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09/21(Wed) 22:55
ちょっと待ってよ!お狐様!〜昨日の殺し屋、今日の嫁!?〜
節制ちゃん

「命は貰ったー!」
狐しか愛せないという普通じゃない一浪中の高校三年生、八尾 縁(やお ゆかり)は、ある日突然謎の少女の襲撃を受けた!

その少女は、なんと狐っ娘!?

普通じゃない高校生が送る、普通じゃない生活を綴った…そんなラブコメ。

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09/23(Fri) 16:28
節制ちゃん

第一話!


「八尾先輩…私と付き合ってください!」
時は放課後、場所は校舎裏。
お決まりのシチュエーションで、お決まりの告白。
そんなお決まりの青春イベントを強制的に攻略させられている俺、八尾 縁。
期待と不安が混じりあった瞳で見つめられているので、早々に返答をしてやる事に。

「いや、悪いんだけど…俺、狐耳と狐尻尾が生えてる子しか女性として見ることが出来ない」
今年で六回目になる台詞を口にする。
「うわーん!先輩のバカー!」
涙を散らしながら走り去る彼女を見届け、ため息。
告白を断るのも楽ではないのだ。
「よぉ、またやってんのか八尾っち。相変わらずモテるねー、守備範囲外から」
そんな俺に声をかける男、根子月 好男(ねこづき よしお)。数少ない友人であり、理解者でもある。
「うるせぇな、ヨッシー。俺だって好きでこんなイベント攻略してる訳じゃねーよ」
思わず愚痴を溢す。
「はは、苦労してるねぇ。ま、勉強もスポーツも出来る、その上顔も良いし背も高い八尾っちがモテない方が変だけどな」
爽やかに言う根子月は、これまた爽やかに笑う。
「ヨッシーに言われてもな、うん。複雑な気分だよ…」
根子月は、ハッキリ言って超のつくイケメンだ。
男の俺から見ても頷けるほど。
背も高く、鍛えられ引き締まった体。
健康的な肌に整った顔立ち。
まぁ、頭の方は少々悪いがスポーツは万能。
文句無しの逸材なのだが、何故かモテない。
理由は一つ、そう、決定的な理由。
それは…
「まぁまぁ、とりあえず俺の嫁でも見て落ち着けよ」
懐から取り出した猫耳美少女フィギュアを突き出して、一笑い。
そう、彼は自他共に認める重度のオタクである。
授業中、机にフィギュア並べて眺めたり、携帯ゲーム機でアレなゲームやってニヤニヤするような。
そりゃあもう、重度も重度、一生治らないレベルであろう。
「…はいはい、猫美ちゃんわかったから早く仕舞えよ…。第一、俺は猫耳萌じゃねぇっつーの」
まぁ、可愛いとは思うけど…少しね。
「了解、そう怒るなよ八尾っち。お前が狐Loveなのは良く、よーく!理解してる」
おどけた口調で彼は、うんうんと二、三度頷く。

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09/23(Fri) 17:07
節制ちゃん

「さぁ、イベント失敗した事だし、親友との食事イベに移行しようじゃないの。今日は八尾っちの好きな、きつねうどん奢ってやるからさ」
強引に肩を組んで、俺を引っ張る根子月。気分も良くないし、促されるままうどん屋に連れていかれる事にした。


「そういや、八尾っち。…はふ…、お前…はふ」
「うどん食うか、喋るかどっちかにしろよ…汚い」
うどん屋にて、二人できつねうどんを食べている時、根子月は突然切り出してきた。
「悪い。…で、お前って何故狐好きなんだっけ?…はふ…美味…」
俺の言葉に反省どころか、意にも介さずうどんを啜る根子月は質問をぶつけてくる。
「…またその話か?ヨッシー、きつねうどん食べる度にその事聞いてくるけど…飽きない?」
うどんの件はもう触れずに返す。
「…ふは…美味かった、ごちそうさまっと…。飽きねぇよ、八尾っちの話ときつねうどんはな!」
親指をビシッ、と立てて宣う根子月。
そんな彼に呆れてため息をつきつつも、俺は毎度恒例の思い出話を語ることにした…。



―十数年前―

友達と遊んでいた俺は、ふと、視界の隅に何かが動くものを認識した。
「あ、狐さんだ」
人に慣れているのか、公園をとてとてと歩いている。
俺は吸い寄せられる様に、その狐の後をついていった。
友人達の制止も聞かず、俺は公園を出る。
「どこに行くんだろう…?」
歩けど歩けど、狐は止まることなく足を進める。
好奇心旺盛な俺は、ひたすらついていく。
白銀色の毛が日の光で輝いていて、まるで宝石みたいだ、と思ったのを良く覚えている。

どれ程歩いたのか、詳しくは知らないが…足が鉛のように重くなっていた事を考えると、相当な距離だったのだろう。
ふと、前を歩いていた狐が振り返った。
何故か心臓が高鳴り、足は震えて動かなくなる。
ただ、目が合っただけなのに…。
ついには、俺は尻餅をついてしまった。
そんな俺を見た白銀の狐はゆっくりと近付いてきて、品定めするかのように周囲をくるくると回る。
幼きながら、俺は思った。
『食われる』
それを理解はしていなかった、ただ、本能的にヤバイと思ったのを覚えている。
だが、同時に思った事があった。
『別に良いか』
そう、諦めとは違う、別な何か。
こんな綺麗な物と一つになれるなら…そんな事でも思ったのか…。そこら辺は良く思い出せない。

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09/23(Fri) 17:46
節制ちゃん

そんな思いを知ってか知らずか狐は、倒れた俺の上に乗り、体の匂いを嗅ぎ始める。
そして、間近で俺の顔をじぃ、と見つめる。
恐怖と緊張、そして別の何か。
そんな三重苦に俺の体を支えていた腕は、ついにその義務を放棄した。
その勢いでバランスを崩し、俺の上にいた狐の鼻先が、俺の口元とくっつく形となる。
良く思えば、これがファーストキスなんじゃないか?
「!!?」
突然の出来事に毛を逆立て、奇妙な鳴き声を上げた狐は飛び退いて走り去っていく。
が、道路の真ん中辺りで振り返り、俺の事をじぃ、と見つめてくる。
その光景を呆然と眺めていた俺だが、その狐に猛スピードで迫るトラックに気が付いた。
狐は気付いていない!
「危ないっ!!」
叫びと同時に走り出し、道路に飛び出して狐を抱えた………はずだった。
腕に抱えたはずの狐の姿は既になく、俺は疑問に首を傾げる。
そして、けたたましいブレーキ音。
振り向くと、そこには先程のトラックが。
俺の意識は、そこでプッツリと途切れた。



「で、その後は?」
身を乗り出して喋る根子月に、周囲の客から痛い視線が集まる。
「おい、皆見てるから…。話はそこで終いだよ。いつも言ってるけど、その後、目を開けたら病院のベッドだったってオチだよ。それ以来、狐がやたら目に入ってな」
その言葉に、少々不満そうな表情で姿勢を正す根子月。
「八尾っち、それ絶対フラグだって。良く思い出せよ…何か、こう…美人のお姉さんが出てきたとかさ!」
「ヨッシー、ゲームのやり過ぎ…ある訳ねぇだろ?」
興奮気味な根子月を冷静に流しつつ、俺はすっかり冷めてしまったきつねうどんを啜るのだった。


「それじゃ、また明日なー!」
大きく手を振って別れを叫ぶ根子月に後ろ手に手を振り、アパートの一室へ。
安いだけが取り柄のボロいアパートだが、俺は結構気に入っている。
訳あって一浪中の俺は、これまた訳ありで親と絶縁中。
そんなわけで、バイトをしながらこのアパートで暮らしているのだ。
「ま、気楽で良いけど」
誰に言うわけでもなく呟いて、俺はカバンを適当に置いてベッドに寝転がる。

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09/23(Fri) 18:30
節制ちゃん

「もしかして、ヨッシー…気付いてんのかな?」
先程のうどん屋での一件、俺は一つだけ嘘をついていた。

―美人のお姉さんなんて、ある訳ない―

本当は出てきている。





意識が途切れて、俺は暗闇をさ迷っていた。
正確には、フヨフヨと流されるままに漂っていたのだが。
そんな中、俺は幼いながらに自らの終わりを受け入れていた。
トラックにはねられて、無事で済む訳がない。
色々と未練は考えてみた。
漫画が途中だったとか、ゲームもまだクリアしてないとか、三時のおやつがまだだったとか…。
それのどれもこれもが未練にはならなかった。
しかし、そんな俺にもただ一つだけ心残りがある。
『あの狐さん、生きてるかな…』
その安否だけでも知りたくて、でも知ることは出来なくて。
何故なら俺の命は尽きたから。

だから、ただ祈った。

―狐さんが無事でありますように―

その時、突然たくさんの光が闇の中に現れた。
その光は集約し、やがて一つの形を成す。
白銀の狐が、そこにあった。
『狐さん、無事だったんだ…よかった…』
俺は最後の願いが叶ったことに満足し、消えようと思った。
「待たれよ、人の子。ワシはソナタに問いたいのじゃ」
その声に足を止める。表現として適切かは解らないけど、とにかく、行くのをやめた。
「狐さん、言葉話せるんだ。すごいね」
妙に嬉しくて、笑う。
「真面目に聴かぬか!ウツケ者!…何故、ワシを助けようとした。訳を申せ」
厳かな、それでいて美しい声で語る狐。
それに対し、俺は迷いなく答えた。
「死んでほしくなかったから」
そう、俺はただそれだけを思っていた。
すると、狐はニヤリと笑ったように見えた。
「そうか…そうか。うむ、ソナタを気に入ったぞよ。名は何と申すのじゃ」
「八尾…八尾 縁です」
俺の名を聞くと同時に、目の前にいた白銀の狐は一瞬で姿を変えた。人間の女性の姿に。
腰ほどまである長い白銀の髪の毛に透き通るような白い肌。恐ろしく整った顔立ち、何を取っても美しいの一声。
そんな彼女は巫女装束で身を包み、頭には狐耳、腰下からは九つの尾、髪と同色であるそれらを生やしている。
俺は、ただひたすらにその姿に見惚れていた。

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