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11/07(Mon) 10:01
節制ちゃん

と、そこで自らの胸元から寝息が聴こえてきた。
視線を落とすと、スヤスヤと眠れる狐が。

「あー…銭兄?」
「頑張ったから疲れたんだろ…二階の部屋で休ませてやれ」
「…ありがとう」

お言葉に甘えて、蓮香をそっと抱えて二階へ。
二階は、銭兄曰く『隠れ家』らしい。
実際、銭兄は別な場所に住んでいて、この部屋はほとんど使っていない。
多忙期の泊まりや、仮眠など…寧ろ、俺の方が使用頻度が高いくらいだ。
慣れた手つきで布団を敷いて、蓮香を寝かせる。

「ありがとう、蓮香…美味しかった」

それだけ伝えて、頭を撫でて下に戻る。
何となく、蓮香が笑ったような気がした。

「ごめん、銭兄」
「いや、気にするな…さて!仕込みするぞ!」
「…はい?」
「いや、仕込みするぞって」
「…さっき、終わらせたんじゃ無かったんですか?」
「んー…ほら、蓮香ちゃんに料理教えてたから…ね?」
「ね?…じゃないですよ!?開店まで十分も無いですよ!?あんた馬鹿だろ!!」
「はっはっはっ!…まぁ、何とかしてくれるんだろ?ユーが」
「人に丸投げするんじゃないよ!このアホ兄がっ!!」









と、アホな店長のお陰で、死ぬほど忙しい思いをした。
…しかしまぁ、そんなアホのお陰で蓮香の手料理が食えた、しかも今後食えるようになるかもしれない…って考えると、まぁ…いいか、何て思うダメな俺であったのだ………。

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11/07(Mon) 10:09
第三話・閑話『来店する猫』
節制ちゃん

「………疲れた………」

俺、八尾 縁は疲れていた。
仕込み無しでモーニングタイムを乗り切り、休めるかと思ったら今日に限って、ランチ目当ての女性客が行列を成すという意味不明な事態に。
そんな訳で、俺は疲労困憊である。
体面も気にせず、テーブルに突っ伏していた。

「いやー、儲かった儲かった。しかし、今日は大変だったな、ユー」

すると、店の玄関に“Close”の表示をしに行っていた店長、銀 銭が戻ってきた。

「………誰のせいで大変な思いをしたと思っているんですか………?」
「え?誰かのせいなの?」
「…もういいです…」

返事をするために上げた顔を、再び下げた。
すると、全ての元凶はケタケタと笑う。

「まーまー、細かいことは気になさんな。今日の給料弾んでやるから」
「…何故だろう…全然嬉しくない…」

俺の返しに尚も笑う銭兄。
いったい、何が面白いのやら。

「ははは、とりあえずお疲れさん。今、とびきり美味いコーヒー淹れてやるからちょっと待ってろ」
「…ありがとうございます…」

そうして、銭兄はキッチンに入っていった。
それを横目で確認し、俺は上体を起こして軽く伸びをする。

「くぁー…眠い。片付け終わったら、帰って寝よう」

そんな独り言を呟いて、ふと、蓮香の事を思い出す。

『そういや、蓮香…あれからずっと寝てるのかな…?だとしたら、良く寝るなぁ…いや、もしかしたら邪魔しちゃ悪いと思って待っているのか…?』

どちらにしても、様子を見に行ってやろう。
…と、いうか…俺自身、そろそろ狐分、もとい蓮香分を摂取しないと心折れそうなので。



と、席を立とうと思ったら…聴き慣れたベルの音がする。
…この時間、そして“close”の表示にも関わらず入ってくる奴…。
残念なことに、俺にはそんな非常識な輩に二人ほど心当たりがある。

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11/07(Mon) 10:14
節制ちゃん

「八尾っちー、お疲れー!」
「やはりお前か、ヨッシー」

案の定、俺の心の指名手配犯の内、一名。
根子月 好男ことヨッシーが、爽やかな笑顔で現れた。

「いやー、腹減ったぁー…っと、八尾っち!なんか作って!」
「断る」

無駄のない動作で、華麗に俺と相席をする根子月を爽やかに一蹴。

「にゃはは、爽やかに断られたぜー。で、早く何か作って」
「…納得したよね、今。だとしたら、続く言葉がオカシイ」
「ぬぁー…それだけ腹が減ってるんだよ…」

尚も食い下がる根子月は、力なく項垂れた。
どうやら、相当空腹らしい。

「ユー、アイスコーヒーが入ったぞー…って、どうやって入った猫っち」
「あ!ゼニー!邪魔してるわ!」
「邪魔だと思ったら帰れよ…」
「八尾っち酷ぇ!?」

根子月はここの常連で、銭兄とも親しい。
俺が働いてるのもあって、閉店中に入ってくるなんてのは日常茶飯事という訳なのだ。

「うーむ…今日は鍵をかけたはずなんだがな…」

なんて喋りつつ、俺の目の前にアイスコーヒーを置く銭兄。

「ふっふっふっ…猫は何処にでも入っていくのだ!」
「その内、怪盗でもやりそうだね…ヨッシー」
「怪盗か…良い絵画があったら猫っちに頼もう」
「おい、アホ兄…変な気は起こすなよ…?」

真剣な面持ちで顎を擦る銭兄に釘を刺しておく。
本当にやらせかねないからね、この人…。
そんな俺の気も知らず、根子月は某怪盗アニメのオープニングテーマを歌いながら踊っていた。



「ところでヨッシー…今日もバイトだったの?」
「おっ!良くわかったな、流石は八尾っち!」

いやいや…格好見りゃわかるって。

「また新ブランドのCM撮影か?」
「あっはっはっ!すげぇな八尾っち!何故分かる!?」
「君の仕事を知っていれば、ユーで無くとも見当はつくよ」
「マジで!?」

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11/07(Mon) 10:18
節制ちゃん

そう、銭兄の言う通り。
実は、根子月は学校に内緒でモデルの仕事をしているのだ。
バイトを容認している我が校で、何故に秘密にしているか聞いたところ…。
『いや、秘密があった方がヒーローっぽいじゃん?』
…との事だ。


「くそー!撮影の服のまま来なきゃ良かったー!!」
「おいおい…何回目だ、その台詞…先月辺りから言ってなかった?」

頭を抱え、悶える根子月に一撃。
しかし、彼は舌をぺろりと出して『そうだった、てへっ』なんて宣った。
…殴っても良いんだろうか。

「はい、茶番はそれまでにして…猫っち、注文は?」

俺の気持ちを知ってか知らずか、銭兄は手を打って会話の流れを変える。
すると、根子月は元気に手を上げて返した。

「和牛ステーキ!あとホットミルク!ぬるめで!」
「…相変わらずのメニューだな…」
「ははっ、全くだ。ユー、とりあえず出来るまで相手をしてやってくれ」

銭兄は俺の肩を二、三度叩くと、再びキッチンに消えていった。

「…っと、そういう訳で話し相手になってくれ」
「…俺、疲れてるんだけどな…」

まぁ、そんなことを言ってみるが、根子月と話すのは好きなので…自然と会話が弾む。
話題なんて、他愛のない日常的なもの…だが、不思議にも笑えてくる。
どうやら、お互いに非日常を良い感じに過ごしているようだ。
そして、話題は俺の嫁の話に…。

「そう言えば、嫁の狐さんとはどうなのよ?上手くいってんの?」
「ははっ、まぁ…絶賛ラブラブ中…かな?妹の狐が増えたせいでたまに喧嘩(と言う名の一方的電撃攻撃)したり…」
「ふーん、そりゃ大変だな。ちゃんと双方の意思を汲んでだな…円滑な新婚生活を」

そこまで言って、根子月は固まった。
顔の前で数回手を振っても反応がない。
そこで、銭兄がキッチンから湯気が上がる鉄板ステーキと特大マグカップを持って現れた。

「いやー、悪い。牛を見つけるのに苦労してなー、はっはっはっ!」

何やら怪しげなワードを含ませつつも、注文通りのメニューを根子月の前に置く。
だが、そこで直ぐ様異変に気付き、根子月の顔を覗き込んだ。

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11/07(Mon) 10:22
節制ちゃん

「…おや、猫っちがフリーズしているね」
「狐が増えるとどんだけ美味しい展開なんだよ!そして、妹狐とかなにそれ!?毎朝お兄ちゃん起きて、とかやらせてるわけ!?くぅー!羨ましい奴め!とりあえずお幸せにっ!そして妹狐のレンタルを希望するっ!!」

顔を覗き込んだ銭兄に、今までのフリーズ分を取り返すが如く、息継ぎもせず叫んだ根子月。
それを受けて、みるみる眉間に皺が入り満面の笑顔になる銭兄。

「…料金、倍でも良いかと思うか?ユー」
「えぇ、俺は三倍でも良いくらいかと」
「はっ!?ちょっと待って!今のは我を忘れて」
「そうか、ならダーツで決めよう」
「「何故にダーツ」」

何処からか持ってきた回転ダーツ台を回し、矢を俺に渡す銭兄。

「え、俺なの?」
「あぁ、友人に止めを刺してやれ。狙うは十倍だ」
「八尾っちー!頼む!今度、八尾っちが欲しがってた九尾狐のトレカあげるから助けて!」
「よし、その話乗った」
「…む、買収に出たか…やるな、猫っち」

くるくると回る回転板に狙いを定め、投擲。

「「「んー…?」」」

一同、回転板に注目して停止を待つ。
そして、当たった場所は…





『タダ飯』


「よっしゃー!サンキュー、八尾っち!マジ愛してる!」
「くっ…流石だな、ユー…一センチもない『タダ飯』ゾーンに当てるとは」
「まぁ…見えてましたから、後は狐を信じて当たるのを祈っただけです。だから、俺はなにもすごくない。狐が偉大なんです」

と、まぁ…バカ騒ぎしていたものだから…カウンター奥から不機嫌そうな顔をした蓮香が現れた。

「うー…騒々しいぞよー…縁ー…まだ勤めは終わらぬのかー…?」
「あ、蓮香…起こしちゃった?」

俺の言葉に返事もせず、つかつかと歩み寄っては我が膝上に腰かける。

「うー…ワシを除け者にしおって楽しそうにぃ…」
「お、君が噂の八尾っち嫁か!初めまして、八尾っちの大親友・根子月 好男です!」
「う?」

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