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05/22(Tue) 17:52
節制ちゃん

「ク…ソッ!?…愛の…ヤツ!…最後に、とんで…もない…花火を上げ…やがって…ぇ!…クソ、ゴミ…がっ…!?」

そう毒づきながら、覚束ない足取りで歩き出す。
すると、そんな嘘に近付く黒い影が一つ。

「あ゛…ん?…誰、だっ…!?」

怒りを露にしながら声を上げて、気配がする方へゆっくりと身体を向ける。
そこにいたのは、黒い法衣―僧侶が着るようなそれ―を纏った大柄な男。
服に似合わぬ茶髪のオールバック、この暗闇にも拘わらずサングラスをかけた異様な人物。
そんな異様な男の姿を見た嘘は、心底嫌そうな声でその人物へ喋りかける。

「テッ、メェ…!?…見て、たのかよッ…『解(かい)』…!」

その声に対し、特に感情を表すことなく頷いた解と呼ばれる男は淡々と語る。

「…拙者なら、そうはならなかった。嘘、お主は遊び過ぎる…」

解の台詞に対して舌打ちで返した嘘は、尚も嫌そうに喋りかけた。

「ウゼェ…んだよ、解…説教、ばっか…垂れやがってっ…つべこべ、言って…ねぇでよ…私を、里まで…連れて…けっ!クソ、ゴミが…っ」

嘘に毒混じりの台詞を投げ掛けられても、やはり特に反応を示さずコクリと頷き、満身創痍の嘘を抱えて闇に消えた…。

二人の影が完全に消えた後、誰しも聞き覚えがあるであろう耳障りなサイレンの音が辺りに響く。
あの爆発を見た、或いは聞いた者が連絡したのであろう。
あれだけの爆発が起きたのだ、当然と言えば当然である。
そんな中、一山の瓦礫から何かが蠢き、姿を覗かせた。
それは、闇の中でもはっきりと分かるくらいボロボロの身体をした一匹の狸…。
その身体は、出血するほどの深い傷や火傷を負っているのが見え、更には右前足が千切られたように無くなっていた…。
それだけの重傷を負っているにも拘わらず、頭に赤いリボンを付けた狸はひょこひょこと歩き出す。



「茨、子、ちゃんに…伝え、な、きゃ…」



小さく呟かれたその声。
それは、確かにその狸から発せられていた………。

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