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10/19(Wed) 18:24
節制ちゃん

「いやー、疲れた…。てか、珍しいなぁ、八尾っちが授業中にメールなんて。誰としてんの?」

カバンから取り出した、猫の顔の形をした団扇で涼みながら根子月は言う。

「あぁ、さっきはありがとう。俺の身代わりになってくれて」
「いや、気にすんなよ。で、メールの相手は?」

再度問われたので、迷いながらも答える。

「んー…嫁」

その答えに、爽やかに笑い納得する根子月。

「なんだ、嫁か。はっはっはっ、それは仕方ないな」
「うん、彼女は寂しがり屋でね」



暫しの沈黙。
俺は尚も蓮香とのやり取りを続ける。


「はぁ!?八尾っち、お前いつの間に結婚したんだよっ!!」
「「「八尾が結婚!!?」」」

なんて、根子月が大声で叫ぶもんだから、暇人どもが食い付いた。

「ん…?納得したんじゃなかったの、ヨッシー。驚くの遅くない?」
「納得も何もあるかっ!八尾っちは俺と同じく獣っ娘萌え、もとい、狐萌えを生涯突き通すって信じてたのに妥協なんかしやがって!!しかも、親友の俺にまで黙って…げふぉ!?」

滝のような涙を流しながら思いを語っていた根子月だが、話題に飢えた暇人パワーに吹き飛ばされて、窓から落ちた。
…死んだな。

「ついに病気が治ったんだな!おめでとう!」
「ねぇねぇ!八尾くんのお嫁さんってどんな子!?写メとかないの!?」
「いやー、まさか八尾に先を越されるとは…。畜生、うらやましいぜっ!」

さらっと酷いことを口走りながら、俺を取り囲む暇人たち。
…はぁ、面倒だな。

「誰が病気だ、それと写メはない。で」
「「「で!?」」」
「あまり近付くな、息苦しい」

少し、いや、かなり不快なので本音を言う。
正直、今すぐ帰りたい。
そして、蓮香を抱き締めて一時間くらい頭を撫で回したい。
その言葉に、取り囲んでいた数名は少し離れてくれた。
一応、クラスのほぼ全員が俺の事を
『狐憑きの危険人物』
とか
『人嫌いの変わり者』
位で認識しているので、割と気を遣われている。
まぁ…、一部では
『面白いネタ』
として扱われているので、少しでも奇行があると、この様に暇人が群がってくるわけだ。

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10/19(Wed) 18:28
節制ちゃん

「こらぁ!?テメェら、痛かったぞ!俺を殺す気かっ!?」

死んだはずの根子月が、無傷で戻ってきた。
本人は怒っているのに、周囲の者は爆笑している。
それもそうだ、ここは三階。
根子月が無傷なのは、どう考えてもギャグかホラーの二択だから笑うしかないよね。
なんて、アホなやり取りも休憩終了のチャイムで打ち切られて、各々席につく。
根子月だけは、必死に自らの不当な扱いに抗議し続けた。
そのせいで、次の授業は終始廊下に立たされていたようで…。
相変わらずアホだな。



「八尾っちの裏切り者ー…はぁ…聴いてよ、猫美ちゃん…八尾っちったら酷いんだぜ…?」
「おい、まだ言ってんのか…ヨッシー、どんだけショック受けてんだよ」

授業が終わり、廊下立ちから解放された根子月は、席に座るなりこんな調子である。
お気に入りの猫美ちゃんフィギュアを目の前に置いて語りかけていた。

「…八尾っちー…元の狐萌えに戻ってくれー…」

完全なる勘違いで、独り苦しむ根子月。
何かもう、リアルに死にそうである。
流石に可哀想なので、真実を話してもいいか蓮香に確認を取る。

『…てな訳なんだが、良いかな?』
『うむ、縁が信用しておるなら大丈夫じゃろ。早く話して、友人を復活させてたも』

と、意外や意外。軽く了解が取れた。
なので、早速根子月に復活の呪文を唱えることに。


「…って、訳で…実は、狐と結婚したんだ…」
「マ、マジかよ…それ、早く言えよ…お陰で三回は死んだぜ…?」

先程の事があるので、ヒソヒソと事の真実を根子月に打ち明けた。
すると、幽霊の様に青白かった顔が、みるみる血色を取り戻していく。

「いやー、心配して損したぜ。てっきり俺は人間に浮気したとばかり」
「アホ、この八尾 縁は死ぬまで狐のみを愛し続けるっていつか話したろ?」

そうだった、と爽やかに笑いを浮かべて根子月。
よし、OK。
いつものヨッシーだ。


そんなわけで、俺らは三時限、四時限と楽しく過ごし、時は昼休みに。

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10/19(Wed) 18:31
節制ちゃん

俺は根子月と一緒に屋上へ。
昼食は、二人で屋上にて食べるのが毎度恒例となっている。
因みに、屋上は普段施錠されている為、俺達以外は誰もいない。

…じゃあ、どうやって入ってるかって?

カチャリ。

「よし、開いた」
「毎度の事ながら、頭が下がるよ」

そう、俺が誰にも邪魔されずに飯を食いたいと言ったら、その翌日に何処からか手に入れた屋上の鍵を持ってきてくれたのである。
本人は、自作した、と言っているが…さてはて。

「ふはー、やっぱりここは良いな!」
「あぁ…風が気持ち良い」

屋上に出ると、爽やかな春風が体を撫でた。
この解放感を知ってしまったら、もう教室などでは飯を頂けなくなる。

「さて、飯にしようぜ!」
「あぁ、そうだね」

と、各々包みを開ける。

「うぉ。今日の八尾っちはハードだな。そのおにぎり、時間内に食えるのか?」

俺の巨大おにぎりを指差して一言。

「ははっ、食えるさ。なんたって、愛妻おにぎりだし」
「ほぅ、それは…。なら大丈夫だな、狐の嫁さんが絡んでる時点で」
「あぁ、狐が絡んだら俺は無敵だからね」

冷やかす様な笑いを軽いノロケで返し、おにぎりを口に運ぶ。

「うん…嫁の味がする」
「ふはっ!八尾っち、キモッ!」
「お前に言われなくねぇよ」

そんな風に、俺達二人…と猫美ちゃんも合わせて三人か。
三人で楽しく昼食を頂いた。
その最中、携帯電話が鳴ったのに気がつかなかった事を、俺は直後に後悔する事となる………。

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10/19(Wed) 18:38
節制ちゃん

「いやー、食った…やっぱり好きな奴と食う飯が一番美味いわ」
「それなら、ヨッシーは常時美味いんだな。常に猫美ちゃんと一緒だし」
「なはは、それもそうだが…八尾っちがいると、更に美味い!」
「何だよ、それ」

二人して笑う。
でも、根子月の言うことも分かる。
俺だって、ヨッシーと食うと普通の飯も美味く感じるし。
これで、蓮香が居れば文句無し…って、メールだ。
不意に鳴った着信音に、俺は慌てて携帯を開く。

『メールが…二通…?』

今来たメールと、丁度飯を食い始めた辺りに来ていたメールが、未読フォルダに入っていた。
どちらも蓮香からだ。
返事を返さなかったから、怒ったかな?
なんて、軽い気持ちで最新のメールを開いた。



『助けて』



三文字。
たった、三文字である。
しかし、俺の心を揺さぶるには充分であった。
心臓が高鳴り、嫌なイメージが頭に過る。

「おい、どうした八尾っち。顔色悪いぞ?」

心配そうな根子月に、生返事を返して前のメールを開いた。

『縁!今すぐ来てたも!狐の里からワシを追ってきた殺し屋が近くに来ているようじゃ!ワシ一人では戦えぬ…だから早く!』

絶句。
強烈な罪悪感と焦燥で頭が一杯になる。
俺は、根子月に軽く事情を説明して学校を飛び出した。









とにかく、全力で走った。
走って、走って、走りまくった。
自宅まで、かなりの距離があるはずなのに、ものの数分で辿り着いた。

『…何か変だ』

一見して、何事も無さそうに見える。
しかし、何か作り物めいた嘘臭さを感じるのだ。
試しに、アパートに近付こうとすると…。

「っ!?…何だ、これ…結界かなにかか?」

近付いた俺を襲ったのは、強烈な恐怖と焼けるような熱さ。
まるで、何者かに『近付くな』と脅されている様な感覚。
しかし、この程度で尻尾を巻いて逃げる訳にはいかない。

「蓮香は、間違いなくここにいる」

彼女の存在を肌で感じる。
つまり、蓮香はまだ生きているのだ。
ならば…取るべき行動は一つ。

「蓮香!待ってろ!」

俺は、心を決めて恐怖と焦熱の結界に突っ込む。
そして、それを抜けた先には…。

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10/19(Wed) 18:43
節制ちゃん

「蓮香!?」

炎に包まれるアパート、地に伏せた蓮香。
そして、全身真っ黒な八尾狐の女性がそこにあった。

「およ?人間…?何で入ってこれたの?アタイの結界…効果が弱かったかなぁー…」

黒髪ショートで背も高く、豊満な身体の大人びた外見とは裏腹に、八尾の尻尾を揺らして不思議そうに首を傾げて、幼い表情を見せる八尾黒狐のお姉さん。
その、状況にそぐわぬ愛らしさに思わず心を揺さぶられたが、今はそれどころではない。
急いで蓮香に駆け寄り、安否を確かめる。

「おい…蓮香…目を開けてくれ…っ!」
「うっ…その声は…縁かえ…?」

抱え起こして名を呼ぶ。
すると、ゆっくりと目を開けた。

「う、ウツケ者めっ………遅いぞっ…」
「ごめん…気付いてやれなくて…大丈夫か?」
「何とか、の…。しかし、家は焼かれてしまったわ…」
「いいさ…蓮香が無事なら」
「ゆ…縁ぃ…」

お互いに見つめ合い想いを交わしていると、咳払いが聴こえてきた。
ハッ、となり、二人してその咳払いの主を見る。

「ちょっと、ちょっと、ちょっと!何、二人して良い雰囲気出しちゃってんのよぉー!?このリア充!爆発しろっ!!」

プンスカ怒って頬を膨らませる黒狐。
…なんか、すごく私怨が混ざってない?

「くっそー、五百年間彼氏ナシのアタイの前でイチャイチャしやがってぇ…ムキー!」

やっぱり私怨か。
黒狐のお姉さんは、ヒステリーを起こして地面を転げ回る。
…忙しい狐さんだな。

「なぁ、蓮香…あれが殺し屋…?」
「う、うむ…そうじゃ。ワシも些か疑問に思えてきたが…」

二人で暫し転げ回る黒狐を見守り、そろそろアパートの消化をした方が良いんじゃないかと話し始めた時、ようやく黒狐は立ち上がる。

「イヤー、ごめんごめん!つい、取り乱しちゃった。時間、どれぐらい経った?」
「「五分くらい」」
「ぐわー!?アタイとしたことが…カップ麺二つは食えるじゃんかー!?どうして教えてくれなかったのよっ!」

涙を滝のように流して、俺に近寄り肩を掴み揺さぶってきた。

「いやっ…だってっ…ねぇっ…!?」
「うむ、楽しそうに転げ回っておったからの」

脳が揺れるのを耐えつつ蓮香に話を振ると、非常に的確な答えを出してくれた。
しかし、その言葉で止めておけば良かったのに、余計な一言をつけてくれる。

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