短編
□ありません
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「詩音、Trick or treat」
「…あぁ、そう言えば今日はハロウィンか。お菓子ねぇ…。あ、あめ玉発見。はい」
「ワーイ。ハロウィンについては兄上に聞きました。悪魔や怪物に扮して『Trick or treat』と言えばお菓子が貰えるそうですね」
「うんそうだよ、ってアマイモン扮してないじゃん。あと英語の発音バリバリ良いね」
「ボクは元が悪魔なので。それに元は西欧の出身ですから」
「ん、んー?あー、まぁ、そう、だ…、ね。(なんか、釈然としない)」
「あと、お菓子を貰ったらお返しにイタズラをするんですよね?」
「………、は?誰に言われたの」
「兄上に教えてもらいました」
「余計なこと吹き込みやがって、あのピエロ野郎。今度触角引っこ抜いてやる」
「詩音、イタズラをさせてください」
「えっ。アマイモン君よ」
「何ですか?」
「え、いやいや、『何ですか?』じゃないでしょ。君は一体何をするつもりかね?」
「ナニをすると思います?」
「質問に答えてー」
「兄上がイタズラはこうするものだと」
「それが服を脱がせること?」
「ウーン、エロイです」
「ふむ、困った。言葉のキャッチボールが続かない、どうしよう」
「じゃあイタズラしますね」
「ちょっ、タンマタンマ!」
「どうしてですか?お菓子のお返しが出来ないじゃないですか」
「いや、本来の意味は『お菓子を寄越すかイタズラか』なんだけど。つか、あんた西欧の出身でしょーが」
「兄上は長い間ずっとドイツにいらっしゃったので、英語はあまり使わなかったんです。まぁ、発音はアクセントさえ気を付ければどうとでもなりますし」
「アマイモンってたまに賢くなるよね」
「一応、人間の何倍も生きているので」
「なのにハロウィンは知らなかったの?」
「ここに来るまであまり耳に入ったことがなかったんです。食べることと壊すこと以外に興味がなかったので」
「ふーん。で、真面目な話をしながら、君はまだイタズラを諦めてないんだね」
「ハイ。あ、じゃあこうしましょうか」
「ん?」
「Trick "and" treat」
「えー、拒否権は?」
「拒否権?そんなの」
ありませんよ。
でしょうねー。
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