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12/19(Mon) 09:33
節制ちゃん

「…何してんの、茨子」
「あ、お兄ちゃん。今、アタイはこの子達を訓練していたの!」
「何故に…?」
「悪名高いボス猫から解放する為よ!」

ビシッ!っと指を立てる茨子。
ボス猫なんていたんだ…。
いや、まぁ…これだけ猫がいれば出てくるか、ボスくらい。

「ふっふっふっ…今や、茨子式暗殺術をマスターしたこの子達に敵はないの!後はボス猫さえ見つかれば…」
「因みに、ボス猫ってどんなのだよ?体長2メートルとか…なんか特徴ないの?」
「え?…ちょっと待ってて…集合!」

茨子の号令で素早く円陣を組み、にゃあにゃあと鳴き声を上げる。
それを、うんうんと頷きながら聴いている茨子は、答えが出たのか改めてこちらに向き直る。

「この子達の話だと…灰色の猫だって!お兄ちゃん、見てない?」

灰色の猫…?…アッシュの事だろうか。

「いや、まぁ…見かけたけど…何処にいるかはさっぱり」
「そっか…残念」
「良さんは知りませんか?………って、居ないし」

振り返って、良さんに意見を求めたが…何故か彼女はそこに居なかった。

「おかしいな…さっきまで隣に…って、アレ?何このデジャヴ…いや、この場合デジャヴェクトか」
「?…どったの、お兄ちゃん。ブツブツ独り言喋って」
「いやな、今までここにヨッシーの姉さんがな…」
「…ナァーウ」

すると、消えた良さんの代わりに、探していた灰毛の猫、アッシュが開いた扉の向こうに佇んでいた。

「あ、アッシュだ」
「何!?…あぁ!灰色猫!待ってろ、そこを動くなぁっ!」

叫ぶ茨子に目もくれず、彼女はくるりと回って逃げていく。
それを追って、茨子と猫たちは走っていった。

「待てぇぇぇ!灰色猫ー!!」
「カステラ無かったから買いに行ってたぜー!…って、危なっ!?」

丁度良く戻ってきたヨッシーは、猪突猛進な茨子と衝突しそうになるのをとんでもない反射神経でギリギリ回避し、その後ろ姿を見送ってからこちらにカステラを持ってくる。

「…コッコちゃん、どうしたの?」
「ボス猫に下剋上させるんだとさ」
「ふぅん、成る程ねぇ…まぁ、猫たちも楽しそうだから良いか。…って、俺をパシリに使ったあのお方は?」
「いやぁ…突然居なくなったんだよ…ちょっとしたホラー」

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12/19(Mon) 09:36
節制ちゃん

すると、大きな箱を頭の上に載せて持つ良さんが、ヨロヨロと戻ってきた。

「好男…手伝えー…重いー…」
「あ!はいはい!ただいまっ!!」

そうして、大きな箱をヨッシーに持たせると、やはりヨロヨロとこちらに来て、再び俺の隣を陣取る。

「…疲れた、ちょっと膝貸して…」
「だ、大丈夫ですか?…顔色悪いですよ?…」
「いや…久々に動くとすぐコレだ…まったく…」

そう言って、こてんと横になり、俺の膝を枕にした。
それを疑問に思っていると、察したようにヨッシーが話す。

「あぁ、そういや言ってなかったな…姉さん、身体が弱いんだ。医者の話では、事故で体機能が狂ったらしくて」
「…好男…余計なことを喋るな…」
「でも、姉さん。隠してたっていつかはバレる事だろ?それに、この位で八尾っちは姉さんを拒否したりはしないって。だって、俺の親友だぜ?…なっ!八尾っち!」
「まぁ、親友かはさておき」
「さておくなよ!?俺、ガチ泣きするぞ!?良いのか!?」
「俺は別に気にしたりはしませんよ。良さんは、良さんですし」
「華麗にスルーした上に、臭い台詞吐きやがって!チクショー、泣いてやる!」

すると良さんは起き上がり、俺の両頬を引っ張りだす。

「ひゃひほ?」
「………むぅ」

かと思うと、引っ張るのをやめ、手でぺたぺたと触り、最後には俺の胸に顔を埋めて、大きく息を吸い込んだ。

「あの…良さん?」
「ありがと…少しだけ元気出た」
「そうですか、なら良かった」
「よし!辛気臭いの終わったならゲームやろうぜ、ゲーム!流石に俺も、このまま放置されるの耐えられない!さぁ俺に構え、八尾っち!」

どうやら、良さんが持ってきたのはゲーム機らしく、ヨッシーは無視されてる間、せっせと準備に励んでいたみたい。

「あぁ、悪い悪い。ってスーファミか…懐かしいな、何やる?」
「んー…色々あるし、八尾っちのセンスに任せるぜ!」

と、いうわけで…箱の中に残った一粒の希望………ではなく、ゲームソフトを物色。
結構年季の入った面々が、俺の心をくすぐる。
なるべく皆で一緒に出来るのが良いよな、パーティーゲーム的な何か………お、発見。

「「これなんか………って」」

一緒に探していた良さんと、同時に同じソフトを取り、思わず顔を見合わせる。

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12/19(Mon) 09:37
節制ちゃん

「決まりだな…」
「ですね…」

お互い、ニヤリと口端を上げて笑う。

「おっ!爆発男か!良いねぇ!」
「ぬぁー…疲れた…!茨子ちゃん、ばたんきゅー…」

と、ここで倒れ込むように居間に戻ってきた茨子と猫ーず。
随分タイミングの良い…。

「お疲れ、茨子」
「くそー…灰色猫めぇ…あんなに強いなんて、茨子ちゃん予想外です………って、スーファミだぁ!」

今の今まで元気の無かった茨子だが、俺達の目の前にあるスーファミを見て飛び上がった。

「知ってるのか、スーファミ」
「もち!スーファミ知らない奴なんてクズよクズ!」
「どんだけだよ、それ。まぁ…知ってるなら話は早いね。茨子も入れば四人だし…やるか?爆発男」
「おぉ!爆発男!…懐かしいなぁ…昔はよく近所のガキンチョどもをボコボコにしてたっけ…ふふふっ」

頬を緩ませ、狐耳と立派な八本の尻尾を動かしながら俺の横に座る。
…って、マズくないか?
良さんに狐だってバレるよ?

「おや…この狐娘は八尾の連れだったのか…好男のアレかとばかり」
「およ?…あんたは………誰?」
「あぁ、ごめん二人とも…紹介するよ。茨子、こちらは良さん、ヨッシーの姉さん。で、良さん…この娘は茨子、俺の義妹」

お互いに微妙な空気を漂わせているので、俺が間に入り紹介を買って出る。

「…ふぅん…よろしく、狐ちゃん…」
「おう!よろしく、ヨッシー姉!」

…人を挟んでヨロシクしないでください。
とりあえず…茨子が狐だってことを、良さんが疑問に思わなかっただけ良しとしよう…細かいことは気にしちゃ負けだ。
と、まぁ…少々話が脱線したが、ここらで軌道修正、ゲームスタート。

皆、テレビ画面にかじりついて時間を過ごす。
時折………。

「ぐぁー!?八尾っちにハメられたっ!」

とか。

「ぬぁー!?ヨッシー姉の火力が強すぎるぅ!」

とか。

そりゃあもう、悲しい敗者の叫びが響き渡る。





そして、時は過ぎ…日が沈んだ頃。





「「何故、勝てないんだ…」」

ヨッシーと茨子は、声を揃えて項垂れる。
全ての勝負で黒星を付けたお二人さん。

「あははは、まぁ…気にすんなよ、ゲームだし」
「…二人とも弱すぎる…もっと修業するべき…」
「「畜生ー!!」」

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12/19(Mon) 09:40
節制ちゃん

良さんはああ言ってるが、二人とも決して弱いわけではない。
敗因があるとすれば、俺と良さんが隠れて共謀しているのを見抜けなかった所であろうか。

「でもまぁ…ドローゲームが多かったですねー」
「…うむ、八尾はやはり筋が良い…おねーさんの見込み通りだ…よし、次は二人で試合をして決着をつけるとしようか…」

共謀の後は、勿論潰し合いになる訳だが…実力が五分だったようで、タイムアウトによる引き分けが多かったのである。
と、良さんが再戦の提案をしたところで、それを制すようにヨッシーが声を上げた。

「ストップ!…そういや、良いのか八尾っち」
「…何が?」
「れったんの事だよ、もう結構良い時間だぜ?」
「…!?…しまった、すっかり忘れてた」

そう言えば、書き置きには『夜には帰る』と書いてあったっけ…。
うわー…傷心していたとはいえ、愛しい狐の嫁を忘れるとは…八尾縁、一生の不覚!
あぁ…もう死にたい…死ぬなら蓮香の電撃が良いな…あぁ、蓮香…ごめんよ、今帰るから…。

「何やら…そうとうショックを受けている八尾…で、好男…『れったん』って…誰?」
「あれぇ?俺、この間話さなかったっけ?…ほら、八尾っちの嫁さん」
「@☆※#!!?」

何やら、良さんがオレンジジュースを喉につまらせてむせている。
しかし、今は早く帰ることで頭が一杯な俺は、理由がまったくわからない。

「…げほっ!…げほっ!…なぅ、死ぬかと思った…」
「なはははっ!姉さん、動揺し過ぎだって!…あ!分かった!姉さん、あん時は鮭缶に夢中だったから聴いてなかったんだろ!なはははっ!」
「…好男…貴様、おねーさんをバカにしたな…」
「にゃはははは!アホだー!あーはっはっ…あいだだだだだ!?折れる!折れるぅ!?」

指をさして笑う彼に、アームロックが炸裂。
悶絶するヨッシー。

が、しかし。

やはり蓮香の事で頭が一杯の俺は、そんなヨッシーを尻目にゲームを片付けて帰る準備を………。

「八尾…そのままでいい…後で好男にやらせる…」
「え、でも」
「愛しい狐の奥さんを待たせちゃ悪いだろう…?」
「ちょ!?理由は良いけど何故俺が!?出したの姉さあいだだだだだ!?」
「…つべこべ言うな…折るぞ…」

と、言うわけで。
ヨッシーの『好意』により、早々に帰ることに。
ありがとう、根子月 好男………南無。

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12/19(Mon) 09:42
節制ちゃん

「うわぁ…すっかり暗くなっちゃったなー…意外と寒い」
「お姉ちゃん、待ちくたびれて怒ってるかもね…うぅ、何か寒気がするよ…」

その言葉に、二人して身震いする。
勿論、寒さではなく恐怖で。

「でも、ここから帰るとなると相当時間が」
「…その心配は無用…」
「うわっ!?ヨッシー姉!?」

突然、俺達の間を割って出てきた良さんに驚きつつ、話の続きを聞くことにする。

「…で、何かあるんですか?………あ、車とか?良さん、成人してますもんね」
「…惜しい、そして…車よりも良いものだ…」

そして、ちょっと待ってろ、とだけ言うと良さんは、家の横にある小屋に入っていった。
しかし、車よりも良いって…なんだろう。
まさか…自家用ヘリとか?…いや、流石に無いか。
なんて考えていると、小屋から空気を切り裂く爆音が聞こえてきたのである。

「なっ、なに…この音は!?」
「うーん…嫌にデカイ音だな…なんだろう…」


声を発したのも束の間、小屋をぶち破る音と共に、爆音の正体がこちらに向かってきた。

「…待たせたな…さぁ、乗れ…」
「おぉー!!ヨッシー姉、格好良い!姉御って呼んで良いっすか!?」
「…ふっ…好きにしろ…」
「なに、この巨大な三輪車は…バイクか…?」

良さんは、小さな外見に似合わぬような大きさのモンスターマシンに乗って現れたのだ。
…こんなの、漫画や映画でしか見たことないよ…サイドカーまで付いてるし…。

「お兄ちゃん!早く早くぅ!」
「八尾…恐れることはない…さ、乗れ………」

思い耽っている間にサイドカーを茨子に陣取られていたので、促されるまま、やむなく良さんの後ろに乗る。
と、ここで騒ぎを聞き付けたのか、ヨッシーが家から飛び出してきた。

「なんか凄い音がしたけど…って、あー!?姉さん、また小屋壊してる!」
「…悪いな…また直しておいてくれ…」
「またかよ!?…って、姉さん!身体に触るからバイクは乗るなってアレほど」
「うるさいな…二人とも、口をしっかり閉じてろよ…舌噛んで泣いても知らんぞ…?」

叫び散らすヨッシーを背に、モンスターが爆煙を巻いて走り出す。
初速にもかかわらず、とんでもないスピードで。
掴まりつつ後ろを振り返ると、ヨッシーの家が既に小さく見えた。

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