投稿小説

皆さんも小説を書いてみませんか?

自分用のスレッドを作ってそれにレスしていく形で書いていきましょう♪

書いている方への感想コメントなどは雑談掲示板へお願いします

(このスレはこれ以上書き込めません)
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  次へ 

05/18(Fri) 14:30
節制ちゃん

「「いっ………てぇー!」」

校門前で額を押さえて悶え唸る馬鹿二人。
しかし、俺達は同時に笑った。
全く同じ理由で。

「痛いってことは………八尾っち!」
「…夢オチは無いな」

爆笑。
俺達は、道行く人々なぞ気にもせず時間を忘れて笑っていた。





「ただいまー………って、あれ?」

いつも通り、ヨッシーと自宅前で別れ、俺は家に入った。
しかし、いつもなら玄関まで出迎えてくれる愛妻狐は出てこない。
見ると、奥にある居間の電気もついていない様だ。
少々不審に思いながらも奥へ進む。
何があっても良い様に警戒を怠らずに。
すると、突然明かりがついて声が響いた。

「「退院おめでとー!!!」」

俺の目に映ったのは、蓮香と茨子の姿だった。
そして、唖然とする俺に二人のクラッカー攻撃が炸裂。
みるみる内に俺は紙まみれに。

「え?………どういう事?」
「言葉の通り、退院祝いじゃ!」
「お兄、自覚が無いみたいだから言うけど…結構ヤバかったんだよ?」

苦笑しながらも俺の顔を覗き込む茨子は丁寧に説明してくれた。
何でも、医者の話では生きているのは勿論の事、後遺症もなく動き回れるのが奇跡だ!…との事。

「そうなのか?…俺なら、この通り何とも無いけど…」
「うふふ、流石はワシの旦那といった所じゃな!」
「さぁ、早く座って!今日はお姉ちゃんとアタイが、腕によりをかけて御馳走作ったんだから!」

顔に絡まる紙を払ってテーブルを見ると、言葉通りの見事な御馳走が用意されていた。
俺は、背中を押され促されるまま食卓につく。

「さぁ、いっぱい食べてたも!ほら、縁の好きな唐揚げも作ったぞよ!」
「こんこーん!言ってくれれば出来立てパスタも作っちゃうよん?」

いつになく嬉しそうな二人に、俺は自然と頬が緩む。

「あはは、ありがとう二人とも。…っと、その前に手洗いうがいを…」
「もう、お兄ったら…そんなの後々!とりあえずアタイ、もうお腹ペコペコだからさぁー…先にアレ済ませちゃってよ!」
「…まったく、茨子は仕方の無い奴じゃのぉ…では縁、先に音頭の方を頼むぞよ?」
「はいはい、わかったよ。それじゃ、せーの…」



「「「いただきます!」」」



縁は、心の中で思う。

『今日は、良い日だったな…』

こうして、珍しい一日の幕は降りていくのであった………。

[削除]

05/18(Fri) 14:47
第六話・閑話『男達の憂鬱』
節制ちゃん

―祈常高校・進路指導室にて―

稀ヶ内「…さて、根子月」

好男・良「はい」

稀ヶ内「いや…弟の方だ」

良「…なんだ、紛らわしいな…」

稀ヶ内「えー…コホンッ。お前、卒業したらどうするつもりだ?」

好男「え…えーと、今バイトでやってるモデル事務所で正式に契約して貰うつもりだけど」

良「…コイツは駄目の塊だが、容姿だけは一等だからな…」

稀ヶ内「ふむ…して、条件等は問題無いのか?」

好男「うん、給料こそ歩合制だけど…好きでやってるからその点は問題無いよ、ただぁ…」

良「…卒業証書だけは持ってこいって事らしい…可哀想に、ぷぷっ…」

稀ヶ内「成る程…一番のネックだな、卒業証書」

好男「まっ、マジで?」

良「…当たり前だろバカかお前は」

稀ヶ内「出席日数も危ないし…何よりテストの点数が絶望的だ」

好男「なっ、何てこったぁ!?俺の未来ががががが!?」

稀ヶ内「と、言うわけだ。今後は学業に対して真面目に取り組むんだな」

好男「えぇー?…だってまだまだやりたいエロゲが」

良「死にさらせクズ」

好男「ぐへほっ!!?」

良「…ふぅ…ハゲ、こんな愚弟だが今後とも面倒を見てやってくれ…」

稀ヶ内「やれやれ、姉弟揃って手がかかるな…まぁ、可愛い教え子の頼みだ…確かに頼まれたぞ」

良「…照れるぜ…」

好男「ぐっへ…イッテェ…奥歯折れたかと思った………あ、そういや八尾っちどうしてっかな?」

[削除]

05/18(Fri) 14:48
節制ちゃん

「…おい、ユー…今、何て言った?」

ここは喫茶店『White rabbit』。
忙しかった時間も過ぎ去り、店内にある一席でコーヒーを飲みながら談話を興じていた時である。
店主である銀 銭が、引きつらせた笑顔を浮かべて聞き返してきた。

「え?…いや、だから…赤青が帰ってきたんですよ。そんな驚く事も無いでしょう」

俺が先程伝えた事を一字一句変えず、再度銭兄に伝えると…彼はガックリと項垂れる。
周囲には、それはそれは真っ青なオーラを纏わせて。

「はぁ…そうか…アイツが、帰ってきたのか…」
「何をそんなに嫌がっているんですか、貴方は。そんなに赤青の事嫌いでしたっけ?」
「いや、別に嫌いという訳じゃない…確かに、来る度来る度何かしら破壊していくが…金払いはいいからな。まぁ、苦手ではあるがね…」

そう言って、何かを誤魔化すようにコーヒーを呷る銭兄。
俺は、そんな彼へ更に言葉をかける。

「結局嫌いなんですね」
「…ふっ、若いなユー。嫌いと苦手の違いも分からんとは…」
「誤魔化さないでくださいよ、どっちなんですか?」
「むぅ…拘るな。別にどっちでも良いだろう…」
「ハッキリして貰わないと困るんですよ」

面倒くさそうにお茶を濁す銭兄を畳み掛ける。

「…何故?」
「今日、アイツが来る予定なんです。だから」
「なにぃ!?何故早く言わん!今すぐ店を閉めるぞ!」

俺の言葉を最後まで聞くことなく、勢い良く立ち上がり玄関に向かおうとする銭兄を制するべく声をかけた。

「とっくに閉めてますよー?表示も変えときました。それに、アイツが店を閉めても入ってくるの知ってるでしょう?」

それを聞いた銭兄は、ピタリと動きをやめる。
そして、再び引きつった笑顔を貼り付けてこちらを向いた。

「…帰っても、いいかな?」
「どんだけ嫌いなんですか貴方は…確かに赤青の奴は色々と面倒な所ありますけど、良い奴ですよ?」
「あー、違う違う…そうじゃない…そこじゃないんだよ、ユー…」

[削除]

05/18(Fri) 14:51
節制ちゃん

「…じゃあ、なんなんですか?」

ハッキリしない銭兄に、半ば呆れつつも問いかける。
すると、頭をクシャクシャと掻きながら、何とも言い難い様子で声を上げた。

「いやー、その………誰にも言うなよ、ユー…言ったら、それはもう恐ろしい仕打ちを」
「言いませんよ、俺の口軽く見えますか?」
「うぅむ…実はだな…」

銭兄が何度か躊躇って、ようやく何かを言おうとした瞬間。

「とりゃあー!!!」

謎の掛け声と共に耳につく破壊音。
それとほぼ同時に俺の目に飛び込んできたのは二つの物体。

一つは、見覚えのある白い金属フレームが特徴的な―もっとも、今となっては見る影も無い程滅茶滅茶になっている―扉だったと推測される物。
もう一つは、それに対して恐ろしく綺麗なドロップキックを決めた状態で文字通り飛び込んできたモノ。
長い金髪を靡かせて華麗に着地を決め、その赤と青の色違いの双眼、所謂オッドアイで俺達を捉えると、ニカッ、という音がしそうな笑顔を浮かべる小柄な女の子。

「くししっ!黄金ちゃん、参上ッ!」

そう、今まさに話題となっていた赤青が現れた。
噂をすれば影、とは良く言ったものである。
皆も気を付けよう。

「あーあ…銭兄がハッキリしないから、黄金が到着しちゃったじゃないですか」
「あぁ…そうだな。はぁー…扉が壁にめり込んでるよ…直せるかな、コレ」
「何々!?黄金ちゃんの噂で持ちきりなの!?…うにぃー、美少女はツラいねぇ…テレテレ…で、どんな事話してたの?」

俺の言葉に対して、ほぼ同時に全然違う反応を見せる二人。
銭兄は、黄金を無視して壁に埋まった扉だったものを引きつった笑いと涙を浮かべながら観察していて…、黄金は黄金で両頬をうっすらと朱色に染めながら、恥ずかしそうに身を捩っている。
…常々思うことなのだが、俺の回りは空気が読めないというか、ゴーイングマイウェイな奴が多すぎやしないか?
最近、自分が異常なんじゃないかと思ったりもするよ…。
そんな考えは一切顔に出さず、黄金に言葉を返す。

[削除]

05/18(Fri) 15:01
節制ちゃん

「いや、なに…黄金は可愛いなって話を」
「もぉー!ゆーくんったら正直なんだから!」

俺の嘘に、黄金は嬉しそうに笑った。
こんな笑顔を見れるのだ、嘘をつくってのも悪い事じゃないと思う。
しかし、悪い事だとするならば…今、俺は確実に罰を受けた。
近付いてきた彼女が繰り出した照れ隠しの一撃であろうスクリューフックによってもたらされた脇腹の痛みがそれ。
でも、正直に話をしていたらどうなっていたか…結果は目に見えている。
この痛みの何倍にも相当するモノを銭兄が味わう事となっただろう…。

そんな事を笑顔で考えていたら、遅れて入ってきたメイド・皐月さんが目に入る。
相変わらず無表情で背筋をピンと伸ばした彼女は、俺に気が付くとコチラを向いてお辞儀をした。
それに倣い会釈を返すと、彼女―皐月さん―は口を開く。

「八尾様、お疲れ様です」
「はは、どうも。それは仕事の事ですか?それとも…」
「両方でございます」

俺の発した言葉の意味を、最後まで聞くことなく理解したんだろう。
彼女はサラリと答えてしまった。
少しだけ微笑んで。

「んに?ゆーくんにさっちゃん…何の話?」
「何でもないよ」
「何でもありません」

俺と皐月さんは、首を傾げる黄金に対して同時に答える。
すると彼女は興味を失ったのか、ふーんと言うだけに留まった。
そんなやり取りが終わったのを見計らった様に、銭兄がこちらに近付きながら声を上げる。

「さぁさぁ、扉の件はどう責任取ってくれるんだ信号ちゃん?…と、皐月ちゃんいらっしゃい、久し振りだね」
「…ご無沙汰でございます、銀…様」
「黄金ちゃんには関係無いもーん、てゆーか、黄金ちゃんにいらっしゃいませは無いのかよ馬鹿店主」
「ウチの店では、扉を壊すような奴を客として見なさないのだよ。ところで、何か飲むかい?」

その言葉に、皐月さんは少しだけ迷った様な素振りを見せてから口を開いた。

「…では、ミルクティーを」
「黄金ちゃんはオレンジねー」
「さて、ミルクティーは問題無く出せるが…オレンジはどうかなぁ?…扉が壊れた上に壁も損傷してるし、もしかしたら無いかも」
「ぬぬぬ…馬鹿店主めぇ…さっちゃん!」

パチンと指を弾く音に反応した皐月さんが、即座に持っていた鞄から小切手と万年筆を取り出して渡す。
それを受け取った黄金は、手慣れた様子で小切手に書き込みをしてから銭兄に突き出した。

[削除]

前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  次へ 

[戻る]
(このスレはこれ以上書き込めません)
[TOPへ]



©フォレストページ