短編

□キリング☆ハッピー
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鈍い音がして、私の腕がおかしな方向へ曲げられた。と、同時に何とも言えない激痛が走る。




「…私でなく、普通の人間なら、ショック死していますよ」




私の上に馬乗りになり、頻ーしきーりに胸の辺りを殴り付けている我が愛しの妹―シオンを見上げた。彼女が殴り付けてくる度に肋骨が砕ける。

私の言葉の後、二度殴ってから顔を上げた。




「メフィーお兄様、」




一体どこの誰だというのだ、こんなにも可愛らしいシオンの瞳を哀しげに歪ませたのは。

治癒を始めた右腕で、彼女の白くて滑らかな頬を撫でてやる。まるで猫のようにシオンは目を細めた。




「ごめんなさい…」


「シオン、気にしないでください。私は大丈夫ですから☆」


「でも、痛かったでしょう…?」




痛くなかったわけではないが、かといって耐えれぬ程というわけでもない。出来るだけ優しく笑い掛けてやる。

またメフィーお兄様、と呼び掛けられた。




「シオン、悪い子ですね」


「何故です?」


「悲しいからと言って、メフィーお兄様のお体を壊しているからです」




そう言うと綺麗な瞳を更に歪ませて、今度はポロポロ泣き出した。そして私の首に抱き着く。柔らかな甘い匂いが鼻を擽った。




「私は一向に構いませんよ。なんたって愛しの妹を独り占め出来ているのですから☆」




だからもう泣き止みなさい、綺麗な顔が台無しですよ、そう言って彼女の小さな頭を撫でる。ポンポンと昔やってやったようにあやすと、暴れ疲れたのか泣き疲れたのか、すぐに小さな寝息が聞こえてきた。




「アマイモンといい、シオンといい、手の掛かる…」




やっと動けるまで回復した体で彼女の細い体を持ち上げ、私の寝室のベッドに横たえる。随分返り血を浴びていて、アマイモンが遊びから帰ってきたら、久々に兄妹3人で風呂に入ろうと決めた。





キリング☆ハッピー




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