ、思わず会釈を返す。
「いえいえ、起きてたので問題ないですよ………と、何用だ黄金」
一応の挨拶も済んだところで、俺は固まっている黄金に訪問の理由を訪ねた。
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05/22(Tue) 18:59
節制ちゃん
すると黄金は我に返って硬直を解き、にかっ、と笑って言葉を発する。
「うん!えっとねぇ!…えっと………えー………」
しかし、用件に至る前に言葉が止まった。
もしかして、こいつ…驚いた拍子に用件をっ…!?
「…忘れたのか?」
「………」
「忘れたんだな」
「え、えへへへへ…でぇも大丈夫!黄金ちゃんにはさっちゃんが付いてるのだ!えっへん!」
忘れたことを認めつつも、自らのメイドが記憶していると言わんばかりに胸を張る。
別に自分の実力じゃないにも拘わらず、とても偉そうに。
しかし、黄金は身長の割に胸が大きいのでとても迫力はある。
別の意味でだが。
そんな俺の思いも知らず、黄金は皐月さんに話を振った。
「さぁ!さっちゃん、言ったげて!」
「はい、聞きたいか主の武勇伝」
「「武勇伝!武勇伝!武勇でんでんででんでっ」」
「ちっがーうっ!!?」
と、ネタの途中で黄金は叫び、華麗に踊る皐月さんの頭をジャンプしてぺちんと叩く。
止めることも出来たが、面白そうなので成り行きを見守る事にした。
「さっちゃん!何で急にコントやるのさ!?」
「はぁ、そう申されましても…ネタを振られたのは黄金様ではないですか」
踊るのを止め、体勢を元の直立状態に戻してから皐月さんは言う。
それに対して尚も叫ぶ黄金。
「振ってないよ!?」
「またまたご冗談を…昨日夜遅くまで練習したではありませんか。『ゆーくんに見せるんだ!』と言って燃えていたのをお忘れに?」
「あ、れ…?…そうだっけ?」
「そうですよ、黄金様…よく、よぉーくっ、思い出してみてください」
皐月さんがあまりにも真剣な顔で言うものだから、黄金は難しい顔をして唸り、記憶を漁っている様子。
『そーだったかな…』なんて独り言を呟きながら。
そうなったのを確認すると、皐月さんは観察していた俺の顔を見て、にやり、と笑った。
うん、やはりといったところ…黄金は皐月さんにからかわれているみたいだ。
この人は、真顔でとんでもない事をしてくれるから面白い。
黄金は良いメイドさんを雇っているなと思う。
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