投稿小説

皆さんも小説を書いてみませんか?

自分用のスレッドを作ってそれにレスしていく形で書いていきましょう♪

書いている方への感想コメントなどは雑談掲示板へお願いします

(このスレはこれ以上書き込めません)
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  次へ 

10/03(Mon) 22:53
節制ちゃん

そんなこんなで、早々に朝食を済ませて外へ。
そこで、一つ気になった事が。

「…蓮香、そのまま行くの?」

彼女は今、身を巫女装束で包み、頭には狐耳。
そして、腰辺りには尻尾がゆらゆらと揺れている。

「な、なにか不出来な所があったかの!?」
「うん、全体的に」

いくらなんでも、目立ちすぎるよね。

「そ、そうか…」
と、少々落ち込む蓮香。
「とりあえず、耳と尻尾をしまって、巫女服じゃなきゃ大丈夫…かな?」

少々、不安。
主に、耳と尻尾がない状況に俺の精神が持つかどうかが。

「う…耳と尻尾はなんとかなるがの…」
「まさか、替えの服が無いとか?」

俺の言葉に頷く蓮香。
成る程、そりゃそうだ。殺して日帰りする予定だったもんな。

「なら、服は良いか。今日のデート中に買いに行こう」

そう言って頭を撫でる。ついでに、狐耳も触っておいた。しばらく見られないからね。






そんなわけで。
超絶美少女巫女(狐装備無し)と街を歩く。
はぐれたら大変なので、というか、一応デートということなので手を繋いで。
まぁ、他から見たら…妹を連れて買い物に来たお兄さん位にしか見えない…はず。
犯罪には見えない…よね?

そんな俺の思いを知らず、蓮香は周囲をキョロキョロと見回してはしゃいでいた。

「おぉー!下界も変わったものじゃの!見ろ、縁!メイドがおるぞっ!?」

狐耳も尻尾もないが、可愛く見える。
嫁補正ってやつか?
そんな微笑ましい光景を眺めながら、女性物が売っているアパレルショップへ。

「何か欲しい服は?」
「良く分からんから、縁に任せるぞよ」

入るなり難題を押し付けられた。
正直、服のセンスとかに自信はない。
色々と物色し、気に入った何着かを持って蓮香を試着室へ。

「どう?」

カーテン越しに話し掛ける。

「うーん…ヒラヒラしてて落ち着かん」

着替え終わった蓮香は、カーテンを開いて言う。
薄手の白いロングTシャツと桜色のミニスカート。
まぁ、ですよねぇ…次。

「これは…何と言うか…」

異常に開いた胸元と、深いスリットに困惑する蓮香。
ごめんなさい…チャイナ服とか悪ノリでした。
というか、何故あった…。次。



…と、そんな事を小一時間程繰り返して、結局は『巫女装束が一番』という結論に至る。
しかし、何だかんだで気に入ったのか、選んだ内の何着かは購入。
値段は…うん、忘れよう。

[削除]

10/03(Mon) 22:55
節制ちゃん


「…こういうのも楽しいものじゃな、縁」

店を出た後、ポツリと呟いた蓮香の一言に、俺は再びの来店を決意した。
金、貯めておこう。




で、続いては昼食を取るためにファミレスへ。
何が好きか分からないので、無難な選択だと思う。
席に案内されるなり、蓮香はメニューとにらめっこ。

「好きなもの頼んで良いよ」

俺の言葉にも生返事。
ちょっと悲しい。
そんなことを思っていると…。

「縁…サラダ巻きがないのじゃ……ワシは何を食えば良いと思う…?」
「あ、成る程…だから険しい顔してたのね」

と、いうわけで仲良くハンバーグランチを頼んだ。
蓮香とイチャイチャ(という名のあっち向いてホイ)して待つこと数分。
ジュージューと音を立てながら運ばれてきたハンバーグ、ライス、そしてスープ。
目の前に並んだそれらを、これまた仲良く頂く。

「縁ぃー、熱くて食えぬからフーフーしてたもー」
「子供か!?…ったく、仕方がないなぁ…もう」

静かに息を吹きかけ、フォークで刺されたハンバーグを冷ます。
そんなやり取りを、周囲の痛い視線と共に消化した。

「幸せな時間にごちそうさま、っと…あれ?」

蓮香の皿を見ると、ハンバーグの横に添えられていたスパゲッティが丸々残っていた。

「蓮香、スパゲッティ嫌いなの?」

俺が聞くと、彼女は苦笑い。

「嫌いでは…ないのじゃが…」

言葉が尻すぼみになり、仕舞いには物憂げな瞳で、無言のままスパゲッティをフォークでつついている。

「何かあるのか?」
「うむぅ…実は、ワシには妹がいての。その妹が、スパゲッティが大好物なんじゃ…」

寂しげに笑いながら、フォークでそれを絡め取った。

「へぇ、妹さんね…スパゲッティ見たら思い出して恋しくなっちゃったか?」

だとしたら、ちょっと嫉妬。
いや、自分でもどうかと思うけど。

「まぁ…色々あっての…」

[削除]

10/03(Mon) 22:57
節制ちゃん


どうやら、込み入った事情がありそう。
そういうことなら…。

「蓮香、スパゲッティ俺が食べるから頂戴」
「え…?」
「嫁が困ったんなら、旦那が何とかするもの…だろ?」

俺の言葉に、少しだけ笑って俯いた。

「ウツケ者め………あーん、じゃ」

俯いたまま差し出されたスパゲッティ。
俺は、身を乗り出してそれを食べた。
周囲からのため息なんて、俺は知らん。


会計を済ませて、店を出た俺は言う。

「今度は、サラダ巻きのある店に行こうな」
「おぉ!真か!?…次のでぇとが楽しみじゃのー」

本当に嬉しそうな蓮香の横顔を見て、俺も笑う。
とりあえず、これで良い。
その後は、適当に散歩したり、公園に桜を見に行ったりした。

そんなこんなで、今日のデートは無事終了。
結果は…

「今日はとても楽しかったぞよ、縁」

だ、そうです。









その日の夜、コンビニでサラダ巻きをねだられたので、遅い夕食はサラダ巻きである。
まさか、サラダ巻きを買うためにコンビニを何件も巡るとは思わなかったが。

「縁ー、あーんじゃ」
「ん、蓮香にもお返し。はい、あーん」

と、まぁ…そんなわけで現在。
山のように積まれたサラダ巻きを、イチャラブしながら処理している。



…幸せだなぁ、俺。



第一話・閑話、完。

[削除]

10/19(Wed) 17:28
第二話『黒狐の下剋上』
節制ちゃん

時は早朝。

俺はいつもの様に朝食の準備をしている。
包丁とまな板が織り成す素敵な響きだけが空間に舞う。
とても静かな良い朝だ…。

「うー…おはよう様じゃー…」
「ん…おはよう、蓮香」

まだ寝ぼけ眼の蓮香に返事を返しつつ味噌汁の味見…。
うん、今日も上出来だ。

「今日は早いのー…何か用事があるのか?」

眠たそうに目を擦りながら食卓につき、そんなことを問う蓮香。
その彼女の前に手際よく朝食を並べながら返答する。

「今日からまた学校だからね、そりゃ早いさ」
「…学校…?…あぁ、学舎か。大変じゃの…」

気だるそうな声で、俺の返しに納得の意を示す。

「よし、それじゃあ…いただきます」
「うむ、いただきます…」

彼女と向かい合わせに座り、合掌。
やはり、食材には感謝しなければ。
そうして、俺達は同時に味噌汁を啜る。

「お…美味じゃ…縁は料理が上手じゃの」
「そりゃどうも…今度は蓮香の手料理が食べたいな」

しばしの沈黙。

「学舎!?卒業していたのではないのかっ!?」

バン、と机に手を当てて立ち上がり叫ぶ蓮香。

「…え、驚くの遅くない?…俺はてっきり納得したのかと」

冷静に返し、野菜炒めを口に運ぶ。
醤油の風味が口に広がる。
うん、良く出来てる。蓮香のために、ちょっと頑張ったからね。

「いや…少々呆けていたのでな…。じゃなくて!」
「…ご飯、冷めるよ?」
「あ、そうじゃの…」

立ち上がっていた蓮香は、俺の言葉に座り直して、再び朝食を取る。

「おぉ!野菜炒めも美味いのー!流石はワシの旦那じゃ」

蓮香が嬉しそうに喋るのを見て、頷く。
嫁の笑顔が、俺にとっては何よりの御馳走だ。
ご飯三杯はいけちゃうね、いや本気で。

「…ってぇ!?華麗に誤魔化すなっ!何故に落第なぞ…ソナタは八尾分の力があるじゃろうに!」
「はいはい、帰ってきたら説明するから朝食を食べようねー」

何故か激昂する嫁、蓮香の頭をくしゃくしゃと撫で回して宥める。
それで渋々納得したのか、再三座り直して野菜炒めを一心不乱に食べ始めた。
よし、OK。
それを確認した俺は、自分の食器を片付けて制服に着替える。
横目で、チラチラと盗み見ながら食事する蓮香に微笑みつつ、俺は学校行き用のカバンを手にとった。

[削除]

10/19(Wed) 17:32
節制ちゃん

準備は昨夜に済ませてある、後は弁当を詰める………だ…け?
そこで、一つ気がついた。

「弁当を作るの忘れてた…」

蓮香に美味い飯を作ってやる事にばかり気を取られて、自分の事が疎かになっていたよ…。

「あ、残った野菜炒めでも持って…」
「ぷはーっ!美味かったぞ、縁!」

と、妙案を思い付き振り返ると、つい作りすぎて二人前以上はあったはずの野菜炒めを綺麗に平らげた蓮香の笑顔が。
…わぉ。
流石は蓮香、その小さな身体のどこに入っていくのやら…。

「…ん?どうした縁、暗いぞ?」

何も知らず、小首を傾げる可愛らしい蓮香。
うん…もういいや。

「いや、弁当を作り忘れてさー…ははは」
「およ、それは…意外にそそっかしいの。どれ!ならワシが握り飯を作ってやろう!」

得意気な様子で立ち上がり、無い胸を張る。
しかし、意外な所で蓮香の手料理(?)を頂けることに。

「…結果オーライ、か」

そうして、蓮香が三十分くらいかけて作ってくれた特大握り飯を包んでカバンに入れ、俺は玄関の扉に手をかけた。

「それじゃ、行ってくるよ。何かあったら、教えた番号に電話してね」
「了解じゃ!…っと、忘れるところじゃった。ほれ、縁。これを携帯電話につけてたも」

と、蓮香から白銀色の狐尻尾ストラップを手渡された。
俺の手中で、日の光でキラキラと輝いている。

「えーと…これは?」
「百聞は一見にしかず、じゃ!とにかく付けてみてたもれ」

言われた通りに、携帯電話に付ける。
すると…。
突然、携帯のメール着信音が鳴る。
誰からだ…?
携帯電話を開き、メールを見る。

『縁、行ってらっしゃいなのじゃ。愛してるぞよ、はぁと。蓮香より』

と、送り主不明のメールにはそんな文章が。
目線を、ディスプレイから蓮香に移す。

「と、言うことじゃ。電話より早くて便利じゃろ?それに、これなら人目を気にすることもあるまい」

なんて言いながら笑って見せる。
成る程…昨夜遅くまで起きていたのはこういう事か。

「ありがとう、蓮香。大切にするよ」

優しく頭を撫でて、一言。
きっと、自らの貴重な尻尾と霊力を削って作ったのであろう…ストラップに触れれば分かる。
…家宝にしよう。

[削除]

前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  次へ 

[戻る]
(このスレはこれ以上書き込めません)
[TOPへ]



©フォレストページ