ふーまの部屋
□君にHITOMEBORE
3ページ/4ページ
次の瞬間、彼女の顔が一気に強張ったように見えた。
ふと見ると、数人の女子が睨み付けるように彼女を見ている。
女子達の視線を遮るように彼女の前に立ったけど、彼女は俺にも軽く会釈をして出て行ってしまった。
入室を躊躇っていたのは、この所為?
そして、あの子の好きな奴は、よりにもよって王子とは・・・。
王子こと中島先輩は、特進の中でも成績トップは勿論、性格も優しいらしいし、他校にもファンクラブがあるくらい女子に人気がある。
あのルックスでスペック高いんだから、そりゃそうだろって話なんだけど。
その上、浮いた噂が殆どない。
同じ予備校の子に凄い美人がいて、その子と仲良く話していたとか、1年の時に百合女の3年と付き合っていたとか、俺が知ってるのは精々その程度。
誰にでも優しいし、別け隔てなく感じがイイ・・・というのが校内の評判で、かと言って女の子大好きってわけでもなくて、だから女子どもは勘違いしてしまう。
いつだって回りには王子目当ての女子が群がってるから、今日みたいなことは俺も何度か目にしたことあるけど・・・でも、なんだろう、この複雑な気持ち。
悲しい顔はさせたくないけど、王子と上手くいくのも嫌っていう。
まぁ、何れにせよ俺に勝ち目は無さそう。
たまたま図書室で会った女の子が超可愛かったって、ただそれだけ。
一晩眠れば、きっと朝には忘れている。