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01/01(Sun) 23:26
節制ちゃん

「…いや、ウチの愚弟が申し訳ない…帰ったら去勢しておくんで許してやってくれ…」
「いえいえ、ワシは構いませぬぞよ。若い証拠じゃ」
「…いや、二人とも何食わぬ顔で会話してるけど、マジでヨッシー死んだかもよ?壁に人の形の穴が出来るとか、アニメでしかみたことないよ?」

俺の言葉に、二人とも無表情で壁に顔を向けた。
穴から吹き込む風が妙に寂しい。
まるで、ヨッシーの気持ちが流れ込んでくるように。
…俺も、つい蹴りをくれてしまったが…あの男は、一体どこまで飛んだのだろうか…?

「いや、ウチの愚弟が(以下略)」
「いやいや(以下略)」
「二人とも、面倒だからって実際に(以下略)とか言うのはどうかと思うよ?」
「「え?」」

はい、わかりました。
だから、そんな目で二人がかりで睨まないでください。
後、出来れば上げた拳と包丁をしまってください、怖いから。
行き場のない俺は、とりあえず三人分のお茶を入れることで自我を保った。

「さて、わたしはそろそろ帰るとするよ」

それから、何杯かお茶を飲んだ後に良さんは、呟きながら立ち上がる。

「おや、もうお帰りですかの?」
「うむ…新婚夫婦の家に、あまり長居をするのも悪いからな…それに…」

少々照れ臭そうに、ほんのり赤らんだ頬を掻いて言葉を続けた。

「…愚弟の事も心配だしな…」
「良さん、優しいですね…って、いて」
「う、うるさいぞ…八尾…おねーさんにそんな台詞を吐くなんて百年早い…」
「ははは、申し訳ない」

この時、メキビシッ!、という陶器の悲鳴が聞こえた気がしたが…多分気のせいだろう。

そんなわけで…。
蓮香と二人、笑顔で良さんを見送り、風邪引き狐の茨子の為に貰った果物の皮を剥いていると、蓮香が不意に喋った。

「ところで、縁」
「な、なんだい蓮香…?」

遂に来た。
さっきから笑顔が妙に怖いなと思ってたけど、良さんが帰った途端に目が鋭くなったもんな…。
俺は、色々考えを巡らせながら蓮香の顔をちらりと伺うと同時に声が上がる。

「…縁のニオイがアレからプンプンすること、どう言い訳してくれる?」

怖ぇえ!?
目の焦点合ってねぇよ!?

「い、いや…蓮香、何か勘違いして」
「そうか…それだけか、言い訳は」
「ちょ、蓮香さん…話を」
「茨子やー、桃じゃぞー」

それから数日、蓮香は口をきいてくれなかった。
…畜生、俺が何したっていうんだ…。

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02/16(Thu) 19:43
第五話『夏だ!狸だ!鍋奉行だ!』
節制ちゃん

「あ…暑い…」
「いや、まぁ…ほら、夏だからね」

遂に、九美穂にも到来した夏。

燦々と煌めく暑い太陽!

青い海!

そして、白い砂浜!

青春が俺達を待ってるぜ!ひゃっほう!



………とまぁ、そんな感じで世の若者達が浮かれる中、暑さに苦しむ我が嫁を扇子で扇ぐ憐れな俺。
一応、若者です。

「縁ー…ジュースー…」
「あぁ、はいはい。ただいまお持ちしますよ…」

一応ね、俺だって年頃の男の子であるわけでして。
可愛い嫁や、スタイル抜群な義妹の水着姿なんてのを拝みながら、海水浴でキャキャウフフー、なんてしたかった訳ですが………。

「お兄ー………アタイもぉ………ジュース…」
「あぁ、はいはい。わかったよ茨子」

なので二人に、それとなーく話をしてみたんですが。
なんて事はない、全力で拒否されました。

え?
それは何故かって?
簡単ですよ。

一、蓮香は、泳げないし、日焼けしたくないし、人混みが嫌。
二、茨子は、水が怖い。

以上。

こんなこと言われて、無理強い出来ますか?

いやいやいや。

俺には無理です、狐至上主義ですから。



「「…さっきから、何をブツブツと喋ってるのだ…?」」
「え、口に出てた?」
「「うん」」

うわぁ、超恥ずかしい。
きゃ。
…虚しくなってきたので、もう止めても良いかな…?



コンコン。



と、今の気分を吹き飛ばす音が聴こえてきた。
さぁ、今の音はなんの音でしょう?

…はい、ノックの音ですね!
皆、前回の先生の講義を覚えてくれてたみたいで嬉しいです!
そう!狐はコンコンなんて鳴きませんからねー、はっはっは!
因みに、実際の鳴き声は非常に多様で変化に富むとか。
…もしかしたら『コンコン』とかも鳴くのかな?
一応、茨子も良く『こーんこんこん!』って鳴くし…。
これは八尾先生、引退の危機か!?



コンコンコン。



「縁ー…お客様じゃー…早く出てたもー…」
「お兄ー…遂に暑さでやられちゃったのー…?…さっきから挙動不審だよ…?」
「はっ!?…イカンイカン、そうだった…」

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02/16(Thu) 19:45
節制ちゃん

どうやら茨子の言う通り、俺も暑さでやられているみたいだ。
俺は、二、三度大きく頭を振って我に返る。
そして、先程から待たせている謎の客人を出迎えに玄関へ。

「はーい、どちら様でっ!?」

尚も続くノックに、声を上げながら扉を開けようとしたら…
なんと、扉が襲ってくる。
頭でそれを見事に受け止めると、声が聴こえてきた。

「はわわわっ!?すっ、すいません!?」
「…いいんだよ、扉ちゃん…君にはいつも迷惑をかけているからね…蹴破ったりなんだり…って」



はて、何かがおかしいぞ…?



「「扉が喋った!?」」



いやいやいや、んなわきゃないだろ。
俺は、一息ついて冷静に目の前の扉を横にずらして、お客様の姿を確認する。
そこには、茶色のポニーテールを揺らす、小柄で可愛らしい女の子が。

「えと…何かご用ですか?」
「よかった…扉が喋った訳じゃ無かったんですねぇ…」
「そりゃ、まぁ」

ちょっとアホの子の臭いがするね、この子は。

「あ、あのですね。こちらの方に九狐 蓮香様がお住まいになっていると…思うの、ですが…」

女の子は、伏せていた顔を上げて俺を見るなり、目を大きく開いて驚きの声を上げた。

「あ、あなたは!」
「へ?俺?」
「八尾さんじゃないですか!どうして!?」

突然人の名を呼んで、信じられないと言わんばかりに両手で口を覆い隠す。

はて…、誰だったかな…こんな知り合い、俺には居ないぞ?

でも、どことなーく見覚えが…あるような………あぁ!

「電車の子だ」
「そうですー!覚えてくれてたんですね!!嬉しいですぅ!!!」

言うなり、女の子は俺の腰辺りに抱きついて腕をきゅっ、と絡めて………。

メキ。

あれ?…今、とってもイヤな音が!?

メキメキメキ!

「ちょ!?折れる折れるー!死ぬっ!?」

メキメキメキメキッ!

「え?…うわっ!すいません!?………つい、嬉しくて」

女の子は慌てて腕を放す。
すると、俺の身体は重力に引かれてドシャリ、と崩れ落ちた。

…ぐぐ…死ぬかと思った…危うくスプラッター映画ばりに真っ二つになるとこだよ…。

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02/16(Thu) 19:47
節制ちゃん

「だ…大丈夫!…じゃない、ですか?」

目の前の女の子は、申し訳無さそうに俺を見下ろす。

「う、うん…大丈夫、じゃないよ…腰が痛くて動けないから…誰か助けを呼ぶふぅっ!!?」

せっかくギリギリ、本当にギリギリ助かった腰を誰かに踏まれた。
…この感触。
小さくて可愛らしい、それでいてぷにぷにの足裏は………蓮香かっ………!

「およ、すまぬ縁。気付かんかったわい」
「玄関から悲鳴が聴こえてきたから何事かと思って来てみたけど…残念、お兄…手遅れだったね…って!」

茨子が嬉しそうに声を上げたと思うと、客人の女の子に駆け寄った。

「らぶりーん!久々じゃん!元気してたぁ!?」
「おわっ!?なんで茨子ちゃんまでいるの!?」

女の子の手を掴んで、ブンブンと縦に振る茨子。
どうやら、二人は知り合いの様で…。
成る程、電車の中で茨子が匂いを嗅いでいたのはそういうことか。

「で、何でらぶりんがココに?」
「な…なんでも…蓮香に用があるみたいだ…」
「およよ、ワシにかの?」

蓮香は可愛らしく小首を傾げているようだ。
うん、可愛いぞ蓮香。
とっても可愛いから…頼むから俺の腰から降りて…お願い。

「そうなんだよー、で…九狐様はどちらにいらっしゃいますか?」
「え?…らぶりん、何言ってんの?お姉ちゃんならココに………」

茨子は、そう言って俺の上に立つ蓮香を見て絶句する。

あー、笑顔が引きつってるよ…こら、困った顔で俺に助けを求めるな…助けて欲しいのは、寧ろコッチだ!…って、こら!?蓮香、足踏みするなー!?

「ま、まぁ…とりあえず入ってよ!…狭い家だけど。詳しくは中で話すからさ」
「え?…う、うん」

立ち話をしていた二人は、話を終えると俺を避ける素振りもなく、頭や足を踏んで中に入っていく。
…畜生、今日は厄日か?

「…縁、だらしないぞよ?いつまでも寝ておらんで、お客様に茶を出すのじゃ!」
「…俺の心配はしてくれないんだね、蓮香…うぅ…」

泣き真似とかしてみたけど、蓮香に華麗に無視されたので、もう、止めた。

早々と立ち上がって、服の汚れを払ってから腰を庇いつつキッチンへ向かう。

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02/16(Thu) 19:51
節制ちゃん

「どうぞ、粗茶ですが」
「あ、八尾さん。ありがとうございます」

居間で座る女の子にお茶を出してから、真剣な面持ちの狐二匹にもお茶を出す。

「…で、お主は確か狸族の…」
「はい、狸族族長の娘、狸田 愛(たぬきだ らぶ)です」

女の子、狸田 愛さんは…どうやら妖怪狸だったようです。
…もう、今更驚かないよ?
妖怪狐がいれば、妖怪狸もいるさそりゃあ。

「ふむ。して、その狸が何用じゃ?」
「はい…実は…」

彼女の説明は、非常に長くて要領を得ない話だったので、俺的な解釈で要約すると、だ。

何やら、狐族の頭主である九尾狐・蓮香が不在である事が、狸族の耳に入ったらしく。
父親である族長が、部下と一緒に狐族を滅ぼす計画を立てている事を耳にした愛さんは狐族友好派の狸なので、それを防ぐ為に蓮香の力を借りようと必死で探していたらしい。

うん…良い子…いや、良い狸さんだ。
しかし、一つ疑問が湧いてきた。

「…えーっと…愛さん。その計画を耳にしたのって…いつ?」
「えぇ、と…確か…春の中頃だったと」
「うん、では…今の季節は?」
「夏の初めですけど…何か?」



いやいやいや…何か?じゃないよ。
軽く二、三ヶ月経ってるよ、それ。
それだけ期間があれば、もう既に手遅れじゃないか?
そんな事を無表情で考えていると、茨子が口を開いた。

「らぶりん、それ…手遅れじゃない?もう、かれこれ二、三ヶ月は経ってるし…多分、どっちか滅びてるよ」

俺が考えていたことを、殆どそのまま代弁した茨子。
それを聴いた愛さんは、瞳一杯に涙を浮かべて…。

「そんなっ…それじゃあボクの努力は全部無駄だったって事!?」
「…皆の者。少し落ち着け」

取り乱しかけた愛さんも、蓮香が言葉を発した途端に大人しくなる。
この辺り、流石は九尾の狐ってところ。
…まぁ、今はチンチクリンでワガママで嫉妬深い、だけど、とっても可愛い一尾ですけども。

そして、俺の嫁。

ここ重要。

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