短編

□途方もないくらい、
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好きです。好きなんです、貴方のことが。胸が締め付けられて、夜も眠れないくらい、私の頭の中は貴方で占められているんです。いっそこの胸の締め付けで死ねれば幸せではないのかと思うほど、私は貴方が好きです。


だから気付いてください。私が貴方のことを好きだと。けれど、気付かないでください。私が貴方のことを好きだと。


私は臆病者なんです。貴方から見れば私なんてまだまだ子供で、きっとこんな子供染みた私なんて貴方の視界にも入っていないんでしょう。


この想いが実ることはないと、私はちゃんと理解っているんです。だから現実を突き付けられるのが怖くて、そっとこの気持ちを隠しているんです。でも隠し続けるのはとても辛くて、貴方に全てを打ち明けてしまいたいと心が叫ぶんです。


好きです、と。貴方のことが好きすぎて、私の小さな心臓が壊れてしまいそうなんです、と。でも貴方に愛して欲しいなんてそんな高望みなんかしてなくて、ただこのどうしようもない気持ちを受け止めてくれるだけで良いんです、と。そしてこれから先も今まで通りに接して欲しいです、と。


ただただそれだけを伝えたいんです。それだけ、と言うには些か贅沢だとも思いますが。




「言葉さん」


「はい」




貴方の声にドキリと胸が高鳴る。


あぁもう、ちょっとは落ち着いて私の心臓!これじゃいつか不整脈で死んでしまうわ!




「少しお聞きしたいことがあるのですが」


「私に、ですか?」


「えぇ。言葉さんに、です」




あくまで平静を装いながらも心臓ばくばく。今にも死んでしまいそう。


どうして貴方はこんなにも、私を殺そうとするのでしょうか?早く殺してください、とねだる私の恋心を知っているかのように。


あぁ本当に、貴方のことが好きすぎて、生きているのが辛いです。




「悪魔の私が好きですか?」




世界が止まった。


私の呼吸も心臓も、全てが止まった。


心肺停止、危険信号。


貴方はきっと全部理解った上で言っているのでしょう。私が貴方を好きだということも、けれど私からは口が裂けても伝えられないことも、そして早く私を殺して欲しいとねだる、私の心も。全部全部、理解っているんでしょう。


心肺停止、危険信号。


顔がカッと熱くなる。それは酸素不足のせいではなくて。




「…はい、好きです。貴方のことが好きなんです」





途方もないくらい、




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