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05/18(Fri) 10:44
節制ちゃん

「…帰ってきたか…あの馬鹿者が…!」
「はい!今、校門前にて男性教諭数名が足止めしています!」
「わかりました…皆、しばらく自習にする。教室からは一歩も出ない…」
「稀ヶ内ィイイイ!!!」

稀ヶ内が言葉を言い切る前に、校庭から窓が割れんばかりの叫び声。
ちらりと外に目をやると、校庭の真ん中にポツンと立つ一人の男…奴だ!

「ちぃ…もう校庭まできおったか…」

声に反応した稀ヶ内は、小さく舌打ちをして窓側に移動して外を見る。
すると、校庭に立つ『鬼』は…笑った、遠目でも分かる程確かに。

「悪餓鬼めが…この短期間で、本物の鬼になりおったな………『赤青 力也(せきしょう りきや)』!」

そう、平和だった祈常高校に再び暴力の悪夢を呼び起こそうとした恐るべき赤髪の巨漢…そして、俺とヨッシーの友人だった…男。
その名を『赤青 力也』と言った。
奴は、行き過ぎた行動の結果として稀ヶ内に粛清され、祈常から姿を消した…しかし今、力をつけて戻ってきたのだ。
…最も、奴が消えた理由はそれだけではない…。
恐らく、最大の理由は…。

「おい、稀ヶ内!早く出て来いよ!でないとよぉ…」

その理由を頭に浮かべるよりも早く、赤青は叫ぶ。
それによって、当然思考が中断されるので俺は奴を見た。

「ここにいる奴等、皆殺しにしちまうぜ…?」

こちらを睨みながら後ろの方を指す。
そこには、遠目ではあるが倒れている数名の教師陣、滅茶苦茶に破壊された鉄製の校門が確認できる。
それを見た稀ヶ内は、徐に窓を開けて静かに、だが、ここに居る生徒全員に聴こえるよう言い放った。

「良い子は、絶対に真似するな…!」

そして、彼は飛んだ。
三階の教室から、窓を開けて飛び降りたのだ!
普通、ごく一般的に考えれば一大事である。
少なくとも怪我、悪ければ死に到る重傷を負いかねない高さ。
しかし、稀ヶ内はドスンという音と共に、その両足でいとも容易く着地した。

「赤青!お前は力を持ちすぎた!今ここにて、この稀ヶ内 光がもう一度粛清してくれる!!!」
「うるせぇ!説教ジジィが!!粛清されんのはテメェの方だぜぇええ!!!」

そう言葉を交わすと、両者距離を詰めて行く。
その光景を見ていたら、俺は急に腕を掴まれた。

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05/18(Fri) 10:46
節制ちゃん

「八尾っち!俺達も行くぞ!!!」
「…は?」

ヨッシーはそう言うと、同意を待つ事無く俺の手を引き窓から飛び降りた!



「アホかテメェエエエ!!?」



俺の叫びが終わる頃、俺達二人は地面とお友達になる。
ヨッシーは両足で、俺は背中でお近づきの印とばかりにキスをした。
幸い、ヨッシーが先に着地した事で衝撃が緩和されたようで、俺へのダメージは思いの外少ない。

「やっぱりさ、信号機の件は俺達が何とかしなきゃ!…友達だからな。それに、アイツが祈常から消えたのは、多分、俺達に原因がある…だから、ハゲに頼らず俺達がはっ!!?」
「ウルセェ!アホが!殺す気か!?」

だが、痛いものは痛いのだ。
だから俺は、背中の痛みと息の詰まりに耐えて立ち上がり、真面目な顔で熱血格闘漫画みたいな台詞を宣うヨッシーの顔面を殴った。

「ちょ!?…八尾っち、相手は俺じゃ…」
「知るかボケェ!!!死にさらせぇええ!!!」

不意に殴られたせいで尻餅をついたヨッシーが、片手を前に出して待ったをかけたが問答無用。
俺は怒りのままに蹴りを食らわせた。



時を同じくして、もう一組の方にも動きが見える。



「…アレは…?」
「隙有りっ!」

地面に転がる大柄な男を、ひたすら蹴り続ける男が視界の端に入る。
赤青は、見覚えのあるそれらを思わず注視してしまう。
その行動が、一瞬の隙を生じさせてしまった。
勿論、稀ヶ内がそれを見逃すはずはなく、彼は一足で間合いを詰めて赤青の胸部、心臓を狙い掌打を放つ。

「ぐぅ!?」
「まだまだ行くぞ!!!」

完全に隙を突かれた赤青は胸部の、心臓に響いた一撃に思わず唸り、体を硬直させた。
心臓に衝撃を受けたせいで、身体機能が一時的に停止してしまった為だ。
そんな彼に、真剣な面持ちの稀ヶ内は連撃を放つ。
胴の至る所に掌打を打ち込み、最後の一撃を腹部に放つ事で赤青を吹き飛ばした。
まるで、大砲の砲撃のような音と共に。

「………」

稀ヶ内は構えを崩さずに赤青を見据える。
彼は、これで終わりとは思っていなかったからだ…。

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05/18(Fri) 10:48
節制ちゃん

「…ん?」

俺は、突如として起きた爆発音に、ヨッシーを蹴ることを中断して振り返る。
そこには丁度、稀ヶ内が放った掌打により吹き飛ばされる赤青の姿が映った。

「決着が着いた…?…いや、違うか。アレ位で倒れる男じゃない」
「や、八尾っち…足…どけて…見えない…」
「ん?…あぁ、悪い悪い」

すっかり怒りが抜けてしまった俺は、小さく呻くヨッシーから足を退ける。
すると、のっそりと立ち上がったヨッシーは声を上げた。

「やー…痛かったよ…本当、死ぬかと思った…って、ハゲと信号機の決闘は終わったのか!?」
「ヨッシー、お前なら分かるだろ…聞かなくても」
「くははっ!まぁな!あの信号機野郎がそう簡単に『負けを認める』はずが無い」

そう言って、ヨッシーは懐かしそうに目を細めて赤青の方を見る。
俺も、それに倣って顔を向けた。
俺達は、戦いの行く末を見届ける事にしたのだ………。



「…ククッ…ハハハッ…ハハハハハハッ!」



高笑い。
それと共に起き上がった赤青は叫ぶ。

「ヒャーハッハッハッ!!!全ッ!然ッ!効かねぇなぁ!?えぇ!?稀ヶ内のジジィよぉ!しばらく会わねぇ内に耄碌しちまったんじゃねぇのかぁ!あぁ!?」
「ちっ…口の減らん所は、昔も今も変わらんようだな…」

稀ヶ内は、立ち上がった赤青から目を離さずに呟いた。
彼の放った掌打、その威力は間違いなく必殺となりうるものだ。
しかしそれは、相手が『人』である場合…目の前に在る人外『鬼』に対して、それは適応されないのである。

「見せてやるよ、ジジィ…本当の『打撃』ってやつをなぁああ!」

叫ぶと同時に赤青が動いた。
地面が陥没する程の勢いで蹴り、一気に稀ヶ内との間合いを詰めて乱暴に自らの豪腕、右腕を振るう。
その早さはさながら弾丸、対象に向かう一直線の殺意。
しかし、稀ヶ内はその攻撃を回転しながら受け流し、赤青の拳を地面に吸い込まさせた。
ズドン、という衝撃の大きさを物語る音と共に地面にクレーターが出来上がる。

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05/18(Fri) 10:50
節制ちゃん

「!?」
「…ふぅ、本物の打撃とやらを見せてくれるんじゃ無かったのか?」
「俺をナメるなぁあああ!!!」

受け流し、挑発する稀ヶ内に激怒した赤青。
地面から拳を引き抜き、再び稀ヶ内に向かって腕を振るう。

「オラオラオラァッ!」
「ぐっ…!?」

豪腕による連打。
最初こそ受け流していた稀ヶ内だが、その圧倒的なパワーに徐々に押され始めていた。
その証拠に、反撃も出来ず後退するばかりである。
それを勝機と見た赤青が動いた。

「オラオラッ!足元がお留守だぜ…ジジィ!」
「何ッ!?」

地面を思い切り踏みつけて足場を崩す。
後退していた稀ヶ内は、突然足場が変形したことにより足を取られ、後ろへ倒れ込んだ。
咄嗟に受け身を取り体勢を立て直そうとしたが、それよりも早く赤青の豪腕が稀ヶ内に襲い掛かる。

「貰ったぁあ!!」
「ぐっ…!?」



これにより、稀ヶ内と赤青の戦いは終わりを見せる。
しかし…赤青の拳は、稀ヶ内に届くことは無かった。



「よっ…と!ギリギリセーフだな!」
「なっ!?…テメェは、根子月!?」

彼の拳は、稀ヶ内を捉える寸前に横から割り込んだ根子月によって受け止められたのだ。

「あの世まで吹っ飛べ、信号機!」
「ぐぉっ!?」

完全に虚を突かれた赤青は、根子月の全力の前蹴りによって引き離される。
一息ついた根子月は、後ろで倒れ込んだ稀ヶ内に手を差し伸べて笑った。

「にゃはは!ハゲ、大丈夫か?」
「ふっ…弟子のお前に心配されるとは…私も焼きが回ったかな…」
「くははは!弟子は師を越えるもんだって言ったのハゲだろ?忘れたのかー?」

状況とそぐわぬ穏やかな雰囲気で会話をし、稀ヶ内は根子月の手を取り立ち上がる。
すると、突然大きな笑い声が響いた。
その主は、勿論赤青である。

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05/18(Fri) 10:56
節制ちゃん

「ハハハハハハッ!面白ェ!相変わらず面白ェ男だ、根子月 好男!…なんだ?次はテメェが俺の相手をしてくれんのか?…それとも、二人がかりで再戦かぁ!?あぁ!?」

旧友の登場に心底嬉しそうな笑顔を浮かべ、目を見開いてそう叫ぶ。
それはさながら『戦狂いの鬼』の様であった。
対する根子月はというと、相も変わらぬノリで喋り返す。

「おうともよ!この根子月 好男様が猫に代わってお前をお仕置きしてやるぜ!!!…なぁーんて!そんな風に格好良く言いたい所だけど…お前の相手は俺じゃないよん?」
「…何?」

根子月のにんまりとした笑みに、訝しげな表情を浮かべる赤青。
しかし、自らの身に迫る殺意によってそれを理解した。
根子月の言った言葉の意味を。

「!?」

本能が示す直感に従い、前へ飛び退く。
その後ろの方で、空を切り裂く音がした。
素早く振り返ると、そこに居たのは赤青がこの学校で最も会いたかった、同時に、最も会いたくなかった人物がいた。

「…テメェは…!」

赤青は今までで一番大きく、そして、憎悪と歓喜が混ざり合ったような複雑な声でその名を叫んだ。



「八尾 縁ィ!!!」



その叫びに対し、縁は全く表情を変えず、無表情のままで冷静に言葉を返す。

「…俺が相手だ、赤青。命の保証はしないぞ…」
「ふはっ!フハハハハッ!………死合上等!!!狐風情が、鬼にどれだけ食らいつけるか見せてみせろやぁ!!!」

そう言葉を交わすと、二人はぶつかり合う。
…『狐』と『鬼』の戦いが始まった…。





二人の戦いが始まる前に、根子月は稀ヶ内を連れて校舎側へ避難していた。

「…ここまでくりゃ、とりあえず大丈夫かな」
「根子月、何故避難した…今の赤青が、以前の奴と違うのはお前にも分かってるはず」
「変わってないよ、何にも。不器用で、暴力でしか語り合えない、どうしようもない馬鹿のままだ」

稀ヶ内の言葉に、根子月は穏やかに笑い言葉を返す。
その目はまるで、昔を懐かしむように遠くを見つめていた。
そんな彼の言葉を受けて、稀ヶ内は赤青の方へと目を向ける。
どうやら、これから二人の戦いが始まるようだ。

「…八尾一人で大丈夫なのか…?」

稀ヶ内の呟きに、根子月は爽やかに返す。

「大丈夫!八尾っちは無敵だから!」

二人が見守る中、遂に『狐』と『鬼』の死合が幕を開けた。

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