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01/01(Sun) 22:40
節制ちゃん

すると、そこにはクラス一の情報通、通称『グーグル』が。

「おい、どーしたんだよグーグル。そんなに息を切らして」

とか。

「また新しい情報でも掴んだの?」

とか。

俺と同じようにグーグルの存在に気がついた数名のクラスメートが話しかけていた。
て、いうかさ…グーグルってあだ名はどうかと思うよ、俺は。
つっても、話したこともないので本名を知らないから、俺も彼をグーグルって認識してるのだけど…。
そんな俺の思案を掻き消すように、グーグルが大声で叫んだ。

「大変だ、皆!今すぐ逃げろ!!!」
「どっ、どうしたんだよグーグル!?」
「何があったのっ!?」
「…祈常の…祈常の悪魔がやって来たぞ!しかも、このクラスに向かってくる!」

グーグルのその一声で、クラス全体(俺を除く全員)が凍りついた。
そして、もうすぐ授業だというのにも関わらず、クラスの連中は一斉に逃げていった…俺とヨッシーを残して。

「祈常の悪魔が来るって…いったい皆は何をそんなに怖がってるんだろう…なぁ、ヨッシー…!?」

疑問を解消すべく、ヨッシーの方に向き直る。
すると、彼は顔を真っ青にして、今にも死にそうな虚ろな目をしていた。

「ま、まさか…あの、悪魔が…学校に戻ってくるなんて…」
「…ヨッシーがここまで怯えるとは…いったい、その悪魔とやらは何者なんだ…?」


カッ、カッ、カッ。

一歩、また一歩。
その恐怖はゆっくりと、しかし確実にこの教室に向かって来ていた。

「ひぃ!?来る…来るぞ、八尾っち!悪魔が…っ!」
「…そんなに怖いのかねぇ、その、祈常の悪魔だっけ?」
「八尾っちはそういうの疎いから知らないだろうが…奴が在学中の祈常高校は、血で血を洗うような暴力が飛び交う、まさに悪魔の世界だったらしいぜ!?」
「…何それ、嘘くさい」
「本当だって!皆が避難したのが何よりの証拠だ!」

もっともらしい理由で熱弁を奮われても…ねぇ?
そんな不良マンガか格闘マンガみたいな話を信じろって言う方が無理ってものだ。
そんな俺のためのように、ついにその悪魔が扉を勢い良く開け放ち現れた。

「出たぁああああ!あっ、悪魔ぁああああ!!!」

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01/01(Sun) 22:42
節制ちゃん

「…ただの良さんじゃねえか」

そう、現れたのはヨッシーの姉、根子月 良さんであった。

「やぁ…八尾…またあったな…」
「どうも、良さん。三日ぶりですかね?」
「…あぁ」

ニヤリと笑い、こちらに向かい歩いてくる良さん。

「きっ、祈常の悪魔めぇ…!…俺をナメるなよ…悪霊退散ー!はぁー!」
「…貴様は何を喋っている、カスが…」
「へぶらっほぉあっ!?」

俺の踵を頭に乗せたまま、良さんに向かって手を伸ばして念動力的な何かを送っているヨッシーであったが…。
やはりといったところ、射程距離に近付いた彼女の鋭い蹴りがヨッシーを捉え、まるでサッカーボールのように蹴り飛ばされた事でこの寸劇は終わりを迎えた。





「いやぁー、はっはっはっ!つい悪ノリが過ぎたぜ!危うく死ぬところだった!」
「…そのまま死んでいれば良いものを…タフな雄だ…」
「えぇ、激しく同意…で、良さん。なんでこんな所に?」

疑問を彼女にぶつけると、代わりにヨッシーが口を開いた。

「あぁ、朝食の時な…今日はコッコちゃんの見舞いに行くって言ったら、姉さんも着いていくって言ってたからさー、一緒に来て貰った!…てか姉さん、今までどこに?」
「職員室」

コノヤロウ。

「お前、最初からサボる気だったな?」
「え?」

コノヤロウ、満面の笑顔で白を切りやがった。

「まぁまぁ…落ち着け、八尾よ…」
「いや、落ち着けも何も…このままじゃこの馬鹿は猫まっしぐら、じゃない、留年まっしぐらですよ?」
「ふふっ…おねーさんに抜かりはない」

そう言ってポケットから自慢げに取り出したのは、俺とヨッシーの名前が書かれた公欠届。

「およ、それは休んでも罪に問われないマジックアイテム!…どこでそれを?」
「ふふふ…おねーさんにはコネがあるのだよ、コネが…」
「流石は祈常の悪魔!やる事が汚い!」
「…ふっ、また蹴り殺されたいか…?」
「すいませんでした」

何だかんだで、仲の良い似た者姉弟である。

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01/01(Sun) 22:44
節制ちゃん

と、いう事で…。
一同、商店街を闊歩中。

「で、学生服のまま来たわけだが…見つかったらアウトだよな、完全に」
「あー、大丈夫大丈夫無問題。祈常の悪魔がついてるから」
「お前はそればっかだな、今日…。で、良さん…祈常の悪魔って話は本当なんですか?」

その問いに、彼女はいつもの様にダルそうな声で答えた。

「あぁ…そうだよ…学生時代はそんな風に呼ばれてたねぇ…うん」
「本当だったんだ…」
「おねーさんは、ただ好きなことしてたってだけなんだよー…?…気の向くままに適当にー…」

話によると、調子に乗ってる生徒を片っ端からぶちのめしたり、仲間とバイクで国道暴走したり、他校の番長と決闘したり…以下、割愛。

そんなことをしてたら、気付けば『祈常の悪魔』と呼ばれていたらしい。
…どんだけだ、この人。

「こんだけすごいのだ、エッヘン」
「いや、姉さん。無い胸張っても八尾っちは振り向かぁあいだだだだ!?」
「…殺してやる…108通りの中から好きな死に方を選べ…」

ヨッシーが自ら墓穴を掘り、某超人の必殺技を掛けられ悶絶中。
もうすぐ、ジ・エンド。
と、いうか…。

「やはり心が読めるのでは?」
「ふっ…おねーさんは八尾の事ならアレのサイズまで知って」
「いや、ガチで恐いんでやめてください」

結局、有耶無耶にされたまま果物店へ。

「…店員が…いない…使えない店だな…」
「ですね、配達かな?」
「その内来るだろー、とりあえず買う物決めとこうぜ」

三人で、何が良いかを検討していると…。

「いやー!申し訳ないっす!今、ウチの親父寝込んじゃってて!」

若い女性が、奥からパタパタと元気良く声を上げながら現れた。
その声に、一同一斉に顔を上げると、その店員さんは驚いた様子で再び声を上げる。

「あっ!姉御じゃないっすか!?お久しぶりっす!」
「おぉー、そういう君は…誰?」

良さんに向かって放った一言が、華麗なまでに外れた店員さんはズッこけた。
そりゃあもう、派手にリンゴタワーに突っ込んだ。

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01/01(Sun) 23:06
節制ちゃん

とりあえず、俺は二人に目配せをしてリンゴの海から彼女を救出し、ヨッシーと良さんにはリンゴタワーを素早く直して貰う。

そうして、引き抜かれた彼女は涙を滝のように流しながら顔をあげた。

「あっ、姉御ぉ…そりゃないっすよ…一緒に死線を潜り抜けた仲じゃないっすかー…」
「いやいや、悪いな…冗談だ。相変わらず繊細だな、悪魔の番犬・ケルベロス秋(あき)」
「きゃー!?姉御、その中二くさい通り名で呼ぶのやめてくださいっす!ウチはもうヤンチャは卒業したっす!今はしがない果物屋の秋ちゃんっすよ!?」

ニヤリと笑う良さんに対して、顔を林檎のように赤く染めて抗議する秋と呼ばれる人物。
どうやら、良さんの旧友らしい。
そんな彼女は、ようやく置いてきぼりをくらっていた俺達に気が付く。

「あや、そういや姉御。このお二人は?」
「あぁ…そうだな…紹介しておこう。こっちの優男は八尾だ…わたしのペット」
「誰がペットか。どうも」
「で…こっちの木偶の坊は、お前も良く知る我が愚弟」
「どうも秋さん!」
「うぇ!?弟くん、でっかくなったっすね!?前はあんな小さかったのにっ!」

そう言って、ヨッシーと自らの身長を比べて、頭一つ分の違いに驚く秋さん。
が、不意に俺の事を上から下までジロジロと観察したと思うと、良さんと肩を組み密談を始めた。

「…で、姉御…このペット君とはどういった関係で…?」
「うむ…実は不倫中なのだ…」
「はい、そこ!妙な作り話すんなっ!」

そんな密談を一刀両断。
空気読め的な視線など知ったことか。

で、やっとこさ本題へ。

「へぇ、ペット君の妹さんのお見舞いっすか」
「ペット君言うのやめてください」
「そうなんだ、秋よ…何か良い果物はないか?」
「へぇへぇ、そう言うことなら…あ、ペット君!妹さん、嫌いな物とかあるっすか?」
「うーん…基本的に好き嫌いはないみたいですが…って、だからペット君言うな!」
「了解っす、ペット君」
「ちょ!?コレ、俺からかわれてるのか!?」
「「「うん」」」

三人同時に笑顔で言われたので、もう口を開くのをやめた。

「毎度っす!三人共また来て欲しいっすよ!」

秋さんは、その後しっかり果物を選んでくれた上に、値段までおまけしてくれた。
いじられるのは嫌だが、また来ても良いかな。

そんなわけで、一同我が家に直行。

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01/01(Sun) 23:11
節制ちゃん

「ただいまー」
「およ!?縁ー、今日は早いのぉー!…と、お客人かの?」

家に入ると、居間から声を上げながらパタパタと走ってきた蓮香。
そんな彼女は、俺の後ろにいる二人を背伸びして見る。

「うん、ヨッシーとその姉の良さん。茨子の見舞いに来てくれたんだ」
「よぉ!れったん、久々!」
「…初めまして、ウチの愚弟がいつもお世話になってます」
「これはこれは…お気遣い感謝ですじゃ。ささ、狭い家ですがどうぞ中へ」

ペコリと頭を下げて中に招き入れた蓮香は、そのまま茨子の部屋へ案内する。

「これ、茨子ー。皆様がお見舞いに来てくださったぞよー?」
「こんっ、こんっ…うぇー、あ、ヨッシーに姉御、いらっしゃ…げほっげほっ!」
「う…想像以上に酷い…」
「だね…コッコちゃん、可哀想に…俺が変わってやれりゃ良いんだが…」

いまだに咳き込む茨子に、二人の表情は暗くなる。
そんな二人に気を遣ったのか、茨子はケラケラと笑いながら起き上がった。

「こーんこんこん!二人がお見舞いに来てくれたんだし大丈夫!風邪なんてあっという間に治るよ…げほっ!げほっ!」
「あ、ほらほら…安静にしていなきゃダメじゃ」
「うー…せっかく二人が遊びに来てくれたんだしゲームでも…ダメ?お姉ちゃん…?」
「ダメじゃ、寝ておれ」
「うー…お姉ちゃんのケチ…げほっ!げほっ!」

と、茨子の病状が酷くなりそうなので、寝かしつけてから居間へ戻る。

「まま、せっかく来たのですからお茶でも飲んでくだされ」
「サンキュー、れったん」
「…どうも」

人数分のお茶を手際よく淹れ、各自お茶を受け取った所で談話が始まる。
話題は、他愛ない世間話から始まり、各々のアホ話やら武勇伝やら、最後には俺達の子供はいつ作るのかって話まで。
実に色々な話題で盛り上がった。
勿論、子作りの件について上げたヨッシーはボコボコになりました。

「あいたた…何故ボコられた、俺…」
「…他人様の性生活に首を突っ込むからだ、カス…もう帰れ…」
「申し訳ない、根子月殿…恥ずかしくてつい手が出てしまって…」
「俺は…えっと…流れ?」
「うん、そうか…良くわかった…」

一同同時に茶を啜り、その音が部屋に響く。

「で、子供はいつ作るの八尾っち」
「「「死ね!」」」

三人がかりの波状攻撃で、ヨッシーは本日の営業を終了致しました。
またのご来店、お待ちしておりません。

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