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09/23(Fri) 18:54
節制ちゃん

「八尾 縁、良く聴け。ソナタに、ワシの力をほんの少しだけ分けてやろう…それでソナタの命は助かるじゃろう」
ただし、と狐は続ける。
「この事は他言無用じゃ…よいな?」
俺は、無言でそれに頷く。
「ふむ、素直でよいの。では力を…」
「ちょっと待ってよ!」
「な、なんじゃ…藪から棒に…」
「狐のお姉さんの名前…教えて?」
俺の言葉に、少々慌てた様子が見えたが…直ぐに先程の落ち着きを取り戻し、ゆったりと余裕ある笑みを浮かべて答えた。
「九狐 蓮香(くぎつね れんか)じゃ」
そうして、俺は光に包まれて…。





「気がついたら、ベッドの上…か」
死んでもおかしくない大怪我だったのに、翌日には完治。医者も両親も驚いていたっけ。
それからというもの、俺の生活は変わった。
出来なかった勉強が突然出来るようになったり、運動も信じられない程上手くなった。
それだけではない。
年頃になり、皆が色恋沙汰に夢中な時。
俺は狐のお姉さん・蓮香さんの事ばかり考えていた。
街を歩けど狐の事、友人と遊べど狐の事。
その内、部屋は狐一色に。
勿論、そんな俺の変化に周囲が理解を示すわけもなく…友人はほとんどいなくなった。
両親とも、狐関連で揉めたわけで…。
「まぁ、後悔はないけど」
好きなものは好きなんだから仕方がない。
それに、今は理解ある友人もいる。
これでいいのだ。
「けど…せめてもう一度。もう一度でいいから会いたいな…うん」
約束通り、他言はしていない。
なら、十数年溜まりにに溜まった思いをぶつけさせてくれたっていいじゃないか。
…自分勝手だとは思うけど。
「でも、ま…ないよな」
ゲームじゃあるまいし。
会って告白したところで、フラれて三日間寝込むのが関の山だろうしね。

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09/23(Fri) 19:29
節制ちゃん

ごろり、とベッドから転がり落ちる。
そのままコロコロと転がり、ぶつかりながらも冷蔵庫前に。
「のど乾いた」
呟いて、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出す。
そして、またコロコロと来た道を引き返してベッドに戻る。
流石に段差には勝てず、立ち上がってベッドに腰かけた。
紙パックのオレンジジュースをストローで飲む。
「美味い…やっぱり濃縮還元100%だよな」
そんな風に、暇な時間をのんびりと過ごしていたら、扉を叩く音が。
珍しい、誰だろう。
ま、俺の家に来るような奴は勧誘か、物好きな友人だけなので無視を決め込む。
暫しの静寂、後、怒濤のノック!

扉がミシミシと危険な音を立てているので、仕方なく立ち上がり玄関に向かう。
「はいはい、今開け…」
言葉を言い切る前に扉が破壊音と共に倒れ、そこから小さな人影が飛び込んできた。
「命は貰ったー!」
叫びと共に、包丁らしき物を持った何者かが俺に襲いかかる。
「ぎゃー!!…なんて言うと思ったか」
と、少しだけ遊び心を織り混ぜつつ、そいつの脳天に踵落とし。
「うきゃう!?」
人影が、可愛らしい叫び声を上げて撃沈。
「まったく…危なく刺される所だった…?」
冷静に対処してから気付く、この不思議。
何故、俺が命を取られなきゃならんのだ。
妖しく輝く包丁は、それの殺意を物語る。
「よかった…刺されなくて…流石にガチで死ぬわ」
とりあえず包丁を取り上げ、気絶したそれを観察。
小さな少女のようであり、その身を紅白の巫女装束で包み、肩辺りまでの白銀のセミロングヘア。
そして何より目を引いたのは、髪と同色の狐耳と尻尾。
………。
「狐っ娘!?嘘だろ、おい!?」
我が目を疑い、もう一度見る。
確かに、頭からはピンと張った狐耳、腰下辺りにはフワフワの尻尾が生えている。コスプレではない。
「あーぁ…俺はなんて事を…命を狙われたとはいえ、狐に手…じゃねぇ、踵を上げるなんて…」
激しく自己嫌悪。
人に手を上げても、狐にだけは手をあげないって決めてたのに……って!?
「そこじゃねぇよ!?しっかりしろ、俺!…落ち着け、こういう時は頭の中で狐を数えて…」
狐が一匹、狐が二匹…。
「ただの安眠法じゃねぇか!アホ!」

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09/23(Fri) 21:01
節制ちゃん

叫び散らし、息も荒くなる。俗にいう、興奮状態だ。
「…はっ!?…危うく狂戦士(バーサーカー)になるところだった…。よし、とりあえず縛るか…」
ちょうど良く手近にロープがあったので、狐少女の手足、胴体をとりあえずぐるぐる巻きに縛っておく。勿論、跡がついたら可哀想なので軽く縛るだけにしといた。
「さて、これからどうしよう」
目の前には気絶中の緊縛狐少女。
「…やっぱり、警察に言った方が…」
命狙われたし。
いや、ちょっと待て。
「他人が見たら、俺が犯人だろ」
狐だらけの部屋に、年端もいかぬ縛られた狐少女。
そして、俺の手には包丁。
ダメだ、警察はヤバイ。
「と、なると頼れるのはヨッシーか…?」
いや、余計ダメだ。
奴が絡んだら状況が100%悪化する。
「…仕方無い、この狐娘が気付くまで待つか」
ため息をつきながら、俺は壊された扉をはめ直したのだった。


少女をベッドに移し、暫し観察。
白く透き通る肌、整った顔立ち。
「やばい…超可愛い…」
思わず、頬を指でつつく。
予想以上の柔らかさ、吸い付くような手触り。
もち肌というやつだろうか。
プニプニとした感触に感動しつつ次へ。
先程から頬を触るたびに、ピクリと反応していた狐耳に興味を移す。
「流石に…これを触るのはマズイよな」
段々と、自分が禁忌を犯している気がしてきた。
やってることが変態くさい。これ以上は止そう。
「大丈夫、俺はロリに興味は…」
無い、はずだったんだけどなぁ…。
目の前の狐少女が気になって仕方がない。
これも狐愛の賜物か。
なんて考えていたら、手元は既に狐耳へ。
「あ、しまった…」
つい触ってしまったようだ。
コリコリとした手触りは、俺の罪悪感等いとも容易く吹き飛ばす。あぁ、感無量。
「んぅ…っ」
「はっ!?」
狐少女の漏らす吐息に、俺は凍りつく。
今、この状況で起きられては困る。
人違いであるかもしれない殺意が、十中八九で俺に再び向けられる。しかも、次は三割増しくらいの殺意が。
狐耳から手を離さず、固唾を飲んで状況を見守る。
すると、それ以上の反応は示さなかった。
俺はホッと一息つく。
「よかった…」

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09/23(Fri) 21:36
節制ちゃん

「何がよかったのじゃ?」
突然の声に、俺は再び凍りついた。
下げていた頭をゆっくりと上げる。
目前に、綺麗な緋色の瞳で俺を凝視する狐少女の顔が。
「ぎゃあああああああああああ!!!」
アパートが揺れるほどの絶叫が響く。
「つぅ…!?…五月蝿いぞよ!少し落ち着くのじゃ!」
音のせいで渋い顔をした少女の一喝で俺は我に返る。
「え、あ…すいません」
反射的に謝ってしまった俺に、少女は満足げに頷く。
「うむ、素直でよいの」
「はぁ…ありがとうございます」
そして、狐少女は起き上がろうとした所で自らの状況に気がつく。
「なっ!?…なぜワシが縛られておるのじゃー!?早く解くのじゃー!」
「嫌です」
激昂する少女に、今度は俺が一喝。
そして、手に持った包丁を掲げる。
「…何故、俺の命を狙った…答えてもらおうかっ」
ギラリッ、と輝く包丁。
それに、ビクッと身を跳ねさせる狐少女。
「わ、ワシを脅すつもりかっ!?ぶっ、無礼者めっ!ワシは偉大な力を持つ九尾狐なるぞー!」
叫び散らしながら暴れる狐少女に追い討ちをかける。
「ほぅ…九尾か…まぁ、今は尻尾が一本しかないけど…それが確かなら、さぞかし美味いだろうな」
勿論、食べる気は更々無いが…できる限り優位に立っておかないと、再び襲われかねないし…。
すると、急に静かになった。
脅しが効いたかな?
「こ…殺すがいい…ぐすっ…ソナタに食われっ…ひぐっ…るなら本望…っ」
大粒の涙をポロポロと流して喋る狐少女。
「え、いやちょっと…そこまでガチ泣きされると困るんだけど…嘘だから、ね?」
意味が分からぬまま、俺は彼女を宥めていた。
「ぐすっ…なら縄を解いてたも…」
「分かった、分かった。今解くから…」
言われるがままに彼女を緊縛から解放する。
「……ふふふっ、まんまと騙されおったな!今度こそ命は貰ったー!」
解放した瞬間、手のひらを返して飛びかかってきた。
今回ばかりは油断していた俺。
その光景を眺めていることしか出来ない。
そうして、俺は八つ裂きに………。

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09/23(Fri) 22:10
節制ちゃん

されると思ったのだが、違った。
狐の少女は、爪の生えた手を振り上げて固まってしまったのである。
不思議に思って声をかけた。
「あのー…やらないの?」
「ふぇ………」
彼女の顔が、くしゃりと崩れる。
そして。
「ふぇぇぇえんっ!!やはり無理じゃー!ワシは縁を殺すことなど出来ぬー!!」
床にぺたりと膝をつき、声を上げて泣いてしまったのだった。





「はい、お茶。これでも飲んで元気出せよ」
「うむ…すまぬ…」
先程の一件で、すっかり殺し合いの空気も消し飛んでしまい、今は二人で向かい合って温かな緑茶を啜っていた。
「落ち着いた?」
「うむ…まぁ、少し…な」
今にも消え入りそうな声で返してくる狐少女に脳天唐竹割り。
「いっ…つぅ!?何をするのじゃ!」
「闘魂注入だ!」
バシッ、バシッ、と繰り返しチョップ。
「こっ…このウツケめがー!!!」
「ぐほっ!?」
顔面で湯飲みをレシーブ、超痛い。そして熱い。
「はぁ、はぁ…ウツケ者め、良い気味じゃ」
「ははっ、元気になって何よりだ…」
ニヤリと笑う彼女を見て、言葉を返す。
「あ…」
そんな俺の言葉に、少しだけ嬉しそうな表情を見せて、彼女は呟いた。
「変わらんの…縁。あの頃のままじゃ…」
その呟きを聴き逃さなかった俺は、すかさずツッコミを入れた。
「あの…さ。さっきから俺の名を呼んでるけど…何処かで会ったっけ?」
「むっ…縁、ソナタは覚えておらぬのか!?」
眉をつり上げて、怒った様子で語る。
「散歩中のワシを散々つけ回して、唇まで奪っておきながら…!…まったく」
え、ちょっと待ってよ。犯罪の臭いがプンプンするよ?
「ちょっと、俺には身に覚えが」
犯罪沙汰になることを恐れ、反論を試みるも…。
「何を言うか!…その後…ワシを命懸けで救おうとしたではないか…」
少しだけ頬を赤らめ、彼女は決定打を放つ。
…うん、つまり…その…。
いや、嘘だと思いたい…。
あの人は、こんなチンチクリンではなかった…はず。
よし、ブラフの線に賭けてみよう、ベット。
意を決して、俺は問うた。
「失礼ですが、貴方のお名前は?」

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