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10/19(Wed) 17:56
節制ちゃん

「悪いが、喧嘩には馴れているんだ。こんな素人じゃ、何人集めても変わらないよ?」

背後に迫る一名を一蹴して笑いかける。
みるみる顔を紅潮させる嵐山は、裏返る声で叫び散らした。

「ウルセェんだよ!?いつも気取りやがって、ムカつくんだよ!」
「そういうことは、俺と直接喧嘩して倒してから吐こうか。正直、格好悪いよ?」
「テッ、テメェ…!?これを見ても軽口を叩けるかっ!オイ!つれてこい!!」

すると、影の方から出てきたのは、にやけた顔の男二人。
それと、その二人に押さえつけられた委員長が現れた。

「…委員長…」

彼女は、制服の所々を破かれた上に、虚ろな目をして俯いていた。

「何をした…答えろ」

嫌悪をありったけ込めて嵐山を睨み付ける。
その視線を受けて、彼は愉快そうに笑う。

「良い顔するじゃねぇか、八尾!…安心しろよ、ちょっと痛めつけて大人しくさせただけさ。その顔だと、まだシてねぇんだろ?…へへっ」

下品な笑みを浮かべる嵐山に、心の底から嫌気がさした。

「…お前、最低だな」
「はっ!人の女に手を出す様な奴に言われたくねぇな!」

自分勝手な発言をする嵐山は、近くに置き捨てられた角材を拾う。

「いいか?テメェが抵抗したら水原を…。わかってんだろうなぁ?」
「………好きにしろ、その代わりに委員長を今すぐ解放してくれ」
「あぁ!?それが人に物を頼む態度かぁ!?」

角材を、俺の頭に目掛けて降り下ろす。
直撃。
俺は目の前が少し歪むのを感じながら、地に膝をつく。

「頭ついて頼めよっ!嵐山様、お願いします。俺の彼女を放してくださいってよぉ!?」

殴打、殴打、そして殴打。
出鱈目に角材で俺を殴り付けてくる。
すごく痛いが、不思議と意識はハッキリしていた。

「嵐山君!もう止めて!!八尾くんが死んじゃう!?」

俯いていた委員長が、顔を上げて叫んだ。
その声に、嵐山は攻撃を止めて振り向く。

「へへっ、なら…俺の女になれよ、水原。そうしたら、やめてやるぜ?どうだ?」
「委員長…止めろ…耳を貸すな…」
「テメェは寝てなっ!」

顔面に蹴りをくらい、不覚にも倒れ込んでしまう。
それを見た委員長は、小さく悲鳴を上げた。

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10/19(Wed) 18:02
節制ちゃん

「で、どうするよ…水原?お前次第で、八尾は生きもするし、死にもするんだぜ?」
「…わかったわ…私が、嵐山君のものになれば八尾くんを助けてくれるのね…?」
「あぁ、約束してやるぜ」
「なら…言う通りにします…だから、八尾くんに乱暴しないで…」

涙をポロポロと流しながら懇願する委員長を見て、満足げな表情を浮かべる嵐山。

「はははっ!聴いたか、八尾 縁!水原は今からオレの女だっ!」

俺は、無言のままそれを聞いていた。
スキを伺って、奴をどう処理するか考えていたから。

「おい、お前ら!八尾の奴をぶっ殺しとけ!オレは今から菜美とお楽しみの時間に入るからよ!」
「そっ、そんなっ!?約束と違うわ!」
「ウルセェ!テメェはオレの女になったんだ!口答えするなっ!」

不条理を押しつけられ、無理矢理組み伏せられた委員長。
一方、俺は先程倒した男三人と、二の足を踏んでいた残りの数十名に囲まれ、今からサンドバッグになる所だ。
…ごめん、委員長。ちょっと助けられそうに無い…。






「おーい!こんなところで何やってんだよ、皆して」

そんなピンチに、爽やかに登場した聞き覚えのある声。

「ッ!?…根子月…!」
「はい、皆の人気者。根子月 好男ですよー?皆、拍手は?」

根子月の登場に、最初こそ驚いていた嵐山だが、すぐに冷静な口調で返した。

「ははっ、悪いんだけど…オレら今、お楽しみ中なんだよ。だから、ここは何も言わず帰れよ?状況見れば分かるだろ?」

さりげなく脅しを言葉に含ませ、追い払おうとするが…。

「いやー、残念だけど無理だぜ?だって、俺は悪を倒しにやって来た正義のヒーローだからな!」

ビシッ!、と特撮ヒーローの如し決めポーズを取って叫んだ。

「猫に代わって…お仕置きだ!かかってこい、雑魚ども!!」
「言わせておけばっ!お前ら、やっちまえ!」

新たに現れた数十名と嵐山が、根子月に襲いかかっていく。
勿論、俺の方も囲まれた数名に蹴られ始める。
何とか蹴りに耐えて、隙間から根子月の様子を伺う。
流石に、根子月が強いと言えど多勢に無勢。
スキを突かれて、嵐山の角材攻撃をくらい倒れてしまった。

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10/19(Wed) 18:07
節制ちゃん

「はぁ…はぁ…手間取らせやがって…」
「悪い!八尾っち!ちょっと無理が…げふっ!?」
「黙ってろ!」

その光景を目の当たりにした瞬間。
俺の中の何かが騒ぎ出す。
そして、それは弾けて表に現れる。

「なっ………なんだ!?うわぁああああ!!?」

俺を囲んでいた内の一人が叫び、尻餅をつく。
すると、周りの奴等も次々と怯え始めた。

「下衆どもめ…我が怒りを知るがいい」

俺は、思わずそんなことを喋り、立ち上がる。
それを見た一人が叫ぶ。

「きっ、狐の化物だっ!?噂は本当だったんだ!」
「黙れ、下衆が。神聖な場が汚れてしまう」

そう言って、その男に手を翳して“何か”を吸い取った。
すると、男はパッタリと倒れ、動かなくなる。

「キサマらは皆殺しじゃ。八尾の力に恐怖せよ」

翳した手で、次々と不良達の“何か”を吸い取っていきながら、ゆっくりと嵐山に近付く。

「ひぃっ!?くっ、くるな!来るなぁ!?」

仲間が次々と殺られていく状況に気が違ったのか、半狂乱で叫びながら、角材を振り回した。
しかし、俺はその角材を睨み付けて、燃やす。

「うわぁ!?なっ、なんだ!何が起こって…」
「キサマには、生き地獄を味合わせてやる。有り難く頂け、そして、燃えろ」

言葉と共に、額に指を弾き当てる。

「ぎゃあああああ!燃えるっ!?火が、火がオレにぃ!?誰か助けてぇえ!!」

突然、訳のわからぬ事を叫びながら転げ回る。
その光景を鼻で笑い、委員長の元へ。

「や…八尾くん…なの?」
「女、この男に惚れているようじゃが…諦めろ、コヤツはワシの男じゃ。そして、ワシの男を危機に晒した罰じゃ。少し反省せい」

先程、嵐山にやったのと同じことを委員長にもする。
そうすると、委員長はパタリと目を閉じて倒れてしまった。

「ふむ、よし。これで片付いたの…」

何となくため息をつき、一言。
先程から意識はあるのだが、自分が自分じゃ無いみたいだ。
すると、俺は優しげな笑みを浮かべて根子月の側に行き、手を差し伸べる。

「大丈夫か、猫又よ。先程は助けようとしてくれたの、例を言うぞ。しかし、状況は見るべきじゃぞ?」
「あははっ、悪い悪い。ちょっと腹減ってて力が出なくって」
「ははは、そうかそうか」

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10/19(Wed) 18:12
節制ちゃん

お互い、顔を見合わせて笑う。
しかし、そこで笑顔のまま根子月は言った。

「で、猫又ってなに?八尾っち、ちょっと見ない内に性転換した?超美人じゃん。狐耳も八本の尻尾も超グッド。結婚してくれ!」
「…え?」

俺は、自らの姿を懐から取り出した鏡で確認。
そして、それを見た俺は卒倒したのだった………。










…と、まぁ。
そんな事があったわけである。
結局、その後は根子月が適当に事情を説明してくれたのと、その場にいた全員が錯乱、もしくは意識不明だった為、意識のある根子月の話が優先されて、俺達は一時的停学で済んだ。
ま、結局単位足らずで留年したから良いのか悪いのか…。

「でも、そろそろ委員長と和解したら?アッチは気にしてないみたいだし」
「あー…いや、それはちょっとな…」

あれ以来、委員長に近付かれると言い様のない不快感に襲われるのだ。
理由は知らぬが、きっと縁が切れたんだろう。
それに………。


『もう嫁もいることだし…他の女と仲良くは出来んよな』


何となしに窓の外を見ると、空に蓮香の笑顔が映る。
うわ、俺、病気だ…帰ろうかな。

「おーい…八尾っちー、大丈夫かー?空に狐でも飛んでんのかー?」

俺の顔の前で手を上下に振り、現実に引き戻す根子月。
…本当、この男は妙に勘が良いと思う。

「あ、悪い。まぁ、そんなところだよ」
「まったく…八尾っちは狐が絡むとすぐドリームワールドに行ってしまうからな」

ケタケタと笑いながら、カバンからゲーム機、フィギュア、ノート、筆記用具を取り出して机に並べる。

「…ヨッシー、いつも聞くけど…お前は学校に何の為に来てるんだ?」
「え?決まってんだろ?八尾っちと、猫美ちゃんと、ゲーム攻略の為だ!」
「はぁ…もう帰れよ…」
「ひでぇ!?」

と、回想と雑談で朝の一時は終了し、いよいよ学校の本分たる授業が始まった…。





授業が始まると静かなもので、皆、真剣に教諭の話に耳を傾け、板書を必死で写している。
そんな中、相変わらずカチカチとゲーム機を操作する我らが根子月。
今日は何をやってるんだ…?
少々気になって、体制を変えて覗き込む。

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10/19(Wed) 18:19
節制ちゃん

『あんっ、〇〇くん。こんな所でっ!』


「お前は何をしている、こんな所で」
「…ん?エロゲ。やる?」
「やるか、アホ。ノート取れよ」
「いや、俺には八尾っちがついてるから大丈夫。ノート、後でコピーさせてくれるんだろ?八尾っち、優しいー!マジ愛してる、はぁと」

なんて会話を、授業の邪魔にならないように筆談でしている。
コイツは真面目に卒業する気あるのかねぇ…?
なんて考えていると、突然着信音が教室に響く。
すると、突然クラスの雰囲気が変わる。

「根子月ー!エロいゲームは帰ってしろーっ!!」
と、叫びながらチョークを投げる教諭。

「くそー!何故バレた、このハゲ!!」
と、叫び返しながらチョークを金属製の筆箱で打ち返した根子月。

そこから、クラスの全員を巻き込んでの大乱戦が始まる…。
が、俺はそれを華麗に無視して携帯を開く。
どうやら蓮香のようだ。

『縁、暇じゃ』

短い文章に、彼女の思いが詰まっていた。
俺は薄く微笑みながら尻尾を握って念を送る。

『いや、俺は今授業で忙しいんだけど…』
『そんなこと言わずに構ってたも。暇で死にそうじゃ』

真面目そうな蓮香がここまで言うってことは、余程退屈なんだろう。

『仕方ないな、良いよ。何する?』
『んー…しりとり、なんてどうじゃ?』
『OK、それなら簡単だし』
『じゃあ、ワシから行くぞ!林檎の“ご”じゃ!』

それから、しばらく蓮香とのラブラブしりとりを満喫し、勝負は終局へ。

『る、る…るーるるる…』
『狐だけに?』
『あー!もう思い付かんわ!』

勝った…と、そう思った所で一限終了のチャイムが鳴った。
どうやら、大乱戦の決着も着いた様で…教諭と根子月は熱い抱擁を交わしている。

「根子月…強く…なったな」
「先生、アンタのお陰さっ…」

よく分からない状況に、よく分からない会話。
そして、クラス一同は感動の涙を流して拍手喝采。
嫁とメールしていた俺が、ただ一人だけ置いてきぼり…何のこっちゃ。

満足げな表情で教諭が出ていくと、皆は夢から醒めたかの様に教室を片付けて、いつも通りの休み時間に入る。
勿論、根子月も同様に席へ戻ってきた。

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