短編
□それもただの押し付けだけど
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一生一緒にいようね。
彼女は無邪気に笑って約束した。彼女の細い指と、ボクの指が絡まったのは、一体いつのことだっただろう。
けれど、あの約束も、今日でおしまい。あの時は何も考えずに約束したが、今となっては愚かしいにも程がある。彼女は明るい所で生きるべきだ。けしてこちらに連れ込んではならない。ボクとの約束は、自由な小鳥を閉じ込める籠だった。
「貴女には飽きてしまったので、もうボクの所へは来ないでください」
籠に囚われた小鳥を解き放つ。確かにその小鳥はボクのお気に入りだったけれど、籠の外の自由な空の下で生きて欲しかった。
なのに、小鳥は籠の中でしか生きられなかったらしい。籠から出され、木の枝に一人取り残されてしまった小鳥は、どうしようもなくなって落ちてしまった。自由に羽ばたけると思われていた小鳥は、風切羽を切られていたようだ。
ボクが勝手に押し付けた自由が、結果として小鳥を、彼女を殺した。
ある意味、この"世界"と言う籠からは自由にしてやれたと思いたい。
それもただの押し付けだけど
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